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第43話 パメラとウッド家の終わり
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「そ、そんな馬鹿なっ!は、伯爵が我らを見捨てるはずは…っ!」
ウッド氏は体を震わせている。
「本当にそう思われるなら、ご自分でコンラート伯爵に直接尋ねてみてはいかがです?」
父はウッド氏に言った。
「わ、分かりましたっ!そうさせて頂きますっ!今すぐ伯爵の邸宅へ行ってきますよ」
半ば自棄気味に言うウッド氏に父は追い打ちをかける。
「そうですか?ですがその前に…作成した雇用契約書を見せて下さい。出来ているのでしょう?」
「そ、それは…」
「言っておきますが…こちらはコンラート伯爵から農園の経営状況を管理する仕事を委託されているのです。疑われるようなら正式な委任状を預かっているのでご覧になりますか?」
そして父は手にしていた革製のアタッシュケースから1枚の書類を取り出し、テーブルの上に置いた。
「さぁ、どうぞお手にとって御覧下さい」
「…で、では…拝見させて…頂きます…」
ウッド氏は震える手で書類を手に取り、じっく目を通し始めた。
「ま、間違いない…この直筆サインは…」
怯えた目でウッド氏は父を見た。
「どうです?信じて頂けましたかな?」
「わ、分かりました…こ、こちらが…雇用契約書です…」
ウッド氏は引き出しから1枚の書面を取り出し、差し出してきた。
「失礼する」
父はざっと書面に目を通し…ウッド氏を見た。
「こちらに書かれていることは全て本当なのですか?1日の平均労働時間が8時間、週に2日間の休みに賃金が25万ギニー…。」
「え、ええ。も、勿論ですよっ!」
「これはかなり好条件ですね。銀行の行員並の給料ですよ。さぞかし離職率が低いでしょうね?」
一緒に雇用契約書を見ていた私は父に言った。
「ああ、そうだな。こんなに高待遇な農園は初めてだ…」
ウッド氏は愛想笑いを浮かべて父を見た。
「え、ええ。そうでしょうとも…で、では私は今すぐコンラート伯爵の元へ行かなくてはならないので…。失礼致します」
「そんな必要は無いと思いますよ」
すると突然背後から兄の声が聞こえてきた。振り向くといつの間に連れてきたのだろうか?兄の背後には3人の労働者らしき男性たちが立っている。彼らは皆薄汚れた服に疲れ切った表情を浮かべていた。
「な、何ですか?何故そのような汚らしい物乞いを連れてきたのですか?!」
ウッド氏は兄に叫んだ。
「物乞い…?貴方は自分のところで働いている労働者を物乞いと言うわけですか?」
兄の言葉に青ざめるウッド氏。
「旦那様…我々にも雇用契約書を出して下さい」
「15万ギニーすら貰った事ありませんよ?」
「今月こそ休みを下さい。身体が辛くてたまりません…」
男性たちは次々にウッド氏に訴えてくる。
「ま、まさか…お前たちは…?」
青ざめるウッド氏に兄は言った。
「どうやら貴方は自分の農園で働く者達の顔も覚えていないということですね?」
「そ、それは…い、いやっ!普通は自分の従業員の顔など一々覚えていないだろう?!掃いて捨てるほど雇ってやっているのだからっ!」
まるで人でなしの様な台詞を吐くウッド氏。
「分かりました。今の台詞…確かに聞きました。どうやら貴方は最低な雇い主のようだ。この事を農園組合に報告し、監査に入って貰うことにします。調査結果次第では貴方の農園経営権を剥奪させて頂く事にしましょう。私にはそれだけの権限を与えられているのですから」
「そ、そんな…」
父の言葉にウッド氏はがっくりと膝をつく。
その姿を見て私は思った。
これでパメラも、パメラの家も終わった―と。
ウッド氏は体を震わせている。
「本当にそう思われるなら、ご自分でコンラート伯爵に直接尋ねてみてはいかがです?」
父はウッド氏に言った。
「わ、分かりましたっ!そうさせて頂きますっ!今すぐ伯爵の邸宅へ行ってきますよ」
半ば自棄気味に言うウッド氏に父は追い打ちをかける。
「そうですか?ですがその前に…作成した雇用契約書を見せて下さい。出来ているのでしょう?」
「そ、それは…」
「言っておきますが…こちらはコンラート伯爵から農園の経営状況を管理する仕事を委託されているのです。疑われるようなら正式な委任状を預かっているのでご覧になりますか?」
そして父は手にしていた革製のアタッシュケースから1枚の書類を取り出し、テーブルの上に置いた。
「さぁ、どうぞお手にとって御覧下さい」
「…で、では…拝見させて…頂きます…」
ウッド氏は震える手で書類を手に取り、じっく目を通し始めた。
「ま、間違いない…この直筆サインは…」
怯えた目でウッド氏は父を見た。
「どうです?信じて頂けましたかな?」
「わ、分かりました…こ、こちらが…雇用契約書です…」
ウッド氏は引き出しから1枚の書面を取り出し、差し出してきた。
「失礼する」
父はざっと書面に目を通し…ウッド氏を見た。
「こちらに書かれていることは全て本当なのですか?1日の平均労働時間が8時間、週に2日間の休みに賃金が25万ギニー…。」
「え、ええ。も、勿論ですよっ!」
「これはかなり好条件ですね。銀行の行員並の給料ですよ。さぞかし離職率が低いでしょうね?」
一緒に雇用契約書を見ていた私は父に言った。
「ああ、そうだな。こんなに高待遇な農園は初めてだ…」
ウッド氏は愛想笑いを浮かべて父を見た。
「え、ええ。そうでしょうとも…で、では私は今すぐコンラート伯爵の元へ行かなくてはならないので…。失礼致します」
「そんな必要は無いと思いますよ」
すると突然背後から兄の声が聞こえてきた。振り向くといつの間に連れてきたのだろうか?兄の背後には3人の労働者らしき男性たちが立っている。彼らは皆薄汚れた服に疲れ切った表情を浮かべていた。
「な、何ですか?何故そのような汚らしい物乞いを連れてきたのですか?!」
ウッド氏は兄に叫んだ。
「物乞い…?貴方は自分のところで働いている労働者を物乞いと言うわけですか?」
兄の言葉に青ざめるウッド氏。
「旦那様…我々にも雇用契約書を出して下さい」
「15万ギニーすら貰った事ありませんよ?」
「今月こそ休みを下さい。身体が辛くてたまりません…」
男性たちは次々にウッド氏に訴えてくる。
「ま、まさか…お前たちは…?」
青ざめるウッド氏に兄は言った。
「どうやら貴方は自分の農園で働く者達の顔も覚えていないということですね?」
「そ、それは…い、いやっ!普通は自分の従業員の顔など一々覚えていないだろう?!掃いて捨てるほど雇ってやっているのだからっ!」
まるで人でなしの様な台詞を吐くウッド氏。
「分かりました。今の台詞…確かに聞きました。どうやら貴方は最低な雇い主のようだ。この事を農園組合に報告し、監査に入って貰うことにします。調査結果次第では貴方の農園経営権を剥奪させて頂く事にしましょう。私にはそれだけの権限を与えられているのですから」
「そ、そんな…」
父の言葉にウッド氏はがっくりと膝をつく。
その姿を見て私は思った。
これでパメラも、パメラの家も終わった―と。
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