お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売

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第45話 似た者親子

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「な、何よ。あなた…そんな大きな声を上げて…」

「そうよ、驚かせないでよ、お父さん」

するとウッド氏は私に突然謝って来た。

「どうか妻と娘の無礼をお許し下さいっ!この2人には私の方からよく言って聞かせておきます!心を入れ替えますので、どうか今回の件…見逃して下さいっ!」

けれど、ウッド氏の犯してきた罪は心を入れ替えるどころではない。契約書も用意しない劣悪な労働環境で働かせ、今まで私腹を肥やしてきたのだから。

「生憎ですが、そのような事を言われても…」

すると話の途中でパメラが横槍を入れてきた。

「何よ。お父さん、どうしてアンジェラさんに頭を下げるのよ。それに無礼ってどういう事なの?むしろ私の方が彼女に無礼な目に遭わされているのに?」

「そうですよ、あなた。大体将来私達は伯爵家の仲間入りをするのですから、今から堂々と振る舞っておかないと。むやみやたらに頭を下げたりするものじゃないわ」

なんとも呆れた台詞を言う母娘。やはりパメラの傲慢な性格は両親の影響に間違いないだろう。

「黙れっ!お前たちは何も分かっていないのだから口を出してくるなっ!この愚か者共がっ!」

ウッド氏が喚いた。

「まあっ!愚か者共ですって?!」

「酷いわっ!お父さんの…馬鹿っ!!」

母と娘が激しくウッド氏の非難を始めた。

「大体あなたは昔から横暴な人でしたわっ!何でもかんでも大事な事は自分で決めてしまって、全て事後報告じゃなかったですかっ!!」

「そうよっ!大体その体型が気に入らないのよ!太っていてお腹はでているし、顔は脂ぎっているし…!みっともなくて一緒に歩けないわっ!」

もはやパメラの母親もパメラも論点が完全にずれてしまっている。

「うるさいっ!頼むから黙っていてくれっ!お前たちがいると話がこじれてちっとも先へ進まないだろうっ?!」

「何ですってっ?!」
「それはどうい意味よっ!!」

「何も分っていないお前たちは黙っていろと言ってるのだっ!!」

とうとうこの3人は親子喧嘩を始めてしまった。この状況…まるでニコラスの時と同じだ。…本当によく似た親子関係だ。

この親子喧嘩を見ているのは時間の無駄だ。彼らは放っておいて、私は父の元へ戻ることにした。


 父の元へ行くと見知らぬ数人のスーツ姿の男性達が父を囲んで書類に目を通していた。
そして兄は労働者代表である5人のリーダー達と話をしていた。そうだ…あの労働者達ならひょっとしてシビルの父親の事を知っているのではないだろうか?



 私は兄に近付くと声を掛けた。


「お兄様、お話し中の所ですが少し宜しいでしょうか?」

「どうかしたのか?」

「はい、実はこの方たちにお話を伺いたい事があります」

「そうなのか?なら尋ねてみたらどうだ?」

兄に促されて私は早速彼らに質問した。

「あの、皆さんの中で、あそこにいるパメラさんと同級生の娘さんをお持ちの方を知りませんか?」

私は未だに親子喧嘩を続けるパメラ達を指さすと尋ねた。

すると、3人の男性が手を上げると言った。

「あの~私の娘はパメラお嬢さんと同じ学園に通っています…」
「うちの娘もです」
「私の娘もそうですよ」


「え?」

驚いたことに、パメラの取り巻き達の親はこの農園のリーダーを任されていたのだった―。






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