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第108話 焦るペリーヌからの報告
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「成程…流石は妹…と言いたいところだが…」
兄はジロリと私を見た。
「そうよ、アンジェラ。何故私達に何の相談もしなかったの?」
「ああ、ダンテと母さんの言う通りだ。何故だまっていたのだ?」
父が尋ねてきた。
「申し訳ありません…本当にパメラが盗みに入るか、これは1つの賭けでもありましたし…何より反対されるのではないかと思ったので…」
「確かに反対はしたかもしれないな。普通に考えてみれば、そんな確証も無い事を許可すること等出来ないからな」
「ええ、そうよ?」
父の言葉に母も賛同する。
「そう言えば…先程のフットマンの報告ではアンジェラの店に並べていた商品が根こそぎ消えていたと言うことだったが…店の状況はどうなんだ?!荒らされたりしていたんじゃないのか?!もう一度彼を呼び寄せて確認をしてみないと!」
兄が焦った様子で立ち上がった。
そこを私はすかさず言った。
「恐らくそれは大丈夫だと思います」
「「「え?」」」
父、母、兄が一斉に私を見た。
「その自信はいったい何処から来るんだ?」
父が尋ねてきた。
「はい、もし商品が盗まれただけでなく、店内もあらされて荒らされていた場合はその報告も頼んでいたからです。でも盗まれた報告しか無かったので、恐らく大丈夫だったのでしょう」
私はここの使用人たちを全面的に信用している。彼等は今迄お願いした事を怠った事は一度も無かったからだ。
「しかし…戸締まりした店の中に入るにはドアを壊したり、窓を割るなどしないと侵入出来ないだろう?それなのに店内が荒らされていないとなると…どうやってパメラはアンジェラの店の中に侵入したのだろう?」
兄が首を傾げている。
「あ…その事なのですけど…実はわざと窓に鍵をかけないで置いたのです。私の店を何度も覗き見していたパメラなら窓に鍵がかかっていないことに気づいたでしょうから…」
そう、これこそが大きな賭けだった。何しろわざと盗ませる為に敢えて鍵を賭けなかったのだから。
「「「な、何(ですって)だって~っ!!!」」」
父、母、兄の大きな声が揃った―。
****
午前8時45分―
何とか授業開始15分前に学校に到着する事が出来た。あの後、登校時間ギリギリになるまで家族から小言を言われ…遅刻するので今日の所は見逃して下さいと家族に訴え、ようやくこの時間になって登校することが出来たのだ。
「ふ~…間に合って良かったわ…」
大勢の学生たちに混ざって校舎を目指して歩いていると、前方からペリーヌが手を振ってこちらへ向かって駆け寄って来た。
「アンジェラーッ!大変よっ!」
「おはよう、ペリーヌ」
ペリーヌは息を切らせながら駆け寄ってきた。
「お、おはよ…アンジェラ…って、のんきに挨拶している場合じゃないのよ!大変なのよっ!貴女の店の商品が…」
「ええ、知ってるわ。代わりに置いてきた商品が根こそぎ無くなっていたのでしょう?」
「え、ええ…そうよ。アンジェラの狙い通り、やはり盗まれていたわ。で、でもそれだけじゃないのよっ!こ、これを見てよ!今朝こんなビラを手に入れたのよっ!」
「え?ビラ?」
ペリーヌはかなり興奮した状態でカバンの中からクシャクシャに丸めた紙を取り出し、広げると差し出してきた。
「ほら!見て頂戴!」
「え、ええ…」
思わず苦笑しながらペリーヌが渡してきたシワだらけのビラを受け取り、目を通した。
『10月9日、『1日だけの手作り雑貨屋さん』が本日午後1時よりオープン。開催場所は噴水公園広場前。無くなり次第終了になるのでお早めにお越し下さい』
そして主催者は…パメラ・カストロフ・ウッドとなっていたー。
兄はジロリと私を見た。
「そうよ、アンジェラ。何故私達に何の相談もしなかったの?」
「ああ、ダンテと母さんの言う通りだ。何故だまっていたのだ?」
父が尋ねてきた。
「申し訳ありません…本当にパメラが盗みに入るか、これは1つの賭けでもありましたし…何より反対されるのではないかと思ったので…」
「確かに反対はしたかもしれないな。普通に考えてみれば、そんな確証も無い事を許可すること等出来ないからな」
「ええ、そうよ?」
父の言葉に母も賛同する。
「そう言えば…先程のフットマンの報告ではアンジェラの店に並べていた商品が根こそぎ消えていたと言うことだったが…店の状況はどうなんだ?!荒らされたりしていたんじゃないのか?!もう一度彼を呼び寄せて確認をしてみないと!」
兄が焦った様子で立ち上がった。
そこを私はすかさず言った。
「恐らくそれは大丈夫だと思います」
「「「え?」」」
父、母、兄が一斉に私を見た。
「その自信はいったい何処から来るんだ?」
父が尋ねてきた。
「はい、もし商品が盗まれただけでなく、店内もあらされて荒らされていた場合はその報告も頼んでいたからです。でも盗まれた報告しか無かったので、恐らく大丈夫だったのでしょう」
私はここの使用人たちを全面的に信用している。彼等は今迄お願いした事を怠った事は一度も無かったからだ。
「しかし…戸締まりした店の中に入るにはドアを壊したり、窓を割るなどしないと侵入出来ないだろう?それなのに店内が荒らされていないとなると…どうやってパメラはアンジェラの店の中に侵入したのだろう?」
兄が首を傾げている。
「あ…その事なのですけど…実はわざと窓に鍵をかけないで置いたのです。私の店を何度も覗き見していたパメラなら窓に鍵がかかっていないことに気づいたでしょうから…」
そう、これこそが大きな賭けだった。何しろわざと盗ませる為に敢えて鍵を賭けなかったのだから。
「「「な、何(ですって)だって~っ!!!」」」
父、母、兄の大きな声が揃った―。
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午前8時45分―
何とか授業開始15分前に学校に到着する事が出来た。あの後、登校時間ギリギリになるまで家族から小言を言われ…遅刻するので今日の所は見逃して下さいと家族に訴え、ようやくこの時間になって登校することが出来たのだ。
「ふ~…間に合って良かったわ…」
大勢の学生たちに混ざって校舎を目指して歩いていると、前方からペリーヌが手を振ってこちらへ向かって駆け寄って来た。
「アンジェラーッ!大変よっ!」
「おはよう、ペリーヌ」
ペリーヌは息を切らせながら駆け寄ってきた。
「お、おはよ…アンジェラ…って、のんきに挨拶している場合じゃないのよ!大変なのよっ!貴女の店の商品が…」
「ええ、知ってるわ。代わりに置いてきた商品が根こそぎ無くなっていたのでしょう?」
「え、ええ…そうよ。アンジェラの狙い通り、やはり盗まれていたわ。で、でもそれだけじゃないのよっ!こ、これを見てよ!今朝こんなビラを手に入れたのよっ!」
「え?ビラ?」
ペリーヌはかなり興奮した状態でカバンの中からクシャクシャに丸めた紙を取り出し、広げると差し出してきた。
「ほら!見て頂戴!」
「え、ええ…」
思わず苦笑しながらペリーヌが渡してきたシワだらけのビラを受け取り、目を通した。
『10月9日、『1日だけの手作り雑貨屋さん』が本日午後1時よりオープン。開催場所は噴水公園広場前。無くなり次第終了になるのでお早めにお越し下さい』
そして主催者は…パメラ・カストロフ・ウッドとなっていたー。
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