嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第6章 15 カウベリーからの手紙

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「え・・?別に呼んでいない・・・?」

マイクは自分の耳を疑った。ここは職員室である。マイクはルドルフに先生に呼ばれていると言われてやってきたのに実際は呼び出されて等いなかったからだ。

「ああ。そうだ、何故マイクがここにやってきたのかは知らないが・・・それにしてもマイク。今日はスムーズにオリエンテーリングの説明をスムーズに進めてくれて感謝している。今後もこの調子でクラスを引っ張っていってくれ。お前には期待しているからな?」

「はい。ありがとうございます。」

マイクは返事をしたが、実際は先生の話など少しも耳に入ってはいなかった。ただ、ルドルフにはめられたと言う事実が悔しくてならなかった。

(くそっ!ルドルフの奴め・・やっぱりルドルフとヒルダは何か関係があるに決まっている。大体転校生のくせに妙にヒルダの事を気にかけすぎだ。ほかの連中はそんな事は無いのに・・。だけど、ルドルフにしろ、ヒルダにしろ・・・問い詰めてもきっと何も答えてくれないだろうな・・。やっぱりここは自分であの二人の関係を探るしかない・・。みてろよ・・・絶対にヒルダは誰にも渡さないからな・・・!)

マイクは拳を握りしめるのだった―。



「それじゃ、またね。ヒルダ。」

「ええ。また明日。マドレーヌ。」

今日も一緒に歩いて帰ってきた2人はヒルダの住むアパートメントの前で別れた。
ヒルダはマドレーヌが去って行く後ろ姿を見送ると、郵便受けを確認した。すると中には3通の手紙が入っていた。

「まあ、珍しい。3通も手紙が入っているなんて・・・。中身は家で確認しましょう。」

ヒルダは手紙を手に取ると、アパートメントの階段を上り、家の玄関の前に立つと鍵を開けて中へと入った。
廊下の帽子掛けに学校指定のベレー帽を掛けて、リビングに入った。
ヒルダは手紙をテーブルの上に置くと洗面台へ手を洗いに行き、カバンを持って自室で制服から普段着に着替えて再びリビングへ戻ってきた。

「お手紙、誰からかしら・・・。」

リビングのソファに座り、ヒルダは手紙の差出人を見て驚いた。それは母とエドガーからであった。母はヒルダとカミラの分で2通書いてある。

「お母さま・・・何て書いてあるのかしら・・。」

ヒルダは母の手紙を開封した。ペーパーナイフで封を切り、手紙を出した途端フワッと良い香りがした。

「あ・・これは・・お母さまの好きだった香水の香り・・。」

ヒルダは懐かしくなり手紙を鼻に押し当て、ス~ッと匂いを嗅いだ。するとほんの少しだが、優しい母に抱かれているような気持になりヒルダの胸は熱くなった。
手紙の内容はヒルダの身を案ずる内容ばかりであった。不自由なことは無いか、つらいことは無いか、毎日元気に過ごせているかどうか・・・。

「お母さま・・・。こんな親不孝な娘の私を・・まだ思ってくれていたのね・・。ごめんなさい、お母さま・・。」

ヒルダは封筒ごと手紙を抱きしめた時、封筒の中に何か入っている事に気が付いた。

「何かしら・・?」

封筒の中を確認すると、セロファンに包まれた赤い乾燥した実が10粒ほど入っていた。

「あ・・・・これは『カウベリー』のドライフルーツだわ。」

そう、母マーガレットが封筒に入れてくれたのは地名の由来になった『カウベリー』のドライフルーツであり、ヒルダの大好きなおやつだった。

「お母さま・・・私の為に・・。ありがとうございます、カミラと・・・大切に食べます。」

ヒルダはドライフルーツを手に取るとそっと呟いた。次にヒルダはエドガーの手紙に手を伸ばした。

「お兄様・・・何て書いてきたのかしら・・・。ひょっとするとルドルフの事でもかいてあるのしら?」

ヒルダは手紙を開封し、中身を読んでいくうちに徐々に顔色が青ざめていき・・・読み終えた頃には身体がガタガタと震えていた。
その手紙には母、マーガレットの病状があまりよくないと書かれていたのだった―。
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