嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
187 / 566

第7章 12 オリエンテーリング ⑨

しおりを挟む
 その日の夜―

お風呂を終えたヒルダ達は自室に戻って思い思いに時間を過ごしていた。

「ヒルダの髪って本当に綺麗よね~金色に輝く綺麗な髪で・・初めてヒルダを見た時は女神さまかと思っちゃったもの。」

マドレーヌはヒルダの長い髪にブラシをかけながら言う。

「そ、そんな事無いわ・・。」

ヒルダは恥ずかしくて顔を赤らめながら言う。

何故マドレーヌがこんな真似をしているかと言うと、どうしてもヒルダの美しい髪に触れてみたいと強く申し入れたからだった。

「そうよね。ヒルダはとても綺麗だもの。だからあんなマイクみたいな男に執着されてしまうのよ。」

キャロルが言った後、ジャスミンがキャロルを肘で小突いた。

「あ・・・。」

そこで余計な事を言ってしまった事に気付いたキャロルがヒルダに申し訳なさそうに謝罪した。

「ごめんなさい・・・ヒルダ。私、その・・別に悪気があって言ったわけじゃ・・。」

「いいのよ、キャロル。気にしないで・・・。」

ヒルダはキャロルに声を掛けた。

「ねえ、それより明日の天気なんだけど・・・今ラジオを聞いていたのだけど、午後から天候が荒れるらしいわ。この島は大丈夫かしら・・・。」

ジャスミンが心配そうに宿泊施設に設置してあるラジオのスイッチを切るとヒルダ達に言った。

「まあ・・お天気が荒れるの?でも大丈夫よ。オリエンテーリングは朝の9時から11時半までだから、多分平気じゃないの?それに天候が悪くなって来れば中止になるだろうし。」

マドレーヌの言葉にジャスミンは頷いた。

「そうよね・・・きっと大丈夫よね。」

「さて、皆。22時半になったからもう寝ない?明日は6時に起きないといけないのだから。」

キャロルが言った。

「ええ、そうね。」

ジャスミンは部屋に置かれた5つのオイルランプのうち、一つだけ残して明かりを消した。

「それじゃ、もう寝ましょう?」

マドレーヌが言うと、ヒルダたちはそれぞれ自分達に割り当てられたベッドに入った。

そして全員でお休みのあいさつをすると、各々布団を被り・・やがて1人2人と眠りに就いた―。



「・・・。」

薄暗い部屋の中・・・しんと静まり返った部屋に少女達の寝息が聞こえ始めたが・・ヒルダだけはなかなか寝付くことが出来なかった。それは夕食のときにマイクと目が合ってしまい・・・その時にヒルダを見て笑みを浮かべたマイクの顔が頭から離れなかったからだ。

(私は・・・マイクが怖いわ・・・。せめて2人ペアじゃなくて・・・もう1人誰か一緒だったら良かったのに・・。)

そして、その時頭の中に浮かんだ人物はルドルフだった。

(ルドルフが一緒だったら・・・。)

しかし、ヒルダはすぐにその考えを打ち消した。

(駄目よ・・ルドルフを頼っては・・私はグレースさんからルドルフを奪っておいて・・・その挙句にルドルフを捨ててしまったのだから・・。きっと私を恨んでいるに違いないわ・・。)

ヒルダはひょっとしてルドルフがグレースを残してここ『ロータス』にやって来たのは自分に文句を言う為なのだろうと当初は思っていたのだ。しかし、ルドルフは文句を言って来るでも無く、ヒルダの事は全く見知らぬ人間であるかのように振る舞っている。だからこそ、ヒルダはルドルフにどう接すれば良いのか分からずに戸惑っていたのだ。

ヒルダは何も知らなかった。
ルドルフがまだ心の奥底ではヒルダを愛していることを・・ヒルダの傍にいたいので追いかけてきたと言う事を・・・。

最もそれだけの理由でルドルフは『セロニア学園』に編入したわけでは無かった。
その理由を知るには・・・もう少し後の話になるのだった―。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした

凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】 いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。 婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。 貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。 例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。 私は貴方が生きてさえいれば それで良いと思っていたのです──。 【早速のホトラン入りありがとうございます!】 ※作者の脳内異世界のお話です。 ※小説家になろうにも同時掲載しています。 ※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

処理中です...