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第7章 12 オリエンテーリング ⑨
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その日の夜―
お風呂を終えたヒルダ達は自室に戻って思い思いに時間を過ごしていた。
「ヒルダの髪って本当に綺麗よね~金色に輝く綺麗な髪で・・初めてヒルダを見た時は女神さまかと思っちゃったもの。」
マドレーヌはヒルダの長い髪にブラシをかけながら言う。
「そ、そんな事無いわ・・。」
ヒルダは恥ずかしくて顔を赤らめながら言う。
何故マドレーヌがこんな真似をしているかと言うと、どうしてもヒルダの美しい髪に触れてみたいと強く申し入れたからだった。
「そうよね。ヒルダはとても綺麗だもの。だからあんなマイクみたいな男に執着されてしまうのよ。」
キャロルが言った後、ジャスミンがキャロルを肘で小突いた。
「あ・・・。」
そこで余計な事を言ってしまった事に気付いたキャロルがヒルダに申し訳なさそうに謝罪した。
「ごめんなさい・・・ヒルダ。私、その・・別に悪気があって言ったわけじゃ・・。」
「いいのよ、キャロル。気にしないで・・・。」
ヒルダはキャロルに声を掛けた。
「ねえ、それより明日の天気なんだけど・・・今ラジオを聞いていたのだけど、午後から天候が荒れるらしいわ。この島は大丈夫かしら・・・。」
ジャスミンが心配そうに宿泊施設に設置してあるラジオのスイッチを切るとヒルダ達に言った。
「まあ・・お天気が荒れるの?でも大丈夫よ。オリエンテーリングは朝の9時から11時半までだから、多分平気じゃないの?それに天候が悪くなって来れば中止になるだろうし。」
マドレーヌの言葉にジャスミンは頷いた。
「そうよね・・・きっと大丈夫よね。」
「さて、皆。22時半になったからもう寝ない?明日は6時に起きないといけないのだから。」
キャロルが言った。
「ええ、そうね。」
ジャスミンは部屋に置かれた5つのオイルランプのうち、一つだけ残して明かりを消した。
「それじゃ、もう寝ましょう?」
マドレーヌが言うと、ヒルダたちはそれぞれ自分達に割り当てられたベッドに入った。
そして全員でお休みのあいさつをすると、各々布団を被り・・やがて1人2人と眠りに就いた―。
「・・・。」
薄暗い部屋の中・・・しんと静まり返った部屋に少女達の寝息が聞こえ始めたが・・ヒルダだけはなかなか寝付くことが出来なかった。それは夕食のときにマイクと目が合ってしまい・・・その時にヒルダを見て笑みを浮かべたマイクの顔が頭から離れなかったからだ。
(私は・・・マイクが怖いわ・・・。せめて2人ペアじゃなくて・・・もう1人誰か一緒だったら良かったのに・・。)
そして、その時頭の中に浮かんだ人物はルドルフだった。
(ルドルフが一緒だったら・・・。)
しかし、ヒルダはすぐにその考えを打ち消した。
(駄目よ・・ルドルフを頼っては・・私はグレースさんからルドルフを奪っておいて・・・その挙句にルドルフを捨ててしまったのだから・・。きっと私を恨んでいるに違いないわ・・。)
ヒルダはひょっとしてルドルフがグレースを残してここ『ロータス』にやって来たのは自分に文句を言う為なのだろうと当初は思っていたのだ。しかし、ルドルフは文句を言って来るでも無く、ヒルダの事は全く見知らぬ人間であるかのように振る舞っている。だからこそ、ヒルダはルドルフにどう接すれば良いのか分からずに戸惑っていたのだ。
ヒルダは何も知らなかった。
ルドルフがまだ心の奥底ではヒルダを愛していることを・・ヒルダの傍にいたいので追いかけてきたと言う事を・・・。
最もそれだけの理由でルドルフは『セロニア学園』に編入したわけでは無かった。
その理由を知るには・・・もう少し後の話になるのだった―。
お風呂を終えたヒルダ達は自室に戻って思い思いに時間を過ごしていた。
「ヒルダの髪って本当に綺麗よね~金色に輝く綺麗な髪で・・初めてヒルダを見た時は女神さまかと思っちゃったもの。」
マドレーヌはヒルダの長い髪にブラシをかけながら言う。
「そ、そんな事無いわ・・。」
ヒルダは恥ずかしくて顔を赤らめながら言う。
何故マドレーヌがこんな真似をしているかと言うと、どうしてもヒルダの美しい髪に触れてみたいと強く申し入れたからだった。
「そうよね。ヒルダはとても綺麗だもの。だからあんなマイクみたいな男に執着されてしまうのよ。」
キャロルが言った後、ジャスミンがキャロルを肘で小突いた。
「あ・・・。」
そこで余計な事を言ってしまった事に気付いたキャロルがヒルダに申し訳なさそうに謝罪した。
「ごめんなさい・・・ヒルダ。私、その・・別に悪気があって言ったわけじゃ・・。」
「いいのよ、キャロル。気にしないで・・・。」
ヒルダはキャロルに声を掛けた。
「ねえ、それより明日の天気なんだけど・・・今ラジオを聞いていたのだけど、午後から天候が荒れるらしいわ。この島は大丈夫かしら・・・。」
ジャスミンが心配そうに宿泊施設に設置してあるラジオのスイッチを切るとヒルダ達に言った。
「まあ・・お天気が荒れるの?でも大丈夫よ。オリエンテーリングは朝の9時から11時半までだから、多分平気じゃないの?それに天候が悪くなって来れば中止になるだろうし。」
マドレーヌの言葉にジャスミンは頷いた。
「そうよね・・・きっと大丈夫よね。」
「さて、皆。22時半になったからもう寝ない?明日は6時に起きないといけないのだから。」
キャロルが言った。
「ええ、そうね。」
ジャスミンは部屋に置かれた5つのオイルランプのうち、一つだけ残して明かりを消した。
「それじゃ、もう寝ましょう?」
マドレーヌが言うと、ヒルダたちはそれぞれ自分達に割り当てられたベッドに入った。
そして全員でお休みのあいさつをすると、各々布団を被り・・やがて1人2人と眠りに就いた―。
「・・・。」
薄暗い部屋の中・・・しんと静まり返った部屋に少女達の寝息が聞こえ始めたが・・ヒルダだけはなかなか寝付くことが出来なかった。それは夕食のときにマイクと目が合ってしまい・・・その時にヒルダを見て笑みを浮かべたマイクの顔が頭から離れなかったからだ。
(私は・・・マイクが怖いわ・・・。せめて2人ペアじゃなくて・・・もう1人誰か一緒だったら良かったのに・・。)
そして、その時頭の中に浮かんだ人物はルドルフだった。
(ルドルフが一緒だったら・・・。)
しかし、ヒルダはすぐにその考えを打ち消した。
(駄目よ・・ルドルフを頼っては・・私はグレースさんからルドルフを奪っておいて・・・その挙句にルドルフを捨ててしまったのだから・・。きっと私を恨んでいるに違いないわ・・。)
ヒルダはひょっとしてルドルフがグレースを残してここ『ロータス』にやって来たのは自分に文句を言う為なのだろうと当初は思っていたのだ。しかし、ルドルフは文句を言って来るでも無く、ヒルダの事は全く見知らぬ人間であるかのように振る舞っている。だからこそ、ヒルダはルドルフにどう接すれば良いのか分からずに戸惑っていたのだ。
ヒルダは何も知らなかった。
ルドルフがまだ心の奥底ではヒルダを愛していることを・・ヒルダの傍にいたいので追いかけてきたと言う事を・・・。
最もそれだけの理由でルドルフは『セロニア学園』に編入したわけでは無かった。
その理由を知るには・・・もう少し後の話になるのだった―。
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