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第10章 8 2人の秘密の漏洩
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その時―
「ねぇ・・・『ヒルダ』って・・・誰の事ですか?」
突然扉の方から声が聞こえ、エドガーとルドルフは慌てて声の方角を振り返るとそこにはエドガーの婚約者のアンナが立っていた。
「アンナ嬢・・・!」
「アンナ様っ!」
エドガーもルドルフも顔色を変えてアンナをみた。しかし、アンナはそんな事は意に介さずにコツコツとヒールを鳴らし、2人のテーブルへと向かう。そしてピタリと止まると言った。
「ずるいですわ、エドガー様。ルドルフ様。2人だけでお茶会を開くなんて・・・私も混ぜて下さいよ。ね?いいでしょう?」
「「・・・・。」」
エドガーもルドルフも神妙な顔つきで互いの顔を見たが・・相手は伯爵令嬢であり、エドガーの婚約者のアンナである。ここで無下に追い返すこと等出来るはずも無い。
「あ、ああ・・・いいよ。アンナ嬢、今メイドに君の分の席とお茶を用意させるよ。」
エドガーは笑みを浮かべると呼び鈴を鳴らし、メイドを呼びつけるとすぐにアンナの席とお茶が用意された。
****
「フフフ・・・これよ、これ。私の一番好きなお茶とケーキ。」
アンナは満足そうに『カウベリーティー』を飲むと、フルーツケーキをフォークで一口大にカットし、口に入れて満足そうに微笑む。
「そうかい・・・それは良かったね。」
エドガーはアンナに優し気に声を掛けるが、内心はとても焦っていた。
(まずいな・・・アンナ嬢にヒルダの話を聞かれてしまった・・『カウベリー』ではヒルダの話は厳禁だ。もしアンナが他の人たちに・・・ましてや父に話でもされた日には大変な事になってしまう・・・。ここは何としても彼女に口止めをしなければ・・それにしても・・・。」
「アンナ嬢、今日は家庭教師が来る日だから・・ここには来れないと言っていなかったかい?」
エドガーはアンナの機嫌を損ねないように尋ねた。
「ええ、それが今朝電話がかかってきたんです。家庭教師の先生のお宅付近で大雪が降って馬を出せないそうなので今日は中止になったの。それでエドガー様に会いに来たんですけど・・もしかして・・お邪魔でしたか?」
アンナは寂し気に俯いた。
「ま、まさか!邪魔なはずはないだろう?」
「ええ、そうですよ。アンナ様。」
ルドルフも爵位の高いアンナの機嫌を取るのに必死だ。
「そうですか?お2人からその言葉を貰えて安心しました。それでは先ほどの話の続きを聞かせて下さい。」
アンナは顔を上げてにっこりと微笑むと2人の顔を交互に見た。
「え・・?先ほどの話って・・?」
「とぼけないで下さい、エドガー様。さっきお2人でお話されていたことですよ。教会の焼失事件で犯人が『ヒルダ』とか、本当の犯人は『グレース』だとかお話されてたじゃないですか?」
「「えっ?!」」
エドガーとルドルフは同時に声を上げる。そこまで内容を知っていると言う事は・・アンナは随分前から2人の話を盗み聞きしていたと言う事になる。これにはさすがのエドガーも困り果てて言った。
「アンナ嬢・・・人の話を盗み聞きするのは・・あまり良いことでは無いよ?」
するとアンナは口をとがらせて言った。
「何を言ってるんですか?私、何回ノックしたと思っているんですか?いくらノックしても返事が無いからお部屋に入ってきたのに・・・それでもお2人は私に全く気付かず、お話してたんですよ?」
「え・・・?」
「そ、そうだったんですか?」
2人はアンナが入ってくる気配も気づかずにヒルダの話をしていたのだ。
「それで・・ヒルダって誰ですか?教えて下さい。」
アンナはエドガーとルドルフの顔を交互に見ながら再度質問してきた。
「い、いや・・・ヒルダというのは・・・。」
思わずエドガーが口ごもるとアンナは言った。
「もしエドガー様が話して下さらないなら・・・・ハリス様に伺いますよ?」
「そんな!それだけは・・っ!」
「わ、分かった!話すからやめてくれ!」
ルドルフとエドガーは同時に声を上げ・・ついにエドガーは観念してアンナにヒルダの事を全て語る羽目になってしまった―。
「ねぇ・・・『ヒルダ』って・・・誰の事ですか?」
突然扉の方から声が聞こえ、エドガーとルドルフは慌てて声の方角を振り返るとそこにはエドガーの婚約者のアンナが立っていた。
「アンナ嬢・・・!」
「アンナ様っ!」
エドガーもルドルフも顔色を変えてアンナをみた。しかし、アンナはそんな事は意に介さずにコツコツとヒールを鳴らし、2人のテーブルへと向かう。そしてピタリと止まると言った。
「ずるいですわ、エドガー様。ルドルフ様。2人だけでお茶会を開くなんて・・・私も混ぜて下さいよ。ね?いいでしょう?」
「「・・・・。」」
エドガーもルドルフも神妙な顔つきで互いの顔を見たが・・相手は伯爵令嬢であり、エドガーの婚約者のアンナである。ここで無下に追い返すこと等出来るはずも無い。
「あ、ああ・・・いいよ。アンナ嬢、今メイドに君の分の席とお茶を用意させるよ。」
エドガーは笑みを浮かべると呼び鈴を鳴らし、メイドを呼びつけるとすぐにアンナの席とお茶が用意された。
****
「フフフ・・・これよ、これ。私の一番好きなお茶とケーキ。」
アンナは満足そうに『カウベリーティー』を飲むと、フルーツケーキをフォークで一口大にカットし、口に入れて満足そうに微笑む。
「そうかい・・・それは良かったね。」
エドガーはアンナに優し気に声を掛けるが、内心はとても焦っていた。
(まずいな・・・アンナ嬢にヒルダの話を聞かれてしまった・・『カウベリー』ではヒルダの話は厳禁だ。もしアンナが他の人たちに・・・ましてや父に話でもされた日には大変な事になってしまう・・・。ここは何としても彼女に口止めをしなければ・・それにしても・・・。」
「アンナ嬢、今日は家庭教師が来る日だから・・ここには来れないと言っていなかったかい?」
エドガーはアンナの機嫌を損ねないように尋ねた。
「ええ、それが今朝電話がかかってきたんです。家庭教師の先生のお宅付近で大雪が降って馬を出せないそうなので今日は中止になったの。それでエドガー様に会いに来たんですけど・・もしかして・・お邪魔でしたか?」
アンナは寂し気に俯いた。
「ま、まさか!邪魔なはずはないだろう?」
「ええ、そうですよ。アンナ様。」
ルドルフも爵位の高いアンナの機嫌を取るのに必死だ。
「そうですか?お2人からその言葉を貰えて安心しました。それでは先ほどの話の続きを聞かせて下さい。」
アンナは顔を上げてにっこりと微笑むと2人の顔を交互に見た。
「え・・?先ほどの話って・・?」
「とぼけないで下さい、エドガー様。さっきお2人でお話されていたことですよ。教会の焼失事件で犯人が『ヒルダ』とか、本当の犯人は『グレース』だとかお話されてたじゃないですか?」
「「えっ?!」」
エドガーとルドルフは同時に声を上げる。そこまで内容を知っていると言う事は・・アンナは随分前から2人の話を盗み聞きしていたと言う事になる。これにはさすがのエドガーも困り果てて言った。
「アンナ嬢・・・人の話を盗み聞きするのは・・あまり良いことでは無いよ?」
するとアンナは口をとがらせて言った。
「何を言ってるんですか?私、何回ノックしたと思っているんですか?いくらノックしても返事が無いからお部屋に入ってきたのに・・・それでもお2人は私に全く気付かず、お話してたんですよ?」
「え・・・?」
「そ、そうだったんですか?」
2人はアンナが入ってくる気配も気づかずにヒルダの話をしていたのだ。
「それで・・ヒルダって誰ですか?教えて下さい。」
アンナはエドガーとルドルフの顔を交互に見ながら再度質問してきた。
「い、いや・・・ヒルダというのは・・・。」
思わずエドガーが口ごもるとアンナは言った。
「もしエドガー様が話して下さらないなら・・・・ハリス様に伺いますよ?」
「そんな!それだけは・・っ!」
「わ、分かった!話すからやめてくれ!」
ルドルフとエドガーは同時に声を上げ・・ついにエドガーは観念してアンナにヒルダの事を全て語る羽目になってしまった―。
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