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第12章 4 ヒルダの告白
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18時―
ヒルダが心配だったアンナは彼女の眠っている客室で読書をして過ごしていた。
「う・・・。」
その時、ヒルダが身じろぎをした。
「ヒルダ様?!」
ハッとなったアンナはヒルダの眠っているベッドへ行くと、そこにはぼんやりと薄目を開けたヒルダがいた。
「ヒルダ様・・・良かった・・目が覚めたのですね?」
アンナは目に涙を浮かべながらヒルダを見下ろした。
「あ・・アンナ様・・・?わ、私は一体・・・?」
ヒルダはアンナの方を見ると口を開いた。
「ヒルダ様は・・グレースとイワンが死んでしまった話を聞いて・・・気を失ってしまったんです。」
「そう・・でしたね・・。すみませんでした・・アンナ様。ご心配かけてしまって・・・。」
ヒルダは弱々しく笑みを浮かべるとベッドから身体を起こし・・・言った。
「アンナ様・・私・・明日『ロータス』へ帰ろうかと思っているんです・・。」
アンナはヒルダの言葉に耳を疑った。
「え・・?ヒルダ様・・何を突然・・・。」
するとヒルダは言った。
「2人の死の原因は・・私にあるかもしれないから・・だって、私が『カウベリー』へ帰って来てすぐに・・同じ日にグレースさんとイワンさんが死んでしまうなんて・・とても偶然だとは思えないんです・・・やっぱり私は・・故郷に帰って来るべきでは無かったのかも・・・。」
それを聞いてアンナは突然ヒルダの両肩に手を置くと言った。
「何を言ってるのですか?ヒルダ様・・・お願いです。私には・・正直に話して頂けますか?ヒルダ様が教会で火事を起こしたせいで『カウベリー』から追い出されてしまった話は知っています。でも・・・その事がどうしてグレースとイワンが死んでしまったことと関係するのか・・・。ヒルダ様、お母様が御病気になっても・・今後もこそこそと隠れるように・・こんな形でしか再会出来なくても・・・良いのですか?自由に・・どうどうと『カウベリー』に帰って来たいとは思わないのですか?」
いつしかアンナは目に涙を浮かべながら必死になってヒルダに語っていた。
「ア・・アンナ様・・・。」
ヒルダはアンナの涙に驚いていた。
「ヒルダ様・・・本当は誰かをかばっているのではないですか?そして・・かばうべき相手は・・もうこの世にいないのではありませんか?」
「!」
アンナの言葉にヒルダは目を見開いた。
(そう・・だったわ・・・。あの火事を起こしてしまった・・グレースさんもイワンさんも・・もう、この世にはいない・・。だったら・・私はもう本当の事を話してもいいの?だけど・・・。)
「アンナ様・・だ、だけど・・・本当の事を今更話したとして・・誰が私の話を信じてくれるでしょうか・・?」
ヒルダは苦し気に声を振り絞るように言った。
「そ、それは・・・。」
(そうだわ・・・犯人はヒルダ様では無いと言う確証が何もなければ・・・。)
アンナは言葉を飲み込んだ。
「アンナ様には・・本当の事をお話ししますね・・・。あの火事があった日・・火の付いた薪を持っていたのはグレースさんです。グレースさんは自分の身体を火傷させて、それを私のせいにしようとしていたのです。でもそこを・・イワンさんがグレースさんを止めようとして・・薪を持っていた腕を強く握ったんです。その時グレースさんは思わず火のついた薪を床に落としてしまって・・それで・・あっという間に火が燃え広がって・・・・教会は焼け落ちたんです。」
ポツリポツリと語るヒルダの話は衝撃的なものだった。だが・・・どうしてもアンナには納得出来ない事があった。
「そ、それなら・・何故ヒルダ様は・・・グレースの罪を自分で被ったのですか・・?」
するとヒルダは言った。
「それは・・私が・・・グレースさんの恋人だったルドルフを・・う、奪ってしまったから・・。」
いつしかヒルダの目には涙が浮かんでいた―。
ヒルダが心配だったアンナは彼女の眠っている客室で読書をして過ごしていた。
「う・・・。」
その時、ヒルダが身じろぎをした。
「ヒルダ様?!」
ハッとなったアンナはヒルダの眠っているベッドへ行くと、そこにはぼんやりと薄目を開けたヒルダがいた。
「ヒルダ様・・・良かった・・目が覚めたのですね?」
アンナは目に涙を浮かべながらヒルダを見下ろした。
「あ・・アンナ様・・・?わ、私は一体・・・?」
ヒルダはアンナの方を見ると口を開いた。
「ヒルダ様は・・グレースとイワンが死んでしまった話を聞いて・・・気を失ってしまったんです。」
「そう・・でしたね・・。すみませんでした・・アンナ様。ご心配かけてしまって・・・。」
ヒルダは弱々しく笑みを浮かべるとベッドから身体を起こし・・・言った。
「アンナ様・・私・・明日『ロータス』へ帰ろうかと思っているんです・・。」
アンナはヒルダの言葉に耳を疑った。
「え・・?ヒルダ様・・何を突然・・・。」
するとヒルダは言った。
「2人の死の原因は・・私にあるかもしれないから・・だって、私が『カウベリー』へ帰って来てすぐに・・同じ日にグレースさんとイワンさんが死んでしまうなんて・・とても偶然だとは思えないんです・・・やっぱり私は・・故郷に帰って来るべきでは無かったのかも・・・。」
それを聞いてアンナは突然ヒルダの両肩に手を置くと言った。
「何を言ってるのですか?ヒルダ様・・・お願いです。私には・・正直に話して頂けますか?ヒルダ様が教会で火事を起こしたせいで『カウベリー』から追い出されてしまった話は知っています。でも・・・その事がどうしてグレースとイワンが死んでしまったことと関係するのか・・・。ヒルダ様、お母様が御病気になっても・・今後もこそこそと隠れるように・・こんな形でしか再会出来なくても・・・良いのですか?自由に・・どうどうと『カウベリー』に帰って来たいとは思わないのですか?」
いつしかアンナは目に涙を浮かべながら必死になってヒルダに語っていた。
「ア・・アンナ様・・・。」
ヒルダはアンナの涙に驚いていた。
「ヒルダ様・・・本当は誰かをかばっているのではないですか?そして・・かばうべき相手は・・もうこの世にいないのではありませんか?」
「!」
アンナの言葉にヒルダは目を見開いた。
(そう・・だったわ・・・。あの火事を起こしてしまった・・グレースさんもイワンさんも・・もう、この世にはいない・・。だったら・・私はもう本当の事を話してもいいの?だけど・・・。)
「アンナ様・・だ、だけど・・・本当の事を今更話したとして・・誰が私の話を信じてくれるでしょうか・・?」
ヒルダは苦し気に声を振り絞るように言った。
「そ、それは・・・。」
(そうだわ・・・犯人はヒルダ様では無いと言う確証が何もなければ・・・。)
アンナは言葉を飲み込んだ。
「アンナ様には・・本当の事をお話ししますね・・・。あの火事があった日・・火の付いた薪を持っていたのはグレースさんです。グレースさんは自分の身体を火傷させて、それを私のせいにしようとしていたのです。でもそこを・・イワンさんがグレースさんを止めようとして・・薪を持っていた腕を強く握ったんです。その時グレースさんは思わず火のついた薪を床に落としてしまって・・それで・・あっという間に火が燃え広がって・・・・教会は焼け落ちたんです。」
ポツリポツリと語るヒルダの話は衝撃的なものだった。だが・・・どうしてもアンナには納得出来ない事があった。
「そ、それなら・・何故ヒルダ様は・・・グレースの罪を自分で被ったのですか・・?」
するとヒルダは言った。
「それは・・私が・・・グレースさんの恋人だったルドルフを・・う、奪ってしまったから・・。」
いつしかヒルダの目には涙が浮かんでいた―。
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