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第2章 20 喫茶店で
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「あ、ありがとう・・悪いな・・。」
メニューを受け取り、中を開いたコリンはその金額に目を見開いた。メニュー表には飲み物意外にもケーキやスコーン、それにサンドイッチなどの軽食もあり、とても豊富だった。
けれど・・・。そのどれもが驚くべき金額だったのだ。一番安いホットコーヒーでさえ、コリンの1日の日当分である。
「・・・・・。」
メニュー表を眺めながら、青い顔でカタカタと振るえているコリンの姿にヒルダとルドルフは不思議そうに顔を合わせ・・・ルドルフはコリンに声を掛けた。
「コリン・・どうしたんだい?」
「あ・・ル、ルドルフ・・・。ほ、本当に・・何でも頼んでいいのか?こんなに高いのに・・?」
「「え?」」
ヒルダとルドルフはコリンの発言に驚き、声を上げてしまった。
(高い・・・コリンはこれが高いっていうのか?)
ルドルフは先ほど見たメニュー表の金額を思い出していた。単品であればどれも銀貨1枚にも満たない金額・・ケーキとセットメニューでもせいぜい銀貨1枚でおつりが出るほどである。
(コリンさん・・・余程貧しい生活をしているのね・・・。)
一方のヒルダもコリンの発言に驚いていた。伯爵令嬢としてカウベリーに住んでいた頃はお嬢様として暮らしていたので、物の金額の価値は一切分からなかったがロータスで暮らすようになってからは、買い物をするようになり・・・物価の基準というものが分かった。なので、ヒルダから見てもここのメニューに記載されている金額は全て妥当だと思えたのだが、コリンにとっては高額だという事は衝撃だった。
(コリンさんには・・・手の届かないお店だったのね・・それなら・・。)
そこでヒルダはルドルフに言った。
「ルドルフ、私・・紅茶とショートケーキのセットにしようかと思うのだけど・・皆もセットメニューにしたらどうかしら?」
するとルドルフはヒルダの意図に気づいた。
(そうか・・・ヒルダ様はコリンの為に・・・彼が遠慮せずに注文できるように気を使ってくれているんだ・・。)
「そうですね。それはいいですね・・・では僕はコーヒーとチーズケーキにします。コリンはどのセットメニューがいい?」
「え?!お、俺も・・いいのかい?!」
コリンは慌ててセットメニューを見た。セットメニューは銀貨1枚分に匹敵する金額であった。思わず、それを見てコリンの喉がゴクリとなってしまった。
(ほ、本当に・・いいのか・・・?こんな高いのに・・。だけど2人だってセットメニューを頼んだんだ。今の俺にはとても自分の力で支払えない金額・・・。多分こんなチャンスは二度と来ないかもしれない・・・っ!」
「そ、それじゃ・・・俺はココアとチェリーパイで・・・。」
コリンの頼んだメニューは一番高額ではあったが、ルドルフは何も言わずに手を上げてウェイターを呼んだ。
「はい、お待たせいたしました。」
「すみません。セットメニューで紅茶とショートケーキ、ココアとチェリーパイ、そしてコーヒーとチーズケーキをお願いします。」
ウェイターはサラサラと注文伝票に内容を書き込むと頭を下げた。
「ごゆっくりどうぞ。」
ウェイターが去った後、ルドルフはコリンに向き直ると口を開いた。
「コリン、工場の仕事・・・少しは慣れたのかい?」
「あ、ああ・・・まあね・・。もう働き始めて2年になれるからな・・・。大変な事ばかりだけど・・今更『カウベリー』には戻れないし・・・。」
そこまで言い、コリンは顔を上げてルドルフを見た―。
メニューを受け取り、中を開いたコリンはその金額に目を見開いた。メニュー表には飲み物意外にもケーキやスコーン、それにサンドイッチなどの軽食もあり、とても豊富だった。
けれど・・・。そのどれもが驚くべき金額だったのだ。一番安いホットコーヒーでさえ、コリンの1日の日当分である。
「・・・・・。」
メニュー表を眺めながら、青い顔でカタカタと振るえているコリンの姿にヒルダとルドルフは不思議そうに顔を合わせ・・・ルドルフはコリンに声を掛けた。
「コリン・・どうしたんだい?」
「あ・・ル、ルドルフ・・・。ほ、本当に・・何でも頼んでいいのか?こんなに高いのに・・?」
「「え?」」
ヒルダとルドルフはコリンの発言に驚き、声を上げてしまった。
(高い・・・コリンはこれが高いっていうのか?)
ルドルフは先ほど見たメニュー表の金額を思い出していた。単品であればどれも銀貨1枚にも満たない金額・・ケーキとセットメニューでもせいぜい銀貨1枚でおつりが出るほどである。
(コリンさん・・・余程貧しい生活をしているのね・・・。)
一方のヒルダもコリンの発言に驚いていた。伯爵令嬢としてカウベリーに住んでいた頃はお嬢様として暮らしていたので、物の金額の価値は一切分からなかったがロータスで暮らすようになってからは、買い物をするようになり・・・物価の基準というものが分かった。なので、ヒルダから見てもここのメニューに記載されている金額は全て妥当だと思えたのだが、コリンにとっては高額だという事は衝撃だった。
(コリンさんには・・・手の届かないお店だったのね・・それなら・・。)
そこでヒルダはルドルフに言った。
「ルドルフ、私・・紅茶とショートケーキのセットにしようかと思うのだけど・・皆もセットメニューにしたらどうかしら?」
するとルドルフはヒルダの意図に気づいた。
(そうか・・・ヒルダ様はコリンの為に・・・彼が遠慮せずに注文できるように気を使ってくれているんだ・・。)
「そうですね。それはいいですね・・・では僕はコーヒーとチーズケーキにします。コリンはどのセットメニューがいい?」
「え?!お、俺も・・いいのかい?!」
コリンは慌ててセットメニューを見た。セットメニューは銀貨1枚分に匹敵する金額であった。思わず、それを見てコリンの喉がゴクリとなってしまった。
(ほ、本当に・・いいのか・・・?こんな高いのに・・。だけど2人だってセットメニューを頼んだんだ。今の俺にはとても自分の力で支払えない金額・・・。多分こんなチャンスは二度と来ないかもしれない・・・っ!」
「そ、それじゃ・・・俺はココアとチェリーパイで・・・。」
コリンの頼んだメニューは一番高額ではあったが、ルドルフは何も言わずに手を上げてウェイターを呼んだ。
「はい、お待たせいたしました。」
「すみません。セットメニューで紅茶とショートケーキ、ココアとチェリーパイ、そしてコーヒーとチーズケーキをお願いします。」
ウェイターはサラサラと注文伝票に内容を書き込むと頭を下げた。
「ごゆっくりどうぞ。」
ウェイターが去った後、ルドルフはコリンに向き直ると口を開いた。
「コリン、工場の仕事・・・少しは慣れたのかい?」
「あ、ああ・・・まあね・・。もう働き始めて2年になれるからな・・・。大変な事ばかりだけど・・今更『カウベリー』には戻れないし・・・。」
そこまで言い、コリンは顔を上げてルドルフを見た―。
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