321 / 566
第3章 1 クロード警部補
しおりを挟む
『コックス』にある警察署、本庁―
「全く・・・。またアヘン中毒患者の事件が起こったよ・・。」
事件の後始末で事情徴収を終えたクロード警部補が先に部署に戻っていた同僚にぼやきながら上着を脱ぐとコートハンガーにかけた。
「そうだな。以前はアヘンと言えば医療用の麻酔代わりに使われていたのに最近の傾向としては快楽を求める為に使用され、今では犯罪も起きるようになったし・・。」
同僚のピエールは煙草を吸いながら言う。
「全く・・・俺は他にやらなければならない仕事があるのに・・。」
そのボヤキをピエールは聞き逃さなかった。
「ん?クロード・・お前、何か他に事件を担当していたか?」
「いや、そういうわけではないのだが・・・。」
クロードは心残りがあった。それはつい最近まで関わっていた『カウベリー』での事件である。その時・・・・。
「クロード警部補っ!お電話がはいっておりますっ!」
新人の婦人警官がクロードを呼びに駆け寄ってきた。
「電話?俺に?」
「ええ。電話をかけてきた相手はまだ17歳の少年で、名前をルドルフ・テイラーと名乗っておりますが?」
「ルドルフ・・・?何と!ルドルフ君からっ?!」
クロードは慌てて電話口に駆け寄ると、外されていた受話器を手に取った。
「もしもしっ!」
『こんにちは、刑事さん。ご無沙汰足しておりました。ルドルフです。』
電話口からルドルフの声が聞こえてきた。
「ああ。久しぶりだったね。ルドルフ君。元気だったかい?」
『はい、元気です。刑事さんもお元気そうで何よりです。』
「元気だけが取り柄だからな。そうでなければ刑事は務まらないよ。それで?君はまだ『カウベリー』にいるのかい?」
『いえ、実は僕はあの後すぐにロータスに戻ったんです。』
「え?そうなのか・・?」
(やはり、せっかく里帰りしたのに、あんな凄惨な事件が起きてしまったのだから無理も無いか・・。)
しかし、ルドルフの答えはクロードの考えとは全く違っていた。
『僕がロータスに戻ってきたのは・・会いたい人がいたからです・・・。』
「え?」
予想外の回答にクロードは戸惑った。
『僕は・・どうしても教会の火事を起こした罪を自らかぶって、故郷を追い出されてしまった愛する女性に会いたくて・・・戻ってきたんです。』
「ル、ルドルフ君・・。」
あまりの突然の話にクロードは戸惑ってしまった。
(参ったな・・事件や犯罪についての話なら得意だが・・恋愛の話になるとは・・。)
『実は、今・・ぼくはその愛する女性・・ヒルダ様とボルトの町に来ているのです。』
「え?ボルトの町・・・?確かそこは・・。」
クロードは『ボルト』の町についての情報を思い出した。その町は全体が工場で覆われたような・・工場の為に作られたような町であること。働いてる工員達の平均年齢がとても若い事・・・なぜならほとんどが過酷な労働環境のせいで辞めていくか、早死にしてしまうかのどちらかだったからだ。
「ルドルフ君・・・何故そんな町にいるんだい?少なくとも『ボルト』は君のような貴族が訪れるような町じゃないよ?あそこは治安も環境も悪いし・・何よりアヘン中毒者も溢れているような場所だ。」
『ええ・・そのようですね。でも・・僕はどうしても来なければならなかったんです。ここには教会の焼失事件に関わった2人の同級生がいたからです。僕は彼らに会いに来て・・・犯人はグレースだったという証言を得ることが出来たんです。そして・・そのうちの1人が結核にかかっていて・・あまり長く持たないかもしれないんです・・。』
「え・・?」
クロードはルドルフの言葉に息を飲んだ―。
「全く・・・。またアヘン中毒患者の事件が起こったよ・・。」
事件の後始末で事情徴収を終えたクロード警部補が先に部署に戻っていた同僚にぼやきながら上着を脱ぐとコートハンガーにかけた。
「そうだな。以前はアヘンと言えば医療用の麻酔代わりに使われていたのに最近の傾向としては快楽を求める為に使用され、今では犯罪も起きるようになったし・・。」
同僚のピエールは煙草を吸いながら言う。
「全く・・・俺は他にやらなければならない仕事があるのに・・。」
そのボヤキをピエールは聞き逃さなかった。
「ん?クロード・・お前、何か他に事件を担当していたか?」
「いや、そういうわけではないのだが・・・。」
クロードは心残りがあった。それはつい最近まで関わっていた『カウベリー』での事件である。その時・・・・。
「クロード警部補っ!お電話がはいっておりますっ!」
新人の婦人警官がクロードを呼びに駆け寄ってきた。
「電話?俺に?」
「ええ。電話をかけてきた相手はまだ17歳の少年で、名前をルドルフ・テイラーと名乗っておりますが?」
「ルドルフ・・・?何と!ルドルフ君からっ?!」
クロードは慌てて電話口に駆け寄ると、外されていた受話器を手に取った。
「もしもしっ!」
『こんにちは、刑事さん。ご無沙汰足しておりました。ルドルフです。』
電話口からルドルフの声が聞こえてきた。
「ああ。久しぶりだったね。ルドルフ君。元気だったかい?」
『はい、元気です。刑事さんもお元気そうで何よりです。』
「元気だけが取り柄だからな。そうでなければ刑事は務まらないよ。それで?君はまだ『カウベリー』にいるのかい?」
『いえ、実は僕はあの後すぐにロータスに戻ったんです。』
「え?そうなのか・・?」
(やはり、せっかく里帰りしたのに、あんな凄惨な事件が起きてしまったのだから無理も無いか・・。)
しかし、ルドルフの答えはクロードの考えとは全く違っていた。
『僕がロータスに戻ってきたのは・・会いたい人がいたからです・・・。』
「え?」
予想外の回答にクロードは戸惑った。
『僕は・・どうしても教会の火事を起こした罪を自らかぶって、故郷を追い出されてしまった愛する女性に会いたくて・・・戻ってきたんです。』
「ル、ルドルフ君・・。」
あまりの突然の話にクロードは戸惑ってしまった。
(参ったな・・事件や犯罪についての話なら得意だが・・恋愛の話になるとは・・。)
『実は、今・・ぼくはその愛する女性・・ヒルダ様とボルトの町に来ているのです。』
「え?ボルトの町・・・?確かそこは・・。」
クロードは『ボルト』の町についての情報を思い出した。その町は全体が工場で覆われたような・・工場の為に作られたような町であること。働いてる工員達の平均年齢がとても若い事・・・なぜならほとんどが過酷な労働環境のせいで辞めていくか、早死にしてしまうかのどちらかだったからだ。
「ルドルフ君・・・何故そんな町にいるんだい?少なくとも『ボルト』は君のような貴族が訪れるような町じゃないよ?あそこは治安も環境も悪いし・・何よりアヘン中毒者も溢れているような場所だ。」
『ええ・・そのようですね。でも・・僕はどうしても来なければならなかったんです。ここには教会の焼失事件に関わった2人の同級生がいたからです。僕は彼らに会いに来て・・・犯人はグレースだったという証言を得ることが出来たんです。そして・・そのうちの1人が結核にかかっていて・・あまり長く持たないかもしれないんです・・。』
「え・・?」
クロードはルドルフの言葉に息を飲んだ―。
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
【完結】王妃を廃した、その後は……
かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。
地位や名誉……権力でさえ。
否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。
望んだものは、ただ一つ。
――あの人からの愛。
ただ、それだけだったというのに……。
「ラウラ! お前を廃妃とする!」
国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。
隣には妹のパウラ。
お腹には子どもが居ると言う。
何一つ持たず王城から追い出された私は……
静かな海へと身を沈める。
唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは……
そしてパウラは……
最期に笑うのは……?
それとも……救いは誰の手にもないのか
***************************
こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。
そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、
死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。
「でも、子供たちの心だけは、
必ず取り戻す」
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。
それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。
これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる