487 / 566
第6章 2 現れた人物
しおりを挟む
「おいっ!今…なんて言ったっ?!」
気づけばエドガーはトビアスの襟首を掴んでいた。
「よ、よせよ…エドガー…」
「今の言葉をもう一度言ってみろ…」
エドガーはヒルダの足の事を言われて、すっかり頭に血が上っていた。しかし、周囲の視線が自分達に集中している事に気付き、手を離すと言った。
「ヒルダには近付くな…」
トビアスは乱れた襟元を直しながらエドガーに言った。
「何だよ…去年といい、今年といい…ヒルダの話になると過剰に反応しやがって…あ、お前…ひょっとして…」
「何だ…?」
エドガーはジロリとトビアスを睨みつけた。
「ひょっとしてお前…義理の妹の事を…」
トビアスが言いかけた時―。
「お兄様…?」
背後からヒルダの声が聞こえた。
「ヒルダ…ッ!」
エドガーはヒルダを振り返った。
(何てタイミングが悪いんだっ!)
すると案の定、トビアスが目の色を変えてヒルダを見つめていた。
「ヒルダ…何故、ここへ来たんだ?」
少々冷たい言い方にヒルダは一瞬肩がピクリと動いた。
「あ…ご、ごめんなさい…。お母様がパーティーのお客様達に挨拶があるから、席を外すように言われて…それで…心細かったのでお兄様を探していたのです」
「ヒルダ…」
何ともいじらしい事を言うヒルダに思わずエドガーの胸が熱くなる。その時―。
「始めまして、ヒルダ・フィールズ嬢ですね?私はトビアス・クルーと申します。貴女と同じ伯爵家の者です」
ヒルダは突然話しかけられ、驚きながらも挨拶をした。
「始めまして。ヒルダ・フィールズと申します。本日はパーティーに出席して頂き、ありがとうございます」
ドレスの裾をつまんで挨拶するヒルダにトビアスは言った。
「いいえ、このパーティーに出席することが出来て、本当に光栄です。何故ならこんなに美しい女性にお会いする事が出来たのですから」
「え…?」
トビアスがヒルダに近づいた時…。
「必要以上にヒルダに接近するな」
エドガーがトビアスの前に立ちはだかった。
「…何ですか?エドガーお兄様?私は今貴女の妹君と話をしているのですよ?無粋な真似はしないで頂けませんか?」
明らかに挑発する言い方にエドガーの苛立ちが募る。
(トビアスめ…俺がヒルダを好きなことに気付いて…わざとこんな態度を取っているんだな…!)
本当なら追い払ってやりたいところだが、今夜は年に1度のクリスマスパーティー。この様なおめでたい席で揉め事を起こすわけにはいかなかった。
「エドガーお兄様、貴方の妹君とお話をする時間を頂けますよね?」
言いながら上目遣いにエドガーを見る。
「…っ!」
「お兄様…私なら大丈夫ですから…いいですよ。お話くらいでしたら…」
ヒルダはエドガーの様子がおかしい事に気付き、何とかその場を取り繕うとしたその時―。
「おい、そこの君…。俺のヒルダに手を出さないでもらえるか?」
ヒルダの背後で声が聞こえた。
「あ…っ!」
その人物を見たエドガーが目を見開く。そこに現れたのはノワールだったのだ。
「ノワール様…」
(まさか…ノワール様が来るなんて…!それに俺のヒルダに…とはどういう意味なの…?)
一方のエドガーもノワールの言葉にショックを受けていた。
(兄さん…まさか、兄さんもヒルダの事を…?)
一方のノワールは口元に笑みを浮かべながら…冷たい視線でトビアスを見ていた―。
気づけばエドガーはトビアスの襟首を掴んでいた。
「よ、よせよ…エドガー…」
「今の言葉をもう一度言ってみろ…」
エドガーはヒルダの足の事を言われて、すっかり頭に血が上っていた。しかし、周囲の視線が自分達に集中している事に気付き、手を離すと言った。
「ヒルダには近付くな…」
トビアスは乱れた襟元を直しながらエドガーに言った。
「何だよ…去年といい、今年といい…ヒルダの話になると過剰に反応しやがって…あ、お前…ひょっとして…」
「何だ…?」
エドガーはジロリとトビアスを睨みつけた。
「ひょっとしてお前…義理の妹の事を…」
トビアスが言いかけた時―。
「お兄様…?」
背後からヒルダの声が聞こえた。
「ヒルダ…ッ!」
エドガーはヒルダを振り返った。
(何てタイミングが悪いんだっ!)
すると案の定、トビアスが目の色を変えてヒルダを見つめていた。
「ヒルダ…何故、ここへ来たんだ?」
少々冷たい言い方にヒルダは一瞬肩がピクリと動いた。
「あ…ご、ごめんなさい…。お母様がパーティーのお客様達に挨拶があるから、席を外すように言われて…それで…心細かったのでお兄様を探していたのです」
「ヒルダ…」
何ともいじらしい事を言うヒルダに思わずエドガーの胸が熱くなる。その時―。
「始めまして、ヒルダ・フィールズ嬢ですね?私はトビアス・クルーと申します。貴女と同じ伯爵家の者です」
ヒルダは突然話しかけられ、驚きながらも挨拶をした。
「始めまして。ヒルダ・フィールズと申します。本日はパーティーに出席して頂き、ありがとうございます」
ドレスの裾をつまんで挨拶するヒルダにトビアスは言った。
「いいえ、このパーティーに出席することが出来て、本当に光栄です。何故ならこんなに美しい女性にお会いする事が出来たのですから」
「え…?」
トビアスがヒルダに近づいた時…。
「必要以上にヒルダに接近するな」
エドガーがトビアスの前に立ちはだかった。
「…何ですか?エドガーお兄様?私は今貴女の妹君と話をしているのですよ?無粋な真似はしないで頂けませんか?」
明らかに挑発する言い方にエドガーの苛立ちが募る。
(トビアスめ…俺がヒルダを好きなことに気付いて…わざとこんな態度を取っているんだな…!)
本当なら追い払ってやりたいところだが、今夜は年に1度のクリスマスパーティー。この様なおめでたい席で揉め事を起こすわけにはいかなかった。
「エドガーお兄様、貴方の妹君とお話をする時間を頂けますよね?」
言いながら上目遣いにエドガーを見る。
「…っ!」
「お兄様…私なら大丈夫ですから…いいですよ。お話くらいでしたら…」
ヒルダはエドガーの様子がおかしい事に気付き、何とかその場を取り繕うとしたその時―。
「おい、そこの君…。俺のヒルダに手を出さないでもらえるか?」
ヒルダの背後で声が聞こえた。
「あ…っ!」
その人物を見たエドガーが目を見開く。そこに現れたのはノワールだったのだ。
「ノワール様…」
(まさか…ノワール様が来るなんて…!それに俺のヒルダに…とはどういう意味なの…?)
一方のエドガーもノワールの言葉にショックを受けていた。
(兄さん…まさか、兄さんもヒルダの事を…?)
一方のノワールは口元に笑みを浮かべながら…冷たい視線でトビアスを見ていた―。
2
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
【完結】王妃を廃した、その後は……
かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。
地位や名誉……権力でさえ。
否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。
望んだものは、ただ一つ。
――あの人からの愛。
ただ、それだけだったというのに……。
「ラウラ! お前を廃妃とする!」
国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。
隣には妹のパウラ。
お腹には子どもが居ると言う。
何一つ持たず王城から追い出された私は……
静かな海へと身を沈める。
唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは……
そしてパウラは……
最期に笑うのは……?
それとも……救いは誰の手にもないのか
***************************
こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。
そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、
死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。
「でも、子供たちの心だけは、
必ず取り戻す」
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。
それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。
これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる