許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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13 少しの変化

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 その日、キャロルが帰宅してきたのは20時を過ぎた頃だった。丁度、この日・・母は御婦人同士のお泊り会で不在だったので運が良かった。

「キャロル・・遅いわね・・・。」

メイド達に勧められて夕食は食べてしまったけれども、私はダイニングテーブルの椅子に座り、キャロルが帰宅するのをじっと待っていると・・。

「ただいま~。」

キャロルの声がエントランスに響き渡った。

「キャロルッ?!」

慌ててエントランスに行くと、フットマンに迎え入れられたキャロルがそこに立っていた。

「お帰りなさい、キャロル。どう?楽しかった?」

私は何気ない様子を装いながらキャロルに尋ねた。

「ええ、楽しかったわ。食事を御馳走になって来たの。それより・・テア。ごめんなさいね?貴女に私の荷造りの準備をさせてしまて・・・。」

キャロルは申し訳なさそうに言う。

「いいのよ。それに他のメイド達も手伝ってくれたから。でも・・食事は済ませてきたのね。良かったわ・・実は私も食事を済ませてしまっていたから。キャロルが食べていなかったら悪い事をしてしまっていたわ。」

「それなら大丈夫よ。私達18時にはレストランに入っていたから。あのね、そこはシーフード料理が有名なレストランだったの。テア、今度2人で一緒に行きましょううよ。」

キャロルは優しい。気を使って私を誘ってくれるのだから。

「ええ・・ありがとう。それじゃ今度連れて行ってね?」

「ええ!勿論よっ!」

私はキャロルに言った。

「キャロル、明日は入学式だから・・今夜は早く休んだ方がいいわ。疲れたでしょう?メイドにお風呂の準備をお願いしておくから。」

「ええ・・そうね。ありがとう、テア。貴女は・・・やっぱり私の一番の親友だわ。大好きよ、テア。」

キャロルは笑顔で言った。

「ええ、勿論私もキャロルが大好きよ。」

そう・・キャロルがそうやって笑顔でいてくれるなら・・ヘンリーがキャロルと一緒にいて幸せなら、私は・・・。

 この時、私は決意した。
半年後、父が領地から戻ってきたら・・・ヘンリーとの許嫁の関係を無かった事にして貰おうと・・・。最もその前にヘンリーから伝えてくるかもしれないけれど、その時が来たら笑顔でそれを受け入れよう・・。



****

 翌朝8時―

 今日は大学の入学式だ。

「キャロル、そろそろ行きましょう?」

エントランスに出た私はキャロルに声を掛けた。

「ええ。今行くわ。」

キャロルは今日から寮に入るから私と違って荷物が多い。両手に一つずつ、トランクケースを持っている。
朝は使用人たちは忙しいから、基本自分たちの事は全部自分達でするのが我が屋敷の習わしだった。

「まあ・・重そうね。ごめんなさい、キャロル。荷物があったの忘れていたわ。1つ持つわね。」

「ありがとう、テア。」

トランクケースを持って、ドアを開けようとしたとき不意にドアノッカーの音が響き渡った。

「あら・・誰かしら?こんな早い時間から・・。」

不思議に思ってドアを開けると、そこには笑みを浮かべたヘンリーが立っていた。

「ああ、お早う。テア、迎えに来たんだよ?」

え・・?
私は思わず耳を疑った。ヘンリーがこんな笑顔で今まで私を迎えに来たことなんか・・・。
その時―

「キャロルッ!」

ヘンリーの視線が私を通り越してキャロルを見ていた。
ああ・・そうか。危うく私は勘違いしてしまう処だった。私に向けた笑顔は・・・私の為では無く、キャロルの為だったのだと。

「まあ・・・お早う。ヘンリー。一体どうしたの?こんな朝から・・・。」

「キャロル。君を迎えに来たに決まってるじゃないか。」

「・・・・・。」

無言で私はヘンリーの視界からずれて、2人の視界から外れた場所に移動した。
そう、ヘンリーがキャロルを迎えに来るのは当然の事だったのだ。何故なら2人は・・・・。

「あの、それじゃ・・・私は先に行くわね。又、入学式で会いましょう。」

私は1人ドアから外に出ようとすると、キャロルが声を掛けてきた。

「あら、テアも私達と同じ馬車で行きましょうよ。いいでしょう?ヘンリー。」

そしてキャロルは笑顔で私を見つめる。

「あ・・・。」

私はヘンリーの反応が怖かった。昨日、もうヘンリーに迷惑をかけないと約束してしまったばかりなのに・・キャロルが私の事を思ってくれる気持ちは嬉しいけれども、私は完全に邪魔者なのに・・。

しかし、ヘンリーは言った。

「ああ、そうだな。テアも馬車に乗ると良い。3人で大学へ行こう。」

「え・・?」

私はヘンリーの言葉に耳を疑った。絶対鋭い目で睨まれ、あからさまに嫌な態度を取られると思ったのに・・今朝のヘンリーはまるで別人だった。一体何故・・・?

「よし、それじゃ行こう。荷物・・預かるよ。」

そしてヘンリーは私とキャロルの荷物を預かると馬車へ向かった―。

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