許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
19 / 77

19 学食で好奇の目に晒される私

しおりを挟む
 私とキャロル、そしてヘンリーは学生食堂に来ていた。ここの学生食堂は建物の中と外・・オープンデッキがある。

「キャロル。どこの席で食べたい?」

キャロルを支えるように歩きながらヘンリーが優しい声で尋ねている。私はその様子を見て密かに驚いていた。何故なら彼は今まで一度も私の希望を聞いてくれた事は無かったからだ。いつも自分で勝手に席を決めていたか、お前の好きにしろとそっけない態度ばかりだった。それが彼の性格なのだと私は思っていたのだが・・。

「・・・。」

私って余程ヘンリーに嫌われていたのだと思うと、自分の鈍感さが嫌になってしまった。だから余計にヘンリーを苛立たせていたのかもしれない・・。

「そうねぇ・・テアは何処で食べたい?」

うつむいていた私に不意にキャロルが声を掛けてきた。

「え?あ、あの・・私はどこでも・・・。」

するとヘンリーが険しい声で言う。

「テア、せっかくキャロルがお前の希望を聞いてくれているのにどこでもいいって返事は無いだろう?お前はキャロルの好意を無碍にするのか?」

「え?あ、あの・・私はそこまでの事は・・・。」

「やめて。ヘンリー。テアにきつい言い方しないでくれる?」

キャロルの言葉にヘンリーは慌てる。

「い、いや・・僕はそんなつもりで・・悪かったね?テア?」

ヘンリーは私の方を向いて謝ったけれども・・その表情は酷く怒っていた。キャロルはヘンリーの背後にいるから彼の表情には気づいていない。

「い、いいの。別に私は気にしていないから・・そうだわ、なら・・・天気もいいからオープンデッキで食べない?」

「いいわね、賛成!さすがはテアだわ。」

ニコニコしながら言うキャロルにヘンリーは言う。

「そうだね、僕もそう思うよ。それじゃ行こうか?」

そしてヘンリーはキャロルをエスコートしながらオープンデッキへと向かい、私も彼らから少し距離を空けて後に続いた。


「随分混んでるな・・・あ!あの青いパラソルの下のテーブルが開いている。テア、先に行って席を確保して来いよ。」

足を痛めたキャロルを連れているヘンリーの言い分は最もだ。

「ええ、分かったわ。」

返事をすると駆け足で空いてる席に向かう。ここで席を確保出来なければまた彼の機嫌が悪くなってしまうから。
人混みをかき分けて、何とか私はヘンリーが見つけた席を確保することが出来た。
けれども・・。

「あ・・。」

そこは2人掛け用のテーブル席だったのだ。どうしよう・・でもキャロルとヘンリーの席さえ確保出来ればどうだっていい。私は2人がやってくるのを待っていた。

 少し遅れて2人は私の前にやってきた。

「ふ~ん・・席とれたんだな。よくやった。」

ヘンリーは無表情で言う。

「え、ええ。」

ヘンリーが褒めてくれた!思わず顔に笑みが浮かびそうになり、慌ててて引き締める。

「でも・・・ここは2人掛けよ?どうするの?」

キャロルがヘンリーに言う。すると当然のようにヘンリーは答えた。

「そんなのは決まっているよ。僕とキャロルがこの席に座って・・・テア。君はどこか別の空いてる席を探すと良い。」

「そんな・・・!」

キャロルが何か言いかけるのを私は止めた。

「ええ、勿論そのつもりよ。私はまた別の席を探すから、ここは2人で使って。」

「だけど・・・。」

キャロルの言葉の上にヘンリーは自分の言葉を重ねてきた。

「いいんだよ、キャロル。テアがああ言ってるんだから、遠慮することは何もない。そうだろう?テア。」

その言葉は・・どこか有無を言わさない強さがあった。

「ええ、そうなの。だから2人はここに座って食事をして?私は別に席を探すから・・・。」

既に私たちの周囲では近くのテーブル席に座っている学生たちから好奇心の目で見られていた。

「三角関係・・・・?」

「あの女性・・完全にお邪魔虫よね?」

「あの女子学生が一方的に付きまとってるのか?だから男はきつい態度を取っているのかもな・・・?」

など等・・どうやら私は周囲の学生たちからは恋人同士に付きまとい、仲を裂こうとしている邪魔者にみられているようだった。これはあまりにも恥ずかしいし、悲しくなってくる。私は好きで一緒にいるわけではないのに・・。

一刻も早くこの席から離れたい―。そう思った私は2人に声を掛けた。

「そ、それじゃ・・。私行くわね。」

「待って、テア・・。」

キャロルが何か言いかけたが、私は足早に2人の前から立ち去った―。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません

鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。 「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」 そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。 ——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。 「最近、おまえが気になるんだ」 「もっと夫婦としての時間を持たないか?」 今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。 愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。 わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。 政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ “白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。 だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。 理由は簡単だった。 「君は役に立ちすぎた」から。 すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、 “静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。 そこで待っていたのは―― 期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。 前に出なくていい。 誰かのために壊れなくていい。 何もしなくても、ここにいていい。 「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」 婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、 何者にもならなくていいヒロインの再生と、 放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。 これは、 “役に立たなくなった”令嬢が、 ようやく自分として生き始める物語。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

かつて番に婚約者を奪われた公爵令嬢は『運命の番』なんてお断りです。なのに獣人国の王が『お前が運命の番だ』と求婚して来ます

神崎 ルナ
恋愛
「運命の番に出会ったからローズ、君との婚約は解消する」  ローズ・ファラント公爵令嬢は婚約者のエドモンド・ザックランド公爵令息にそう言われて婚約を解消されてしまう。  ローズの居るマトアニア王国は獣人国シュガルトと隣接しているため、数は少ないがそういった可能性はあった。  だが、今回の婚約は幼い頃から決められた政略結婚である。  当然契約違反をしたエドモンド側が違約金を支払うと思われたが――。 「違約金? 何のことだい? お互いのうちどちらかがもし『運命の番』に出会ったら円満に解消すること、って書いてあるじゃないか」  確かにエドモンドの言葉通りその文面はあったが、タイミングが良すぎた。  ここ数年、ザックランド公爵家の領地では不作が続き、ファラント公爵家が援助をしていたのである。  その領地が持ち直したところでこの『運命の番』騒動である。  だが、一応理には適っているため、ローズは婚約解消に応じることとなる。  そして――。  とあることを切っ掛けに、ローズはファラント公爵領の中でもまだ発展途上の領地の領地代理として忙しく日々を送っていた。  そして半年が過ぎようとしていた頃。  拙いところはあるが、少しずつ治める側としての知識や社交術を身に付けつつあったローズの前に一人の獣人が現れた。  その獣人はいきなりローズのことを『お前が運命の番だ』と言ってきて。        ※『運命の番』に関する独自解釈がありますm(__)m

処理中です...