孤独な公女~私は死んだことにしてください

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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3-7 突然の謝罪 

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 することが無くなってしまったサフィニアは自室で刺繍の本を見ながら模様を刺す練習をしていた。
それは以前にポルトスから「貴族令嬢の嗜みの一つとして刺繍があります。これからは刺繍の練習もしておいた方が良いでしょう」と言われていたからだ。

「……」

サフィニアは慣れない刺繍に苦戦していた。メイド時代に雑巾は縫ったことがあるものの、刺繍で模様を刺したことなどなかったからだ。
本来は誰かに教えてもらいながら練習をするのだろうが、ポルトスやセザールが刺繍を出来るはずもなく……独学するしかなかったのだ。

「……痛っ!」

サフィニアの口から小さな悲鳴が漏れた。左の人差し指を針で突いてしまったのだ。指先を見ると、小さく血が滲んでいる。

「刺繍って……こんなに難しいのね」

ポツリと呟き、ペーパーで指を押さえていたとき。

――コンコン

部屋の扉がノックされた。

「はーい、どうぞ」

カーラかジルが訪ねて来たのかと思い、サフィニアは返事をした。すると……。

「失礼いたします……」

カチャリと扉が開かれ、ヘスティアが姿を現した。

「え? ヘスティア? 戻っていたの?」

まさかヘスティアが部屋を訪ねてくるとは思いもしていなかったサフィニアは目を丸くした。

「はい、実は……」

俯き加減だったヘスティアは、サフィニアの指から赤く血が滲んでいることに気付いた。

「サフィニア様、指をどうされたのですか?」

「あの……実は針で指を刺してしまって……」

「血が出ているじゃありませんか! 少し見せてください」

「……ええ」

ぺーパーを外すと、指先から赤い血の点が出来ており、ジワジワと大きくなってきている。

「今、消毒薬を貰ってくるので少し待っていてくださいね? それまでペーパーで押さえいてください」

ヘスティアは告げると、足早に部屋を出て行った。

「ヘスティア……?」

呆気に取られていると再びバタバタと足音が近づき、救急箱を手にしたヘスティアが戻って来た。

「お待たせしました、サフィニア様! 救急箱を貰ってきました。怪我を見せてください」

「分かったわ」

怪我をした左手を差し出すと、ヘスティアは早速治療を始めた。血をふき取り、消毒して油紙で指先を保護すると包帯を巻いた。

「これでもう大丈夫です」

治療を終えたヘスティアはサフィニアに告げた。

「あ、ありがとう……」

少し大げさではないかと思ったが、折角治療をしてくれたヘスティアに悪いので黙っていることにした。

「!」

するとヘスティアは一瞬驚いたように目を見開き……次に泣きそうな顔になったのだ。

「え? どうしたの? ヘスティア?」

何か気に障ることを口にしてしまったのかとサフィニアは慌てた。すると……。

「も、申し訳ございませんでした……」

泣き顔のままヘスティアが謝罪してきた。一方のサフィニアは何故、ヘスティアが謝ってきたのか理解できなかった――

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