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10-7 強引な頼みに押し切られ…

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「何なんだ?あいつ…」

イアソン王子がボソリと言った。

「…」

私の隣に立つフランシスカ様が青ざめた顔で小刻みに震えている。

「大丈夫ですか?フランシスカ様」

私が声を掛けると、フランシスカ様は青ざめた顔で頷いた。

「え、ええ…。大丈夫…だけど、また明日誘いに来るからって…言ってたわよね…」

「そうだな」
「そうですね…」

イアソン王子と私は交互に頷く。

「ど、どうしましょう…。このままでは…又明日レナートが誘いに来てしまうわ…」

自分の両肩を抱きしめるように震えるフランシスカ様は心底怯えて見えた。

「お願いです!イアソン王子!明日もレナートが私を誘いに来てしまいます!ど、どうか明日も一緒にいて頂けませんか?!」

フランシスカ様は両手を胸の前で組んで、イアソン王子に頭を下げてきた。

「う…ん…それが駄目なんだ…。明日は用事があって朝から留守にしないとならくて…。力になれなくてごめん」

申し訳無さげに謝るイアソン王子。

「そ、そんな…」

フランシスカ様の目に涙がたまる。

「フランシスカ様、明日はお友達の方々と一緒にいられてはいかがですか?」

「そうだな、ロザリーの言う通りだ。明日は自分の友人と過ごすと良い」

イアソン王子も同意した。

けれど…。

「それが駄目なの…。まだ誰も帰っていないのよ。明日の夕方にならないと帰省してこないの」

首を振って答えるフランシスカ様。

「そうなのですか…」

それではどうすれば良いのだろう…。

するとイアソン王子が私を見て、とんでもないことを言ってきた。

「何も悩む必要はない。ロザリー、君が明日フランシスカと一緒に過ごせばいいんだ」

「え?で、ですが…」

イアソン王子の突然の提案に驚いてしまった。

「ええ、そうね。ロザリーが一緒にいてくれれば心強いわ」

フランシスカ様までイアソン王子に同意する。けれど、レナート様は私のことなど気にもとめない。恐らくレナート様にとって私は取るに足らない存在なのだろう。それに何より私はレナート様が怖かった。
きっと明日フランシスカ様と私が一緒にいれば、益々レナート様は私に対する憎しみを募らせて来る気がする…。

「あの、申し訳ありませんが…恐らく私が一緒にいても何のお力にもなれないと思います。もっと他に適任者の方にお願いして貰えないでしょうか?」

「そんな事を言わないで、明日はフランシスカに付き合ってやるんだ。どうせ特に用事もないのだろう?」

「お願い、ロザリー。1人になるのは怖いのよ」

強引なイアソン王子とフランシスカ様に涙目で訴えられた私は…仕方なく明日はフランシスカ様と過ごす事を約束させられてしまうことになってしまった―。


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