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第1章 21 たっくんの気持ち
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拓也さんの予言?では今日は午前10時には父親が帰って来るとの事で、たっくんは一足先にアパートへ戻ることになった。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん。またね」
たっくんが玄関先で手を振る。
「うん。たっくん、いつでもまた遊びに来てね?平日は午後8時には必ず帰っているから」
「うん!」
たっくんは嬉しそうに返事をする。
「卓也。明日の事はなーんにも心配する事無いからな?」
拓也さんはたっくんの頭を撫でた。
「ありがとう、お兄ちゃん」
そしてたっくんは私と拓也さんを交互に見ると言った。
「お兄ちゃんとお姉ちゃん…お似合いだよね。夫婦みたい」
「「えっ?!」」
ま、まさか10歳の子供にそんな事を言われてしまうとは…!すると拓也さんはまんざらでも無さげに笑みを浮かべた。
「お?卓也。お前もそう思うか?」
「拓也さんまで…!」
「うん。お兄ちゃんとお姉ちゃんが…僕のお父さんとお母さんだったらよかったのに…」
「!」
その言葉に胸が締め付けられそうになる。
「たっくん…!」
私はたっくんを強く抱きしめた。
「いいよ?たっくん。私の事、お姉ちゃんと思ってくれてもいいし、お母さんと思ってくれても…」
するとたっくんは言った。
「ううん…お母さんじゃなくていいよ、やっぱりお姉ちゃんがいいかな?僕の優しいお姉ちゃん」
「うん、私はたっくんのお姉ちゃんだから…何があっても守ってあげるね?」
たっくんを抱きしめる腕に力を籠めた。その言葉は…私の本心だった。
すると拓也さんが背後から声を掛けて来た。
「卓也、そろそろお父さんが帰って来るぞ?」
拓也さんの言葉に私は抱きしめていた腕を解いた。
「たっくん。またね?」
「うん、またね」
そして私達に手を振るとたっくんは1人で部屋を出て行った。
バタン…
アパートの扉が閉じると、拓也さんが言った。
「さて…と。俺もそれじゃ帰ろうかな」
「え?もう帰るの?まだ午前8時を過ぎたばかりなのに?」
思わず、口に出してしまった。
「え?あ…だって悪いだろう?1人暮らしの女性の部屋に男がいつまでもいるのは?」
拓也さんは意外そうな顔で私を見る。その言葉にピンと来た、
「あ…ひょっとして、恋人でもいるの?」
「恋人…」
一瞬拓也さんは悲し気な顔を浮かべ…次の瞬間、笑みを浮かべた。
「いないよ。恋人なんて」
「え?そうなの…?」
だったら今の表情は何…?
「大体、恋人がいたらこんな事していられないだろう?」
「こんな事…」
口の中で小さく呟く。こんな事?こんな事って…どんな事なのだろう?それに一瞬見せた先程の表情は…?
「恋人がいないなら、まだここにいない?ちょっと付き合って貰いたくて…」
「えっ?!つ、付き合うって?!」
何故か拓也さんは驚きの声を上げる。
「え?う、うん…。実はたっくんに進級のお祝いのプレゼントを買ってあげたいの。拓也さんはたっくんの事よく知ってるみたいだから何が好みか分かるでしょう?」
「あ、ああ…そっちのほうか…だよな。そんな筈無いか…時期的にまだ早いし、今回の俺は…」
拓也さんは何事かブツブツ口の中で呟いている。…さっきから一体何を言っているのだろう?
「拓也さん?それで買い物は付き合ってもらえるの?どっち?」
「ああ、勿論!卓也の好きなものなら俺は何だって知ってるからな。いいよ、一緒に買い物に行こう」
卓也さんは満面の笑みを浮かべた―。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん。またね」
たっくんが玄関先で手を振る。
「うん。たっくん、いつでもまた遊びに来てね?平日は午後8時には必ず帰っているから」
「うん!」
たっくんは嬉しそうに返事をする。
「卓也。明日の事はなーんにも心配する事無いからな?」
拓也さんはたっくんの頭を撫でた。
「ありがとう、お兄ちゃん」
そしてたっくんは私と拓也さんを交互に見ると言った。
「お兄ちゃんとお姉ちゃん…お似合いだよね。夫婦みたい」
「「えっ?!」」
ま、まさか10歳の子供にそんな事を言われてしまうとは…!すると拓也さんはまんざらでも無さげに笑みを浮かべた。
「お?卓也。お前もそう思うか?」
「拓也さんまで…!」
「うん。お兄ちゃんとお姉ちゃんが…僕のお父さんとお母さんだったらよかったのに…」
「!」
その言葉に胸が締め付けられそうになる。
「たっくん…!」
私はたっくんを強く抱きしめた。
「いいよ?たっくん。私の事、お姉ちゃんと思ってくれてもいいし、お母さんと思ってくれても…」
するとたっくんは言った。
「ううん…お母さんじゃなくていいよ、やっぱりお姉ちゃんがいいかな?僕の優しいお姉ちゃん」
「うん、私はたっくんのお姉ちゃんだから…何があっても守ってあげるね?」
たっくんを抱きしめる腕に力を籠めた。その言葉は…私の本心だった。
すると拓也さんが背後から声を掛けて来た。
「卓也、そろそろお父さんが帰って来るぞ?」
拓也さんの言葉に私は抱きしめていた腕を解いた。
「たっくん。またね?」
「うん、またね」
そして私達に手を振るとたっくんは1人で部屋を出て行った。
バタン…
アパートの扉が閉じると、拓也さんが言った。
「さて…と。俺もそれじゃ帰ろうかな」
「え?もう帰るの?まだ午前8時を過ぎたばかりなのに?」
思わず、口に出してしまった。
「え?あ…だって悪いだろう?1人暮らしの女性の部屋に男がいつまでもいるのは?」
拓也さんは意外そうな顔で私を見る。その言葉にピンと来た、
「あ…ひょっとして、恋人でもいるの?」
「恋人…」
一瞬拓也さんは悲し気な顔を浮かべ…次の瞬間、笑みを浮かべた。
「いないよ。恋人なんて」
「え?そうなの…?」
だったら今の表情は何…?
「大体、恋人がいたらこんな事していられないだろう?」
「こんな事…」
口の中で小さく呟く。こんな事?こんな事って…どんな事なのだろう?それに一瞬見せた先程の表情は…?
「恋人がいないなら、まだここにいない?ちょっと付き合って貰いたくて…」
「えっ?!つ、付き合うって?!」
何故か拓也さんは驚きの声を上げる。
「え?う、うん…。実はたっくんに進級のお祝いのプレゼントを買ってあげたいの。拓也さんはたっくんの事よく知ってるみたいだから何が好みか分かるでしょう?」
「あ、ああ…そっちのほうか…だよな。そんな筈無いか…時期的にまだ早いし、今回の俺は…」
拓也さんは何事かブツブツ口の中で呟いている。…さっきから一体何を言っているのだろう?
「拓也さん?それで買い物は付き合ってもらえるの?どっち?」
「ああ、勿論!卓也の好きなものなら俺は何だって知ってるからな。いいよ、一緒に買い物に行こう」
卓也さんは満面の笑みを浮かべた―。
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