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第2章 26 事件の概要
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まずは南彩花と椎名正雄がどうやって親しくなっていったか調べてみよう。
「15年も前の事件だが…今の時代、ネットで調べられないことは無いからな。必ず情報が乗っているはずだ…」
キーボードを叩きながら、椎名正雄の情報を調べた。
「あった!これだっ!」
当時の事件の背景と椎名正雄のその後の状況が書かれていた。
****
彩花は7年前、高校卒業後に介護用品を扱う会社に事務員として就職した。そしてその5年後に椎名正雄が入社してきた。
この時既に椎名は結婚しており、妻は妊娠中だった。
女癖が悪かった椎名は彩花に目を付けていたが、妻帯者の椎名に恋愛感情を持つことは無かった。
けれどある日、彩花は通勤途中の車内で痴漢に遭った。それを助けてくれたのが椎名だった。
そこから2人は急速に仲が良くなっていき…会社内で孤立していた彩花は椎名を頼りにするようになり…2人は不倫関係に陥った。
しかし、椎名は金遣いが荒い男でいつしか彩花のヒモ状態になっていた。
薄給の彩花はそれでも椎名にせびられれば金を渡していたが、ついに貯金は底をついてしまった。
そこで彩花が借りていたマンションで別れ話から口論になり…ついに椎名は彩花の首を締めて殺害に至った。
これが事件の概要だった―。
****
「くそっ…!椎名正雄…!あいつ、よくも彩花を…っ!ん?そう言えば椎名はまだ刑務所に入っているのか?」
更に椎名正雄について検索してみた。すると椎名は刑期12年を言い渡され、既に出所していることが明らかになった。
「椎名…俺の大切な彩花を殺しておいて、もう出所していたのか…?」
なんてことだ…。
まだ刑務所に入っているなら、面会に行って…。
「面会に…行ってどうするんだ?俺と奴は何の接点も無いっていうのに…」
いや、それどころか何一つ関わりが無い間柄だ。面会に行ったとしても、自分のことをどんなふうに説明すればよいか見当もつかなかった。
「畜生…15年後のこの世界じゃ…何も出来ない…」
その時、ふと思った。
そうだ、あいつはどうなった?
本来、彩花は俺の父親に殺されることになっていた。だが、あの世界では俺と彩花は知り合いにもなっていなかった。
だから当然あいつと彩花が知り合うことも無かった。そこであいつの代わりに椎名が現れ…彩花を殺した…。
「上野…圭一…。あいつの身には何かあったのだろうか?よし、今度はあいつのことについて調べてみよう」
そして俺は再びキーボードを打ち始めた。
俺の父親である上野圭一の15年前の状況を調べる為に―。
「15年も前の事件だが…今の時代、ネットで調べられないことは無いからな。必ず情報が乗っているはずだ…」
キーボードを叩きながら、椎名正雄の情報を調べた。
「あった!これだっ!」
当時の事件の背景と椎名正雄のその後の状況が書かれていた。
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彩花は7年前、高校卒業後に介護用品を扱う会社に事務員として就職した。そしてその5年後に椎名正雄が入社してきた。
この時既に椎名は結婚しており、妻は妊娠中だった。
女癖が悪かった椎名は彩花に目を付けていたが、妻帯者の椎名に恋愛感情を持つことは無かった。
けれどある日、彩花は通勤途中の車内で痴漢に遭った。それを助けてくれたのが椎名だった。
そこから2人は急速に仲が良くなっていき…会社内で孤立していた彩花は椎名を頼りにするようになり…2人は不倫関係に陥った。
しかし、椎名は金遣いが荒い男でいつしか彩花のヒモ状態になっていた。
薄給の彩花はそれでも椎名にせびられれば金を渡していたが、ついに貯金は底をついてしまった。
そこで彩花が借りていたマンションで別れ話から口論になり…ついに椎名は彩花の首を締めて殺害に至った。
これが事件の概要だった―。
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「くそっ…!椎名正雄…!あいつ、よくも彩花を…っ!ん?そう言えば椎名はまだ刑務所に入っているのか?」
更に椎名正雄について検索してみた。すると椎名は刑期12年を言い渡され、既に出所していることが明らかになった。
「椎名…俺の大切な彩花を殺しておいて、もう出所していたのか…?」
なんてことだ…。
まだ刑務所に入っているなら、面会に行って…。
「面会に…行ってどうするんだ?俺と奴は何の接点も無いっていうのに…」
いや、それどころか何一つ関わりが無い間柄だ。面会に行ったとしても、自分のことをどんなふうに説明すればよいか見当もつかなかった。
「畜生…15年後のこの世界じゃ…何も出来ない…」
その時、ふと思った。
そうだ、あいつはどうなった?
本来、彩花は俺の父親に殺されることになっていた。だが、あの世界では俺と彩花は知り合いにもなっていなかった。
だから当然あいつと彩花が知り合うことも無かった。そこであいつの代わりに椎名が現れ…彩花を殺した…。
「上野…圭一…。あいつの身には何かあったのだろうか?よし、今度はあいつのことについて調べてみよう」
そして俺は再びキーボードを打ち始めた。
俺の父親である上野圭一の15年前の状況を調べる為に―。
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