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第2章 37 こみあげる怒り
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「まだ出て来ないのか…?」
焦りを感じつつ、ひたすら奴が出てくるのを俺は待ち続けた…。
それから20分程経過した頃…。
バンッ!
勢いよく扉が閉まる音が聞こえて、ハッとなって顔を上げた。
するとついに奴がアパートから出てきたのだ。
「全く…いつまでも人を待たせやがって…」
苛立ち紛れに見ていると、カンカンと派手な音を立ててアイツは外階段を降りていく。その横顔は明らかに不機嫌そうだった。
…俺は記憶を手繰り寄せて考えた。
ひょっとして…アイツ、今日は俺に酷い暴力を振るっているかもしれない。
**
新学期が始まる頃、俺はアイツに殴られた怪我も完治しないまま、転入手続きの為に学校へ行き…親父は校長と担任教師から虐待の疑いを掛けられた。
まぁ、実際『暴力』という虐待を受けていたのは確かだが…。
しかし、そのせいで俺は帰宅後に再び奴から酷い暴力を受けたのだ。
『お前のせいで俺が学校側から目をつけられた』と言う、とんでもない理由で…。
**
少しの間、15年前に起きたことを回想し…アイツに対する憎悪がフツフツとこみあげてくる。
「くそっ…!あいつ…5、6発ぶんなぐってやるか…?」
俺は子供の頃に親父から酷いDVを受けたことにより、絶対に大人になったら喧嘩に負けない男になってやろうと心に決めていた。
そしてたまたま入学した高校でボクシング部があり、迷うことなく入部した。
全ては…身体を鍛えて、絶対に喧嘩に負けない男になる為に…。
そして高校卒業後、大学へ進学してからも俺は趣味でボクシングを続け…今に至っている。
その為、素人との喧嘩には絶対的に勝てる自信があった。
あいつを半殺しにしてやりたいほどの憎しみがあったが、今ここで借りに暴力事件を起こしたとして…警察に捕まったら?
「駄目だ…もし警察に捕まれば…一巻の終わりだ…」
奴に対する憎悪は計り知れなかったが、俺は理性で必死に押さえつけた。
そうだ、俺は何の為に過去へ戻って来たんだ?
アイツを殴って半殺しにする為か?
いいや、違う。
彩花を…6月9日に死なせない為に過去に戻って来たのだろう?
そして俺は歯を食いしばり…奴が駅に向かったのを見届けると、子供の頃の俺に会いにアパートへ向かった。
カンカンカンカン…
外階段登り、俺はかつて自分が住んでいた部屋へと向かう。
アパートの部屋の前に立つと、まずは呼吸を整えた。
「子供の頃の俺…無事でいろよ」
そして深呼吸すると、意を決してインターホンを押した―。
焦りを感じつつ、ひたすら奴が出てくるのを俺は待ち続けた…。
それから20分程経過した頃…。
バンッ!
勢いよく扉が閉まる音が聞こえて、ハッとなって顔を上げた。
するとついに奴がアパートから出てきたのだ。
「全く…いつまでも人を待たせやがって…」
苛立ち紛れに見ていると、カンカンと派手な音を立ててアイツは外階段を降りていく。その横顔は明らかに不機嫌そうだった。
…俺は記憶を手繰り寄せて考えた。
ひょっとして…アイツ、今日は俺に酷い暴力を振るっているかもしれない。
**
新学期が始まる頃、俺はアイツに殴られた怪我も完治しないまま、転入手続きの為に学校へ行き…親父は校長と担任教師から虐待の疑いを掛けられた。
まぁ、実際『暴力』という虐待を受けていたのは確かだが…。
しかし、そのせいで俺は帰宅後に再び奴から酷い暴力を受けたのだ。
『お前のせいで俺が学校側から目をつけられた』と言う、とんでもない理由で…。
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少しの間、15年前に起きたことを回想し…アイツに対する憎悪がフツフツとこみあげてくる。
「くそっ…!あいつ…5、6発ぶんなぐってやるか…?」
俺は子供の頃に親父から酷いDVを受けたことにより、絶対に大人になったら喧嘩に負けない男になってやろうと心に決めていた。
そしてたまたま入学した高校でボクシング部があり、迷うことなく入部した。
全ては…身体を鍛えて、絶対に喧嘩に負けない男になる為に…。
そして高校卒業後、大学へ進学してからも俺は趣味でボクシングを続け…今に至っている。
その為、素人との喧嘩には絶対的に勝てる自信があった。
あいつを半殺しにしてやりたいほどの憎しみがあったが、今ここで借りに暴力事件を起こしたとして…警察に捕まったら?
「駄目だ…もし警察に捕まれば…一巻の終わりだ…」
奴に対する憎悪は計り知れなかったが、俺は理性で必死に押さえつけた。
そうだ、俺は何の為に過去へ戻って来たんだ?
アイツを殴って半殺しにする為か?
いいや、違う。
彩花を…6月9日に死なせない為に過去に戻って来たのだろう?
そして俺は歯を食いしばり…奴が駅に向かったのを見届けると、子供の頃の俺に会いにアパートへ向かった。
カンカンカンカン…
外階段登り、俺はかつて自分が住んでいた部屋へと向かう。
アパートの部屋の前に立つと、まずは呼吸を整えた。
「子供の頃の俺…無事でいろよ」
そして深呼吸すると、意を決してインターホンを押した―。
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