ある日、悪役令嬢の私の前にヒロインが落ちてきました

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
5 / 25

第5話 仮婚約決定

しおりを挟む

「どうしていやなんだよっ!」

すると今迄黙って座っていた王太子が突然顔を真っ赤にして立ち上がった。

「え?」

てっきり国王が理由を尋ねてくると思ったのに、まさか王太子本人が聞いてくるなんて…。
驚いて呆気にとられていると、それまでおとなしかった態度とは打って変わって私に文句を言い始めた。

「いいか?僕は将来この国の王様になるんだぞ?一番偉くなるんだからな?それなのに、僕がいやなんて変だ!何だよっ!ちょっと頭がいいから何だって言うんだよ!今迄会った女の子達はみんな僕と婚約したいって言ってきたぞ!」

彼は自分が拒絶されたこと等、今まで一度も無かったのだろう。それでプライドを傷つけられたと思って私に文句を言ってるのかもしれない。

よし、それなら私と婚約なんかする気が起きないようにこの際もっと王太子に嫌われる事を言ってしまおう。
大丈夫、私はまだ5歳の子供。失礼な事を言っても不敬罪に問われて罰せられることは無い…はずだ。

「はい。仰る通り私は頭が良いです、天才です。私は自分よりも賢い人でなければ婚約したくありません」

「「「「えっ?!」」」」

私以外の全員がまるで申し合わせたかのように一斉にこちらを見た。

「ア、アリーナッ!何て事を言うのっ?!」

「今ならまだ間に合う。王太子様に謝りなさい」

母と父はオロオロしている。

「な、何だって!僕を馬鹿にしてるのかっ?!僕だって…賢いんだからなっ!本当に気に食わない奴だなっ!」

アルフォンソ王子は怒りの為か、益々顔を真っ赤にさせて震えている。

そして一方国王は…。

「アッハッハッ!こいつはいい、傑作だ!よし、良いだろう。とりあえずこの婚約は仮婚約と言う形にさせてもらう。この先2人は22歳の学生生活を終えるまでの間、成績を競い合うのだ。アルフォンソがアリーナの成績を一度でも上回れば正式に婚約させてもらう。しかし、卒業迄にアリーナの成績を超えられなければこの婚約は無かったことにしよう!これから16年かけて、どちらが頭が良いか勝負するのだ!」

え?何それ?
大体私は初めから婚約したくないと言っているのに、何故そのような話になってしまったのだろう?
こんなの…はっきり言って私には何のメリットも無いのに!

それに王太子の方だって、こんな生意気な少女を将来の伴侶にしたいはずは無いだろう。
そうだ、きっとさっきみたいにいやだと言って反対してくるに決まっている。
誰も気に食わない相手と婚約なんてしたい物好きなど、どこにもいない。

しかし…やはり王太子は愚かだった。

「分かった!僕と勝負だっ!いいか?お前より頭が良くなればいいんだなっ?!みてろよっ!僕の方が絶対頭がいいんだからなっ!お前みたいな生意気な女勉強で負けるもんかっ!」

あろうことか国王の口車に乗せられて、王太子は私に宣戦布告?してしまったのだ!

「よし、これで話は決まったな?それではアリーナよ。これから我が息子の王妃候補として、よろしく頼むよ」

国王は御満悦な笑みを浮かべた。

「そ、そんなっ!!」

酷いっ!はめられたっ!

こうして、私はたった5歳で王太子と無理やり仮婚約を結ばされてしまった。

…勿論、両親が一言も口を挟めなかったのは、言うまでも無い―。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【短編】誰も幸せになんかなれない~悪役令嬢の終末~

真辺わ人
恋愛
私は前世の記憶を持つ悪役令嬢。 自分が愛する人に裏切られて殺される未来を知っている。 回避したいけれど回避できなかったらどうしたらいいの? *後編投稿済み。これにて完結です。 *ハピエンではないので注意。

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

婚約破棄を望む伯爵令嬢と逃がしたくない宰相閣下との攻防戦~最短で破棄したいので、悪役令嬢乗っ取ります~

甘寧
恋愛
この世界が前世で読んだ事のある小説『恋の花紡』だと気付いたリリー・エーヴェルト。 その瞬間から婚約破棄を望んでいるが、宰相を務める美麗秀麗な婚約者ルーファス・クライナートはそれを受け入れてくれない。 そんな折、気がついた。 「悪役令嬢になればいいじゃない?」 悪役令嬢になれば断罪は必然だが、幸運な事に原作では処刑されない事になってる。 貴族社会に思い残すことも無いし、断罪後は僻地でのんびり暮らすのもよかろう。 よしっ、悪役令嬢乗っ取ろう。 これで万事解決。 ……て思ってたのに、あれ?何で貴方が断罪されてるの? ※全12話で完結です。

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

光の王太子殿下は愛したい

葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。 わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。 だが、彼女はあるときを境に変わる。 アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。 どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。 目移りなどしないのに。 果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!? ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。 ☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います

珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。 最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。 それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

処理中です...