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第12話 ヒロインに感謝
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「まずはお礼を言わせて頂戴。ありがとう!」
私はノエルに向って深々と頭を下げた。
この際、私のランチを駄目にされたり失礼なことばかり言われても、そんなことはどうでもいい。
何故なら彼女の出現で、私は今までの悩みがすべて払拭出来たのだから。
一方、ノエルは私が感謝したことに驚いたのか、目をパチパチさせている。
「ちょ、ちょっと。何故感謝するのよ。貴女のランチを駄目にしてしまったのに」
「いいのよ、別にそんな事は!だって、今まで何故私が自分を取り巻くこの世界に違和感しか感じなかったのか、ようやく謎が解けたのだもの。今迄自分は異邦人のようだと生まれた時から感じていたけど…やっぱり私は異邦人だったのね。これでようやくスッキリしたわ。それもこれも全てノエル。貴女のお陰よ。貴女を見て初めてこの世界が何なのか分かったのだから」
私が一気にまくし立てる様子をノエルは唖然とした顔で見つめている。
「な、なら話が早いわ。本来なら入学式の時にイベントが発生していなくちゃならないのに、もう一ヶ月半も過ぎているのよ。今からでもすぐに私をアルフォンソ王子の前で虐めてイベントを発生させて頂戴」
「え?何故?」
ノエルの言ってる意味が分からない。
「何故って…!そんなの決まっているでしょう?私はね、攻略対象をアルフォンソ様1人に絞っているのよ!他の攻略対象なんかどうでもいい、興味が無いのよっ!」
「へ~…そうなんだ…」
「ね、ねぇ…アリーナ。貴女…前世の記憶を取り戻したらキャラ崩壊していない?」
「うん。そうね。自分でもそう思うもの。やっぱり18年間抑圧されていた何かが吹っ切れてしまったからかもしれないわ。それにしても…もっと早く私のこと見つけてくれれば良かったのに」
「は…はぁあ~っ?ちょ、ちょっと何言ってるのよっ!大体何よ、その格好!ダサい三編みにメガネなんかしちゃって…。オリジナルのアリーナが今の姿見たら泣くわよ?絶対にっ!だからこっちだって見つけられなかったんだから…全く…」
ブツブツ文句を言いながらノエルは私を睨んでいる。
「あ…これね。どうも私の外見は人目を惹くみたいだったから、出来るだけ目立たないようにこんな格好をしているのよ」
ゲームに出ていたアリーナは悪役令嬢ではあったけれども、とても美人だったのだ。
「何よ、それ…自慢で言ってるのかしら?」
「別に自慢してるわけじゃないけれども…」
「まぁ、そんな話はどうでもいいわ!とりあえず、今日からアルフォンソ様の前で私を虐めてちょうだい!早く親しくなれるイベントを発生させなくちゃ」
「虐める…?イヤよ」
私は首を振った。
「何でよ!あ…やっぱり貴女、アルフォンソ様の事好きなのね?だからヒロインの私に盗られるのがイヤなんでしょう?でもお生憎様ね。私と彼は必ず恋人同士になることがシナリオで決定済みなんだから」
「え?私がアルフォンソ王子を好き…?アハハハハハ…ッ!無い無いっ!そんなのありえないってば!」
私は笑いながらノエルの話を全否定した。
「え…ありえないってどういうことよ?」
「私とアルフォンソ王子は確かに仮婚約中だけど、お互いに犬猿の仲なんだってば。だって未だに初めて出会ってからはまともに口も聞いたことがないのよ?」
「えっ?!嘘でしょうっ?!あ…で、でも確かに一度も学園で一緒にいるところを見たことが無いかも…」
「ええ、そうよ。むしろさっさと縁を切りたいくらいなのよ。それにこの世界が本当にゲームのシナリオ通りに行くのなら、ノエルと王子が出会った瞬間に恋に落ちてしまうんじゃないの?だって2人は運命の相手なんでしょう?」
そうだ、私がこんなにまでアルフォンソ王子を拒んでいたのは私が悪役令嬢であり、彼に関わると自分の未来が不幸になるのが、記憶は無くても本能で覚えていたからだ。
「何よ。だったらどうするつもりなの?」
「決まっているじゃない。直接アルフォンソ王子のところへいって、ノエルを紹介するのよ。よろしくお願いしますって。多分今なら学食にいるはずよ。それじゃ早く行きましょう、ほら、ノエルも片付けるの手伝ってよ」
「わ、分かったわ」
私とノエルは散らばったサンドイッチを拾い集め、敷布の片付けをすると、2人で学食へと向った。
アルフォンソ王子にノエルを紹介する為に――。
私はノエルに向って深々と頭を下げた。
この際、私のランチを駄目にされたり失礼なことばかり言われても、そんなことはどうでもいい。
何故なら彼女の出現で、私は今までの悩みがすべて払拭出来たのだから。
一方、ノエルは私が感謝したことに驚いたのか、目をパチパチさせている。
「ちょ、ちょっと。何故感謝するのよ。貴女のランチを駄目にしてしまったのに」
「いいのよ、別にそんな事は!だって、今まで何故私が自分を取り巻くこの世界に違和感しか感じなかったのか、ようやく謎が解けたのだもの。今迄自分は異邦人のようだと生まれた時から感じていたけど…やっぱり私は異邦人だったのね。これでようやくスッキリしたわ。それもこれも全てノエル。貴女のお陰よ。貴女を見て初めてこの世界が何なのか分かったのだから」
私が一気にまくし立てる様子をノエルは唖然とした顔で見つめている。
「な、なら話が早いわ。本来なら入学式の時にイベントが発生していなくちゃならないのに、もう一ヶ月半も過ぎているのよ。今からでもすぐに私をアルフォンソ王子の前で虐めてイベントを発生させて頂戴」
「え?何故?」
ノエルの言ってる意味が分からない。
「何故って…!そんなの決まっているでしょう?私はね、攻略対象をアルフォンソ様1人に絞っているのよ!他の攻略対象なんかどうでもいい、興味が無いのよっ!」
「へ~…そうなんだ…」
「ね、ねぇ…アリーナ。貴女…前世の記憶を取り戻したらキャラ崩壊していない?」
「うん。そうね。自分でもそう思うもの。やっぱり18年間抑圧されていた何かが吹っ切れてしまったからかもしれないわ。それにしても…もっと早く私のこと見つけてくれれば良かったのに」
「は…はぁあ~っ?ちょ、ちょっと何言ってるのよっ!大体何よ、その格好!ダサい三編みにメガネなんかしちゃって…。オリジナルのアリーナが今の姿見たら泣くわよ?絶対にっ!だからこっちだって見つけられなかったんだから…全く…」
ブツブツ文句を言いながらノエルは私を睨んでいる。
「あ…これね。どうも私の外見は人目を惹くみたいだったから、出来るだけ目立たないようにこんな格好をしているのよ」
ゲームに出ていたアリーナは悪役令嬢ではあったけれども、とても美人だったのだ。
「何よ、それ…自慢で言ってるのかしら?」
「別に自慢してるわけじゃないけれども…」
「まぁ、そんな話はどうでもいいわ!とりあえず、今日からアルフォンソ様の前で私を虐めてちょうだい!早く親しくなれるイベントを発生させなくちゃ」
「虐める…?イヤよ」
私は首を振った。
「何でよ!あ…やっぱり貴女、アルフォンソ様の事好きなのね?だからヒロインの私に盗られるのがイヤなんでしょう?でもお生憎様ね。私と彼は必ず恋人同士になることがシナリオで決定済みなんだから」
「え?私がアルフォンソ王子を好き…?アハハハハハ…ッ!無い無いっ!そんなのありえないってば!」
私は笑いながらノエルの話を全否定した。
「え…ありえないってどういうことよ?」
「私とアルフォンソ王子は確かに仮婚約中だけど、お互いに犬猿の仲なんだってば。だって未だに初めて出会ってからはまともに口も聞いたことがないのよ?」
「えっ?!嘘でしょうっ?!あ…で、でも確かに一度も学園で一緒にいるところを見たことが無いかも…」
「ええ、そうよ。むしろさっさと縁を切りたいくらいなのよ。それにこの世界が本当にゲームのシナリオ通りに行くのなら、ノエルと王子が出会った瞬間に恋に落ちてしまうんじゃないの?だって2人は運命の相手なんでしょう?」
そうだ、私がこんなにまでアルフォンソ王子を拒んでいたのは私が悪役令嬢であり、彼に関わると自分の未来が不幸になるのが、記憶は無くても本能で覚えていたからだ。
「何よ。だったらどうするつもりなの?」
「決まっているじゃない。直接アルフォンソ王子のところへいって、ノエルを紹介するのよ。よろしくお願いしますって。多分今なら学食にいるはずよ。それじゃ早く行きましょう、ほら、ノエルも片付けるの手伝ってよ」
「わ、分かったわ」
私とノエルは散らばったサンドイッチを拾い集め、敷布の片付けをすると、2人で学食へと向った。
アルフォンソ王子にノエルを紹介する為に――。
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