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7-8 部屋を追い出される者
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「それにしても中々良いワインだった…部屋に戻って続きを飲むか」
ワインを小脇に抱え、部屋の扉を開けて中に入った時にエルウィンは異変を感じた。
「ん…?」
(何だ…。部屋に誰かいるぞ…?)
常に戦場に身を置き、暗殺の危機にさらされてきたエルウィンは人一倍、気配に敏感だった。
(何処だ…何処にいる…?)
エルウィンは小脇に抱えたワインをそっと床に置くと、腰に差した剣を握りしめて気配を探った。
その時、空気が僅かに揺れた。
(そこかっ?!)
「誰だっ!出てこいっ!」
エルウィンは剣をベッドに向けると叫んだ。
「あ、あの…わ、私…」
キルトの中から現れたのはシュミーズ姿のゾーイだった。彼女はオズワルドの手配でエルウィンの不在中に下着姿でベッドの中に潜り込んでいたのである。
その姿を見た時、一気に彼の中で不快感が増す。
「誰だ…?貴様は…?ここが俺の部屋だと知っていながら勝手にベッドの中に入っていたのか?」
怒気を含んだエルウィンの声は恐ろしく、ゾーイを震え上がらせるには十分過ぎた。
「…」
あまりの恐怖にゾーイは言葉も出て来ない。
(ど、どういう事なの…?オズワルド様は…エルウィン様に媚薬入りのワインを差し入れたと言っていたのに…?まさか飲まれていないのかしら…。私…もしかして騙されたの…?!)
「女っ!黙っていないで名を名乗れっ!」
「あ…ゾ、ゾーイと…申します…」
「ゾーイ?ゾーイだと…?」
その時、シュミットの言葉がエルウィンの耳に蘇る。
『ミカエル様とウリエル様の侍女ですよ?』
「そうか…貴様はミカエルとウリエルの侍女だな…?」
「は、はい、左様でございます…」
ゾーイはエルウィンが自分の名前を覚えていてくれたことに少しだけ安堵した。
(良かった…。私はエルウィン様に覚えがあったのだわ・・!)
しかし、次の瞬間ゾーイは凍りつくことになる。
「今朝の不快な女か…?フンッ!随分いい度胸をしているな?この俺の部屋に勝手に入って来るとは…しかもベッドの中に潜り込んでいるとは…汚らわしいっ!今すぐそこから出て来いっ!」
「そ、そんな…っ!」
『汚らわしい』
その言葉はプライドの高いゾーイの心を深く傷つけた。
「聞こえなかったのか…?今すぐベッドから降りてすぐにこの部屋から出ていけっ!さもなくば…お前を…切るっ!」
チャキ…
エルウィンは剣を鞘から引き抜くと、切っ先をゾーイに向けながら近づいてくる。
「お、お許しを…」
ゾーイはガタガタと震えながら涙声で訴える。
「なら…今すぐ出ていけっ!そして二度と俺の前に姿を見せるなっ!」
「は、はいっ!」
ゾーイはベッドから転げ落ちるかのような勢いで降りると、しどけない下着姿で部屋から飛び出して行った。
「全く…」
エルウィンはため息をつくと、ゾーイが入っていたベッドの上掛けを全て外し、ついでにシーツまで引き剥がした。
「全く…何て忌々しい女だ…人のベッドに俺の大嫌いな香水の匂いを付けるなんて…!」
エルウィンは吐き捨てるように言うと、床の上に置いておいたワインの瓶を取りに行き、キャビネットからグラスを持ち出し…その場で全て飲み干すと、ポールに引っ掛けて外套を手に取り、ソファに移動するとゴロリと横になった。
(明日になったらベッドの上掛けとシーツ交換を全てやらせよう…)
そしてエルウィンは外套を上掛け代わりに、そのまま眠りに就くのだった―。
ワインを小脇に抱え、部屋の扉を開けて中に入った時にエルウィンは異変を感じた。
「ん…?」
(何だ…。部屋に誰かいるぞ…?)
常に戦場に身を置き、暗殺の危機にさらされてきたエルウィンは人一倍、気配に敏感だった。
(何処だ…何処にいる…?)
エルウィンは小脇に抱えたワインをそっと床に置くと、腰に差した剣を握りしめて気配を探った。
その時、空気が僅かに揺れた。
(そこかっ?!)
「誰だっ!出てこいっ!」
エルウィンは剣をベッドに向けると叫んだ。
「あ、あの…わ、私…」
キルトの中から現れたのはシュミーズ姿のゾーイだった。彼女はオズワルドの手配でエルウィンの不在中に下着姿でベッドの中に潜り込んでいたのである。
その姿を見た時、一気に彼の中で不快感が増す。
「誰だ…?貴様は…?ここが俺の部屋だと知っていながら勝手にベッドの中に入っていたのか?」
怒気を含んだエルウィンの声は恐ろしく、ゾーイを震え上がらせるには十分過ぎた。
「…」
あまりの恐怖にゾーイは言葉も出て来ない。
(ど、どういう事なの…?オズワルド様は…エルウィン様に媚薬入りのワインを差し入れたと言っていたのに…?まさか飲まれていないのかしら…。私…もしかして騙されたの…?!)
「女っ!黙っていないで名を名乗れっ!」
「あ…ゾ、ゾーイと…申します…」
「ゾーイ?ゾーイだと…?」
その時、シュミットの言葉がエルウィンの耳に蘇る。
『ミカエル様とウリエル様の侍女ですよ?』
「そうか…貴様はミカエルとウリエルの侍女だな…?」
「は、はい、左様でございます…」
ゾーイはエルウィンが自分の名前を覚えていてくれたことに少しだけ安堵した。
(良かった…。私はエルウィン様に覚えがあったのだわ・・!)
しかし、次の瞬間ゾーイは凍りつくことになる。
「今朝の不快な女か…?フンッ!随分いい度胸をしているな?この俺の部屋に勝手に入って来るとは…しかもベッドの中に潜り込んでいるとは…汚らわしいっ!今すぐそこから出て来いっ!」
「そ、そんな…っ!」
『汚らわしい』
その言葉はプライドの高いゾーイの心を深く傷つけた。
「聞こえなかったのか…?今すぐベッドから降りてすぐにこの部屋から出ていけっ!さもなくば…お前を…切るっ!」
チャキ…
エルウィンは剣を鞘から引き抜くと、切っ先をゾーイに向けながら近づいてくる。
「お、お許しを…」
ゾーイはガタガタと震えながら涙声で訴える。
「なら…今すぐ出ていけっ!そして二度と俺の前に姿を見せるなっ!」
「は、はいっ!」
ゾーイはベッドから転げ落ちるかのような勢いで降りると、しどけない下着姿で部屋から飛び出して行った。
「全く…」
エルウィンはため息をつくと、ゾーイが入っていたベッドの上掛けを全て外し、ついでにシーツまで引き剥がした。
「全く…何て忌々しい女だ…人のベッドに俺の大嫌いな香水の匂いを付けるなんて…!」
エルウィンは吐き捨てるように言うと、床の上に置いておいたワインの瓶を取りに行き、キャビネットからグラスを持ち出し…その場で全て飲み干すと、ポールに引っ掛けて外套を手に取り、ソファに移動するとゴロリと横になった。
(明日になったらベッドの上掛けとシーツ交換を全てやらせよう…)
そしてエルウィンは外套を上掛け代わりに、そのまま眠りに就くのだった―。
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