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9-15 2人の手合わせ
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「大将?どうかしたんですか?」
落ち込んだ様子のエルウィンにスティーブは声を掛けた。
「ロイは何故リアに…」
「え?ロイがどうしましたか?」
「いや、何でも無い。そう言えばお前はロイのことをどれぐらい知っている?」
エルウィンは話題を変えた。
ロイがこの城にやってきたのは5年前。
オズワルドがある日突然、身なりの貧しい少年を盗賊隊の討伐遠征に向った際に連れ帰ってきたのであった。
そのときから、美しい容姿とは裏腹に、ロイは感情のない少年としてすぐに城中に知れ渡ることとなったのであった。
「ロイのことですか?う~ん…そもそも部隊が違いますからね…あまり彼のことは知りませんが、噂によるとオズワルドはロイの恩人らしいですよ」
少し考え込む素振りでスティーブは答えた。
「恩人?」
「ええ、何でもロイの住んでいた村が盗賊団で滅ぼされた時…唯一彼だけが生き残り、地下倉庫の物陰に隠れていたところをオズワルドが見つけて連れ帰ったそうです」
「そうか…。ロイには家族がいたのだろうな…」
「え?ええ。まぁそれはそうでしょう?5年前と言えば、ロイだってまだ13歳の少年。家族がいなければ、中々1人で生きていくには難しい年齢じゃないですか?」
「そうだよな…」
(一体どうしたんだ?大将は…よし、それなら…)
何処か落ち込んだ様子のエルウィンにスティーブは声を掛けた。
「そんなことより大将。久しぶりに2人で手合わせしませんか?」
スティーブはエルウィンに訓練用の剣を向けた。
「ああ、そうだな…それは良い考えだ」
エルウィンは訓練用の剣を構え、ニヤリと笑った。
「よし…いくぞ!」
「ええ!望むところです!」
そして2人は同時に跳躍した―。
****
「あ!リアッ!どうしたのっ?!」
「遅いとは思っていたけど…まさか怪我したのっ?!」
ロイに抱きかかえられながら部屋に戻ってきたアリアドネを見たミカエルとウリエルが驚いて駆け寄ってきた。
「申し訳ございません。遅くなっただけでなく、お2人のお茶とお菓子をお持ちすることが出来ませんでした。…大変申し訳ございません」
「いいよ、そんな事はどうでも!」
「リア?大丈夫?何処か痛いところ無い?」
ミカエルとウリエルは首を振った。
ロイは無言でアリアドネを運ぶと、ソファに下ろした。
「数日は安静にしていたほうがいいな。その間は誰か別のメイドを呼んだほうが良いかも知れない」
「確かに…この足では自由に歩けないわ…。でも…他のメイドなんて…」
アリアドネは俯いた。
「僕…東塔のメイドは嫌だよ…」
ウリエルは唇を尖らせた。
「確かに…東塔のメイドは…僕も嫌だな…」
ミカエルも東塔のメイドには不満を持っていた。
「ウリエル様、ミカエル様…」
(どうしよう…私が怪我をしたばかりにお2人にご迷惑を…)
そこでアリアドネは少し考えた。
「分かりました。私がエルウィン様に後ほど相談してみます。私が怪我をして動けない間、誰か他のメイドを付けてくださいと。きっとエルウィン様なら適任者を見つけて下さると思います」
「うん、そうだね」
「エルウィン様に相談してみよう」
「…」
3人が笑顔でエルウィンの話をする姿をロイは黙って見つめていた―。
落ち込んだ様子のエルウィンにスティーブは声を掛けた。
「ロイは何故リアに…」
「え?ロイがどうしましたか?」
「いや、何でも無い。そう言えばお前はロイのことをどれぐらい知っている?」
エルウィンは話題を変えた。
ロイがこの城にやってきたのは5年前。
オズワルドがある日突然、身なりの貧しい少年を盗賊隊の討伐遠征に向った際に連れ帰ってきたのであった。
そのときから、美しい容姿とは裏腹に、ロイは感情のない少年としてすぐに城中に知れ渡ることとなったのであった。
「ロイのことですか?う~ん…そもそも部隊が違いますからね…あまり彼のことは知りませんが、噂によるとオズワルドはロイの恩人らしいですよ」
少し考え込む素振りでスティーブは答えた。
「恩人?」
「ええ、何でもロイの住んでいた村が盗賊団で滅ぼされた時…唯一彼だけが生き残り、地下倉庫の物陰に隠れていたところをオズワルドが見つけて連れ帰ったそうです」
「そうか…。ロイには家族がいたのだろうな…」
「え?ええ。まぁそれはそうでしょう?5年前と言えば、ロイだってまだ13歳の少年。家族がいなければ、中々1人で生きていくには難しい年齢じゃないですか?」
「そうだよな…」
(一体どうしたんだ?大将は…よし、それなら…)
何処か落ち込んだ様子のエルウィンにスティーブは声を掛けた。
「そんなことより大将。久しぶりに2人で手合わせしませんか?」
スティーブはエルウィンに訓練用の剣を向けた。
「ああ、そうだな…それは良い考えだ」
エルウィンは訓練用の剣を構え、ニヤリと笑った。
「よし…いくぞ!」
「ええ!望むところです!」
そして2人は同時に跳躍した―。
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「あ!リアッ!どうしたのっ?!」
「遅いとは思っていたけど…まさか怪我したのっ?!」
ロイに抱きかかえられながら部屋に戻ってきたアリアドネを見たミカエルとウリエルが驚いて駆け寄ってきた。
「申し訳ございません。遅くなっただけでなく、お2人のお茶とお菓子をお持ちすることが出来ませんでした。…大変申し訳ございません」
「いいよ、そんな事はどうでも!」
「リア?大丈夫?何処か痛いところ無い?」
ミカエルとウリエルは首を振った。
ロイは無言でアリアドネを運ぶと、ソファに下ろした。
「数日は安静にしていたほうがいいな。その間は誰か別のメイドを呼んだほうが良いかも知れない」
「確かに…この足では自由に歩けないわ…。でも…他のメイドなんて…」
アリアドネは俯いた。
「僕…東塔のメイドは嫌だよ…」
ウリエルは唇を尖らせた。
「確かに…東塔のメイドは…僕も嫌だな…」
ミカエルも東塔のメイドには不満を持っていた。
「ウリエル様、ミカエル様…」
(どうしよう…私が怪我をしたばかりにお2人にご迷惑を…)
そこでアリアドネは少し考えた。
「分かりました。私がエルウィン様に後ほど相談してみます。私が怪我をして動けない間、誰か他のメイドを付けてくださいと。きっとエルウィン様なら適任者を見つけて下さると思います」
「うん、そうだね」
「エルウィン様に相談してみよう」
「…」
3人が笑顔でエルウィンの話をする姿をロイは黙って見つめていた―。
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