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15-8 波乱の夜会 6
「いえ、別に1人で来たわけではありません。今私の代わりにワインを取りに行って下さっているのです」
アリアドネは素直に答える。
「そうなのですか?ですが、代わりにワインを取りに行ってくれているということは一緒にいらした方は男性ですね?」
「はい、そうです」
「その男性は親しい方なのですか?」
親しい……。
その質問にアリアドネは困ってしまった。自分とエルウィンの関係をどう説明すれば良いのか分からなかったからだ。
「親しい……と言っていいものかどうか……」
考え込むアリアドネに再び男性は尋ねる。
「ひょっとすると、婚姻されているのでしょうか?」
「いいえ、まさか!」
慌ててアリアドネは首を振った。
(私とエルウィン様が婚姻なんて……とんでもない話だわ。あの方は私のような者が本当は傍にいてはいけない方なのだから……)
アリアドネの反応が嬉しかったのか、男性は口元に笑みを浮かべた。
「良かった。その様子では貴女とお相手の方は特別な関係では無さそうですね?」
「ええ、その通りです。私は‥‥…」
そこまで言いかけてアリアドネは自分に話しかけている相手のことが気になり、じっと見つめた。
「何でしょうか?」
「いえ、何故そのようなマスクをされているのかと思いまして」
「ああ、これですか?実は……人にあまり顔を見られたくなかったからです。それで目立たない壁際にいたのですが、やはり人目を避けるかのようにしていた貴女を見かけたので、似たようなものを感じ、お声を掛けさせて頂きました」
「そうだったのですか……」
(ひょっとして、この方は顔に酷い傷でも負っていらっしゃるのかもしれないわ。それでマスクを着けているのかも……)
アリアドネは男性に少しだけ同情心を寄せ始めていた――。
****
一方、その頃エルウィンはミレーユを前にしていた。
「何だって?お前……今、なんと名乗った?」
エルウィンは内心の動揺を隠しながら、ミレーユを見た。
「はい、アリアドネ・ステニウスです」
何も知らないミレーユはあろうことか、エルウィンの前で堂々と嘘を吐いた。
「アリアドネ……」
(そうか……。この女がアリアドネの姉のミレーユだな?確かにアリアドネに似ているが……)
エルウィンは眉間にしわを寄せた。
外見は似ているものの、アリアドネとミレーユは雰囲気が全く違った。アリアドネは清楚な女性で好感を持てるが、ミレーユは男を誘惑する娼婦その者にしか見えない。エルウィンにとって、軽蔑の存在でしかなかった。
(この女……よくも俺の前で自分がアリアドネだと名乗ることが出来るな)
エルウィンはミレーユを侮蔑の眼差しで見ているが、肝心の本人はエルウィンの視線を心地よく感じていた。
「あの、もしよろしければ少し……バルコニーでお話しませんか?」
ミレーユが妖艶に笑った。
「あぁ、いいだろう。そこへ行って話をしようじゃないか?」
エルウィンも不敵に笑う。
この頃にはエルウィンはアリアドネの存在をすっかり忘れていた。今は目の前にいるミレーユの化けの皮をはがす事だけしか念頭に無かったのであった――。
アリアドネは素直に答える。
「そうなのですか?ですが、代わりにワインを取りに行ってくれているということは一緒にいらした方は男性ですね?」
「はい、そうです」
「その男性は親しい方なのですか?」
親しい……。
その質問にアリアドネは困ってしまった。自分とエルウィンの関係をどう説明すれば良いのか分からなかったからだ。
「親しい……と言っていいものかどうか……」
考え込むアリアドネに再び男性は尋ねる。
「ひょっとすると、婚姻されているのでしょうか?」
「いいえ、まさか!」
慌ててアリアドネは首を振った。
(私とエルウィン様が婚姻なんて……とんでもない話だわ。あの方は私のような者が本当は傍にいてはいけない方なのだから……)
アリアドネの反応が嬉しかったのか、男性は口元に笑みを浮かべた。
「良かった。その様子では貴女とお相手の方は特別な関係では無さそうですね?」
「ええ、その通りです。私は‥‥…」
そこまで言いかけてアリアドネは自分に話しかけている相手のことが気になり、じっと見つめた。
「何でしょうか?」
「いえ、何故そのようなマスクをされているのかと思いまして」
「ああ、これですか?実は……人にあまり顔を見られたくなかったからです。それで目立たない壁際にいたのですが、やはり人目を避けるかのようにしていた貴女を見かけたので、似たようなものを感じ、お声を掛けさせて頂きました」
「そうだったのですか……」
(ひょっとして、この方は顔に酷い傷でも負っていらっしゃるのかもしれないわ。それでマスクを着けているのかも……)
アリアドネは男性に少しだけ同情心を寄せ始めていた――。
****
一方、その頃エルウィンはミレーユを前にしていた。
「何だって?お前……今、なんと名乗った?」
エルウィンは内心の動揺を隠しながら、ミレーユを見た。
「はい、アリアドネ・ステニウスです」
何も知らないミレーユはあろうことか、エルウィンの前で堂々と嘘を吐いた。
「アリアドネ……」
(そうか……。この女がアリアドネの姉のミレーユだな?確かにアリアドネに似ているが……)
エルウィンは眉間にしわを寄せた。
外見は似ているものの、アリアドネとミレーユは雰囲気が全く違った。アリアドネは清楚な女性で好感を持てるが、ミレーユは男を誘惑する娼婦その者にしか見えない。エルウィンにとって、軽蔑の存在でしかなかった。
(この女……よくも俺の前で自分がアリアドネだと名乗ることが出来るな)
エルウィンはミレーユを侮蔑の眼差しで見ているが、肝心の本人はエルウィンの視線を心地よく感じていた。
「あの、もしよろしければ少し……バルコニーでお話しませんか?」
ミレーユが妖艶に笑った。
「あぁ、いいだろう。そこへ行って話をしようじゃないか?」
エルウィンも不敵に笑う。
この頃にはエルウィンはアリアドネの存在をすっかり忘れていた。今は目の前にいるミレーユの化けの皮をはがす事だけしか念頭に無かったのであった――。
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