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17-28 戦闘終了、そして――
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「いいか!お前ら!奴らは殺すな!痛めつけて縛り上げておけ!」
エルウィンは剣を振るいながら騎士たちに指示する。本来なら全員皆殺しにしてやりたいほどであった。けれどアリアドネにミカエル、ウリエルの前では殺生はしたくなかったからである。
「はい!!」
「分かりました!」
「お任せ下さい!!」
返事をする騎士達。
「くそっ!なめやがって!!」
「今の台詞、後悔させてやる!」
憤るカルタン族であったが、所詮アイゼンシュタットの騎士達に敵うはずは無かった。
あっという間に彼らは全員制圧され、村の広場に縛り上げられて転がされていた。
「くっそ~……辺境伯め……なめたマネしやがって……!」
リーダーである首謀者の男は悔しそうにエルウィンを睨みつけた。
「貴様……口の利き方に気をつけろ!あそこにいる者達に感謝するんだな。あの者達の前で殺生をしたくなかったから命が助かったのだとありがたく思え!」
エルウィンは男の首筋に剣を突き付けながら指さした。
その先にはアリアドネにミカエル、ウリエルの姿がある。
そこへ、睡眠薬の眠りから覚めたスティーブ達が駆けつけて来た。
「大将!申し訳ございません!」
「どうだ?昼寝をした気分は?」
ニヤリと口角を上げながらエルウィンが尋ねた。
「大将……勘弁してくださいよ。それにしても……」
スティーブは足元に転がっているカルタン族を見渡した。
「まさかこれほどまでに多くの敵がこの村に潜んでいたなんて気づきませんでしたよ。しかし、命を絶たないとはエルウィン様らしくありませんね」
「ふん!!そんなことで我らが感謝するとでも思っていたのか?!」
「ああ!そうだ!いっそ殺せ!」
「いつでも死は覚悟できている!」
スティーブの言葉に次々と吠えるカルタン族の男たち。
「黙れ!貴様らなどいつでも剣のサビに出来るということを忘れるな!お前らは全員鉱山に送ってやる!あそこは1年中人手不足で鉱山に送り込まれたら最後。死ぬまで働かされると言うからな!貴様らにぴったりの仕事だ!」
その時――。
「エルウィン様!」
アリアドネの声が響き渡った。
振り向くエルウィンの目に、こちらへ向かって駆け寄って来るアリアドネの姿が目に飛び込んできた。
「アリアドネッ!!」
エルウィンもアリアドネに駆け寄って行く。
2人の手が繋がれようとしたその時――。
ヒュッ!
空気を切り裂く音が聞こえた。
「!!」
エルウィンは咄嗟にアリアドネの腕を掴んで引き寄せると抱きしめた。
ドスッ!!
ドスッ!!
「ウッ!!」
アリアドネの耳に何かが突き刺さる音と、エルウィンのうめき声が聞こえた。
「エルウィン様!!」
「敵だ!まだ敵が残っていたぞ!!」
「あいつだ!!取り押さえろ!!」
騎士達の慌てふためく声と、こちらへ駆け寄って来る足音がアリアドネには幻のように聞こえる。
「エ……エルウィン様……?」
未だに抱きしめられたままアリアドネはエルウィンの名を呼ぶ。
すると……。
「よ……良かった…‥ぶ、無事だったな……?」
口元から一筋の血を流しながらエルウィンが苦し気に声を掛けてきた。
「は、はい……」
震えながら返事をするアリアドネ。
「そう……か……」
そして次の瞬間、地面に崩れ落ちていくエルウィン。その背中には2本の矢が深々と突き刺さっていた。
「イヤアアアア!!エルウィン様ーっ!!」
『ウルス』の村にアリアドネの叫び声が響き渡った――。
エルウィンは剣を振るいながら騎士たちに指示する。本来なら全員皆殺しにしてやりたいほどであった。けれどアリアドネにミカエル、ウリエルの前では殺生はしたくなかったからである。
「はい!!」
「分かりました!」
「お任せ下さい!!」
返事をする騎士達。
「くそっ!なめやがって!!」
「今の台詞、後悔させてやる!」
憤るカルタン族であったが、所詮アイゼンシュタットの騎士達に敵うはずは無かった。
あっという間に彼らは全員制圧され、村の広場に縛り上げられて転がされていた。
「くっそ~……辺境伯め……なめたマネしやがって……!」
リーダーである首謀者の男は悔しそうにエルウィンを睨みつけた。
「貴様……口の利き方に気をつけろ!あそこにいる者達に感謝するんだな。あの者達の前で殺生をしたくなかったから命が助かったのだとありがたく思え!」
エルウィンは男の首筋に剣を突き付けながら指さした。
その先にはアリアドネにミカエル、ウリエルの姿がある。
そこへ、睡眠薬の眠りから覚めたスティーブ達が駆けつけて来た。
「大将!申し訳ございません!」
「どうだ?昼寝をした気分は?」
ニヤリと口角を上げながらエルウィンが尋ねた。
「大将……勘弁してくださいよ。それにしても……」
スティーブは足元に転がっているカルタン族を見渡した。
「まさかこれほどまでに多くの敵がこの村に潜んでいたなんて気づきませんでしたよ。しかし、命を絶たないとはエルウィン様らしくありませんね」
「ふん!!そんなことで我らが感謝するとでも思っていたのか?!」
「ああ!そうだ!いっそ殺せ!」
「いつでも死は覚悟できている!」
スティーブの言葉に次々と吠えるカルタン族の男たち。
「黙れ!貴様らなどいつでも剣のサビに出来るということを忘れるな!お前らは全員鉱山に送ってやる!あそこは1年中人手不足で鉱山に送り込まれたら最後。死ぬまで働かされると言うからな!貴様らにぴったりの仕事だ!」
その時――。
「エルウィン様!」
アリアドネの声が響き渡った。
振り向くエルウィンの目に、こちらへ向かって駆け寄って来るアリアドネの姿が目に飛び込んできた。
「アリアドネッ!!」
エルウィンもアリアドネに駆け寄って行く。
2人の手が繋がれようとしたその時――。
ヒュッ!
空気を切り裂く音が聞こえた。
「!!」
エルウィンは咄嗟にアリアドネの腕を掴んで引き寄せると抱きしめた。
ドスッ!!
ドスッ!!
「ウッ!!」
アリアドネの耳に何かが突き刺さる音と、エルウィンのうめき声が聞こえた。
「エルウィン様!!」
「敵だ!まだ敵が残っていたぞ!!」
「あいつだ!!取り押さえろ!!」
騎士達の慌てふためく声と、こちらへ駆け寄って来る足音がアリアドネには幻のように聞こえる。
「エ……エルウィン様……?」
未だに抱きしめられたままアリアドネはエルウィンの名を呼ぶ。
すると……。
「よ……良かった…‥ぶ、無事だったな……?」
口元から一筋の血を流しながらエルウィンが苦し気に声を掛けてきた。
「は、はい……」
震えながら返事をするアリアドネ。
「そう……か……」
そして次の瞬間、地面に崩れ落ちていくエルウィン。その背中には2本の矢が深々と突き刺さっていた。
「イヤアアアア!!エルウィン様ーっ!!」
『ウルス』の村にアリアドネの叫び声が響き渡った――。
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