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第3章 12 呼び出し
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翌朝――
殆ど眠れないまま、起床時間になった。
隣のベッドにいるリリスをそっと見ると、気持ちよさそうに眠っている。
その寝顔は、まるで天使のように美しい。
眠っているリリスを起こさないように、そっとベッドから起き上がると自分の部屋に戻る。
メイド服に着替えると、いつものように朝の仕事をするために部屋を出た。
……このときの私はまだ何も知らなかった。
真夜中の件が大問題に発展していたということに――
****
午前7時。
リネン室でリリスの衣類やシーツ類を分類して、リリスの部屋に到着すると、部屋の扉をノックした。
――コンコン
「リリス様、お目覚めでしょうか? フローネです。失礼いたします」
声をかけて扉を開くと、既にリリスは服に着替えてソファに座っていた。
「あ! 起きていたらしたのですね? お召し替えの手伝いが出来ずに申し訳ございません」
するとリリスが私の方を向いた。
「フローネ。クロードが先程、部屋に来たのよ。私の父から電話が入って、急ぎの用事があるので大至急帰宅するようにとのことだったわ。もう、こちらに迎えの馬車をよこしているそうなの」
「え? そうだったのですか!? それはまた随分急なお話ですね」
もしかして、専属メイドの私もついていかなければならないのだろうか?
「あの……それでは私も……?」
「いいわ、父から1人で帰宅するように言われているの。多分、もう到着している頃だろうから、行くわ」
立ち上がるリリス。
「では、こちらのコートをお召下さい」
フックにかけてあるリリスのコートを着せてあげた。
「……ありがとう。ところで、フローネ……」
「は、はい……?」
リリスがじっと見つめてくる。すると、突然私の耳元に口を寄せると囁いてきた。
「勝手に私の元からいなくなったら……承知しないわよ」
「え……?」
その言葉に背筋がゾッとする。
「リ、リリス……様……?」
するとリリスは笑みを浮かべ、いつの間に準備したのか足元に置かれた小さなボストンバッグを指さした。
「このバッグを持ってエントランスまでついてきなさい」
「は、はい……」
リリスの言葉で震えている指先を無理に抑え込むと、彼女のボストンバッグを手にした――
****
「あ……」
思わず、口の中で小さな声が漏れてしまう。何故ならエントランスにはクリフと彼の両親が揃っていたからだ。
既に扉は大きく開かれ、迎えの馬車が停まっていた。
「リリス、気をつけて行っておいで」
クリフが優しい笑みを浮かべてリリスをそっと抱きしめた。
「ええ、行ってくるわ」
クリフの胸に顔を埋め、返事をするリリス。
その姿を見るだけで、私の胸は締め付けられる。
……私は馬鹿だ、こんな状況でも未だにクリフへの恋心を捨てきれずにいるなんて。
「リリス、今日は無理に帰ってくる必要はないよ。久しぶりの実家なのだから」
「ええ、そうよ。クリフは明日もここにいるから、遠慮しなくていいわよ」
おじ様とおば様が交互にリリスに声をかけてくる。
「ありがとうございます、お義父様。お義母様。では行ってまいります」
リリスはクリフの手を借りて、馬車に乗り込むと私に視線を移した。
「フローネ」
「は、はい」
リリスの次の言葉を待つも彼女はじっと私を見つめるだけで何も言わず、クリフとおじ様達に笑顔を向けた。
「では、行ってきます」
クリフが扉を閉めると、リリスを乗せた馬車は走り去って行った――
※ 後1話で鬱展開終わりです(次話、要注意です)
殆ど眠れないまま、起床時間になった。
隣のベッドにいるリリスをそっと見ると、気持ちよさそうに眠っている。
その寝顔は、まるで天使のように美しい。
眠っているリリスを起こさないように、そっとベッドから起き上がると自分の部屋に戻る。
メイド服に着替えると、いつものように朝の仕事をするために部屋を出た。
……このときの私はまだ何も知らなかった。
真夜中の件が大問題に発展していたということに――
****
午前7時。
リネン室でリリスの衣類やシーツ類を分類して、リリスの部屋に到着すると、部屋の扉をノックした。
――コンコン
「リリス様、お目覚めでしょうか? フローネです。失礼いたします」
声をかけて扉を開くと、既にリリスは服に着替えてソファに座っていた。
「あ! 起きていたらしたのですね? お召し替えの手伝いが出来ずに申し訳ございません」
するとリリスが私の方を向いた。
「フローネ。クロードが先程、部屋に来たのよ。私の父から電話が入って、急ぎの用事があるので大至急帰宅するようにとのことだったわ。もう、こちらに迎えの馬車をよこしているそうなの」
「え? そうだったのですか!? それはまた随分急なお話ですね」
もしかして、専属メイドの私もついていかなければならないのだろうか?
「あの……それでは私も……?」
「いいわ、父から1人で帰宅するように言われているの。多分、もう到着している頃だろうから、行くわ」
立ち上がるリリス。
「では、こちらのコートをお召下さい」
フックにかけてあるリリスのコートを着せてあげた。
「……ありがとう。ところで、フローネ……」
「は、はい……?」
リリスがじっと見つめてくる。すると、突然私の耳元に口を寄せると囁いてきた。
「勝手に私の元からいなくなったら……承知しないわよ」
「え……?」
その言葉に背筋がゾッとする。
「リ、リリス……様……?」
するとリリスは笑みを浮かべ、いつの間に準備したのか足元に置かれた小さなボストンバッグを指さした。
「このバッグを持ってエントランスまでついてきなさい」
「は、はい……」
リリスの言葉で震えている指先を無理に抑え込むと、彼女のボストンバッグを手にした――
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「あ……」
思わず、口の中で小さな声が漏れてしまう。何故ならエントランスにはクリフと彼の両親が揃っていたからだ。
既に扉は大きく開かれ、迎えの馬車が停まっていた。
「リリス、気をつけて行っておいで」
クリフが優しい笑みを浮かべてリリスをそっと抱きしめた。
「ええ、行ってくるわ」
クリフの胸に顔を埋め、返事をするリリス。
その姿を見るだけで、私の胸は締め付けられる。
……私は馬鹿だ、こんな状況でも未だにクリフへの恋心を捨てきれずにいるなんて。
「リリス、今日は無理に帰ってくる必要はないよ。久しぶりの実家なのだから」
「ええ、そうよ。クリフは明日もここにいるから、遠慮しなくていいわよ」
おじ様とおば様が交互にリリスに声をかけてくる。
「ありがとうございます、お義父様。お義母様。では行ってまいります」
リリスはクリフの手を借りて、馬車に乗り込むと私に視線を移した。
「フローネ」
「は、はい」
リリスの次の言葉を待つも彼女はじっと私を見つめるだけで何も言わず、クリフとおじ様達に笑顔を向けた。
「では、行ってきます」
クリフが扉を閉めると、リリスを乗せた馬車は走り去って行った――
※ 後1話で鬱展開終わりです(次話、要注意です)
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