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4 偶然の再会
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このホテルには宿泊客が食事を出来るように、立派な食事処がある。
けれど料理はどれも高級な物ばかりで、私のように分不相応な宿泊客には到底手が出ない金額だった。
そこで外に出てパンでも買って来ようと思い、フロントに向かっていると、大勢の宿泊客がホテルに併設された食事処へ入っていく姿が見えた。
宿泊客の何人かは、粗末な服を着た私をジロジロ見つめてコソコソ話している人もいる。
突き刺さるような視線が耐え難かった。
一刻も早くここを出よう……。
歩く速度を早めて、フロントに到着した。
「少し、外に出かけてきますので部屋の鍵を預かって貰えませんか?」
フロントマンに鍵を渡そうとした時。
「お姉ちゃん!」
背後で子供の声が聞こえた。
家族連れでも来ているのだろうと何気なく振り返った時、思わず目を見開いてしまった。
「アデル……?」
驚いたことにアデルが、私に向かって駆け寄ってきたのだ。
「お姉ちゃん! やっと会えたね!」
アデルは私の足に抱きついてくると、笑顔で見上げてきた。
「アデル、驚いたわ。まさかこのホテルに泊まっていたの?」
「うん、そうなの。おじいちゃんもおばあちゃんも一緒だよ」
「え?」
その言葉に血の気が引く。
すると思った通り、昼間に広場で出会った初老の貴婦人と男性がこちらに近づいてきた。
「まぁ、なんて偶然なのでしょう。まさか、ここで再会出来るなんて。あの後、突然いなくなってしまわれたから大分捜したのよ?」
私が勝手にいなくなってしまったことに怒るどころか、婦人は笑みを浮かべながら私を見つめる。
「申し訳ございません……」
「いいのよ、謝らなくても。何か急ぎのようでもあったのでしょう? それなのに引き留めようとして返って申し訳なかったと思っているの」
すると次に白い髭を蓄えた男性が話しかけてきた。
「君が孫のアデルを保護してくれていたのだね? 本当に何とお礼を述べればよいか……ありがとう。アデルは私達の娘の忘れ形見でね」
「え……?」
その言葉に驚き、私に抱きついているアデルを見下ろす。……こんな小さいのに、母親を亡くしてしまったなんて……。何だか境遇もニコルに似ている。
「だから広場でいなくなったと連絡を受けた時は本当に驚いたよ。もしアデルに何かあったら、天国にいる娘に顔向けができなくなるところだった。本当にありがとう」
穏やかな声で話しかけてくる男性。
こんなに貧しい身なりをしている私に、丁寧にお礼を述べてくるなんて……バーデン家の人々とは大違いだ。
「い、いえ。お礼なんて……。私はただ、当然のことをしたまでですので……」
「ここで会えたのも何かの縁だわ。お夕食は食べたのかしら?」
笑顔で話しかけてくる婦人。
「いえ、これからです」
「そうか、なら一緒に食事に行こう。丁度我々もこれから食事に行くところだったのだよ」
「い、いえ! そんな恐れ多いです。私のような者が同席するなんていけません!」
慌てて首を振って断る。すると……。
「ねぇ~お姉ちゃん。一緒に食べに行こうよ~」
アデルが私の右手を引っ張る。
「ええ、行きましょう。食事でお礼をさせて下さいな」
「ああ。我らと行こう。何しろ君は恩人なのだから。それにアデルもとても懐いているようだし」
「行こうよ~お姉ちゃん」
3人が交互に私に訴えてくる。
……相手は貴族。あまり無碍に断る訳にはいかない。
きっと大丈夫……この人たちはバーデン家の人たちではないのだから……。
自分の心に必死で言い聞かせる。
「……分かりました。では……お言葉に甘えて、御一緒させていただけますか……?」
私は手の震えを隠すように、ギュッと自分の両手を握りしめた――
けれど料理はどれも高級な物ばかりで、私のように分不相応な宿泊客には到底手が出ない金額だった。
そこで外に出てパンでも買って来ようと思い、フロントに向かっていると、大勢の宿泊客がホテルに併設された食事処へ入っていく姿が見えた。
宿泊客の何人かは、粗末な服を着た私をジロジロ見つめてコソコソ話している人もいる。
突き刺さるような視線が耐え難かった。
一刻も早くここを出よう……。
歩く速度を早めて、フロントに到着した。
「少し、外に出かけてきますので部屋の鍵を預かって貰えませんか?」
フロントマンに鍵を渡そうとした時。
「お姉ちゃん!」
背後で子供の声が聞こえた。
家族連れでも来ているのだろうと何気なく振り返った時、思わず目を見開いてしまった。
「アデル……?」
驚いたことにアデルが、私に向かって駆け寄ってきたのだ。
「お姉ちゃん! やっと会えたね!」
アデルは私の足に抱きついてくると、笑顔で見上げてきた。
「アデル、驚いたわ。まさかこのホテルに泊まっていたの?」
「うん、そうなの。おじいちゃんもおばあちゃんも一緒だよ」
「え?」
その言葉に血の気が引く。
すると思った通り、昼間に広場で出会った初老の貴婦人と男性がこちらに近づいてきた。
「まぁ、なんて偶然なのでしょう。まさか、ここで再会出来るなんて。あの後、突然いなくなってしまわれたから大分捜したのよ?」
私が勝手にいなくなってしまったことに怒るどころか、婦人は笑みを浮かべながら私を見つめる。
「申し訳ございません……」
「いいのよ、謝らなくても。何か急ぎのようでもあったのでしょう? それなのに引き留めようとして返って申し訳なかったと思っているの」
すると次に白い髭を蓄えた男性が話しかけてきた。
「君が孫のアデルを保護してくれていたのだね? 本当に何とお礼を述べればよいか……ありがとう。アデルは私達の娘の忘れ形見でね」
「え……?」
その言葉に驚き、私に抱きついているアデルを見下ろす。……こんな小さいのに、母親を亡くしてしまったなんて……。何だか境遇もニコルに似ている。
「だから広場でいなくなったと連絡を受けた時は本当に驚いたよ。もしアデルに何かあったら、天国にいる娘に顔向けができなくなるところだった。本当にありがとう」
穏やかな声で話しかけてくる男性。
こんなに貧しい身なりをしている私に、丁寧にお礼を述べてくるなんて……バーデン家の人々とは大違いだ。
「い、いえ。お礼なんて……。私はただ、当然のことをしたまでですので……」
「ここで会えたのも何かの縁だわ。お夕食は食べたのかしら?」
笑顔で話しかけてくる婦人。
「いえ、これからです」
「そうか、なら一緒に食事に行こう。丁度我々もこれから食事に行くところだったのだよ」
「い、いえ! そんな恐れ多いです。私のような者が同席するなんていけません!」
慌てて首を振って断る。すると……。
「ねぇ~お姉ちゃん。一緒に食べに行こうよ~」
アデルが私の右手を引っ張る。
「ええ、行きましょう。食事でお礼をさせて下さいな」
「ああ。我らと行こう。何しろ君は恩人なのだから。それにアデルもとても懐いているようだし」
「行こうよ~お姉ちゃん」
3人が交互に私に訴えてくる。
……相手は貴族。あまり無碍に断る訳にはいかない。
きっと大丈夫……この人たちはバーデン家の人たちではないのだから……。
自分の心に必死で言い聞かせる。
「……分かりました。では……お言葉に甘えて、御一緒させていただけますか……?」
私は手の震えを隠すように、ギュッと自分の両手を握りしめた――
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