奴隷女と冷徹貴族が、夫婦になるまでの物語

blueblack

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4章

4-3

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 ノア=エヴァンスが準貴族になるにあたり、周囲の反発は当然あった。陰口ぐらいなら許せたが、中には孤児院を狙う直接的な暴力行為もあり、対処するためにノアは一つの手を打った。

「何の用かな」

 応接室に通されたノアは、鷹のように鋭い目をした男の睨みを受けていた。
 三大貴族、その一角。グレイ家。

「グレイ=オリバー卿。今日は契約の確認と、それからもう一つ話をしに来ました」
「そうか。続けていい」
「まずは私とあなたが交わした契約のことです」

 そういって、ノアはすらすらと並べる。
一、ノア=エヴァンスは養子をとらず、またグレイ家にいかなる攻撃も行ってはならない。
二、ノア=エヴァンスは、グレイ家が武力攻撃を受けた場合は共に戦わなければならない。
三、上記二項が守られている限り、グレイ家はエヴァンス家を他貴族の干渉から庇護する。

「これらの条項を、今も覚えていらっしゃいますか」
「無論だ。契約の履行は大人の最低条件だよ」
「では本題に。……第三項に則り、私はグレイ家に、他家からの干渉を退ける役割をお願いしたい」
「イルミナ家か」

 そこまで話が下りているのか。やっぱり、全部筒抜けらしい。
 援助には感謝しているが、やはり油断はできないな、とノアは眼を鋭くする。
 グレイ=オリバーはゆっくりと言った。

「イルミナ家の血族に男性はいないが、代わりに私兵を雇っているぞ。一〇〇はくだらない」
「愚問ですね。貴方の従える部隊より強いのですか」
「……そうだったな。今でも背筋が冷えるよ。君と対峙するのは」
「ご謙遜を」
「それで? いつ実行するんだ」
「今夜にでも」

 そのためにわざわざ、ルーカスに車を運転させたのだから。

「では、貴方は他貴族からの妨害を抑えてくれるということで、よろしいですね」
「ああ。一応今もまだ、イルミナ家の展示品はエヴァンス姓だからな。骨は折れるが、契約は守ろう」
「……展示品、な」

 ノアの纏う空気が、重たくなっていく。
 彼が実情を知ったのは、ついさっきだった。
 本当に、反吐が出る。
 いったいどれほどの罪を犯せば、どんな都合があれば、あんな暴挙が許されるというのか。
 グレイはため息をついた。

「ここで暴れてくれるなよ。調度品の再発注は手間がかかる」

 言いながら、無駄だとわかっていた。
 ネクタイを緩めて、ジャケットを脱いだノアの目は、完全に濁り切っていた。黒が深い。闇色といってもいい。
 もはやマナーを身に着ける前、孤児院時代の口調で、彼はぼそりとつぶやいて、応接室を後にした。

「ぶっ殺してやる」
 


 イルミナ家当主、ヘレナ=イルミナは、応接室に座っていた。
 目の前には、ウィタを含め召使いに肩を持たれたカオルが項垂れている。
「無様なものね。背中を見せてもらえる?」
 白い背中には大量の赤い線が入っていた。ヘレナはそのうちの一本を、手入れされた爪で深く抉る。

「っ……ううっ!」
「ほらほら、何か言い返してみなさいよ」
「……わたしはっ……まけ、ません……っ!」
「ほんっと、打たれ強くなったこと」

 鞭打ちの痛みは想像を絶する。大の男でも、十発も食らえば泣き喚くほどに。それを耐え、なおも睨んでくるカオルがヘレナには信じられない。
 ウィタが楽しそうに笑う。

「そうは言いますが、体はすでに仕上がってますよ。ほら、濡れた秘裂に指を這わせると」

 瑞々しく熟れた尻を指で広げ、肛門までくつろげる。割れ目に沿うようにゆっくりと撫でると、ぶるぶると双臀が震えた。

「ああん……っ!」

 カオルは必死で唇を噛む。しかし喘ぎ声は抑えられない。なぞりあげられた先、陰核を剥かれると、耐え切れずに体が跳ね上がった。
(耐えないと……っ。こんなところで、果てたく、ないっ)
 豪奢な応接室で、一人きり全裸。見せ物にされて絶頂させられるなんて絶対に嫌だ。嫌なのに、膨らんだ肉芽をつるりと剥かれ続け、じんと子宮が痺れ出す。

「ああ、……んっ! あ、ああっ!」
「汗が滲んできたわね。果てそうなの?」
「違いますっ! 違っ、あううっ!」
「そうですね。腰がくねり出したので、もう果てますね」

 足が震えて立てなくなったカオルは、膝立ちにさせられる。
 顎を持たれて、上向かされた。

「カオル。欠陥品の、私の娘」
「んあ、ああっ」
「今日からあなたに、新しい仕事をあげるわ。イルミナ家に嫁争いで負けた女貴族共の、サンドバックにしてあげる」
「いや、いやあ……っ」

 既に果てそうになって、虚ろな顔で汗を流すカオルに、ヘレナは言った。

「手始めに、女に弄られて果ててみなさいな。……ウィタ」
「かしこまりました」

 膝立ちのカオルの股に潜り込んでいた手が、激しく動く。

「んぅぅうう……っ!」

 カオルは喉を反らせた。女からの愛撫は確実に急所を狙ってくる。こりこりと陰核を摘み回され、しとどに漏れた果汁は潤滑油がわりにまぶされる。
(もう嫌だ、気持ち悪いだけ、なのに……っ!)

「イきなさい。展示品」
「あ、あああ……っ!」

 陰核を摘んだまま手を震わされ、さらにくりりと捻じられてしまえば、もうカオルには耐えられなかった。
 ぷしゃあ、と膝立ちの股から愛液を床に噴いて、カオルはぴんと体を反らせた。
(イくっ、イくぅぅううっ!)

「あああああああっ!」

 かろうじて淫語を宣言しなかったのは、まだ抵抗が残っているから。
 だが、召使いに股を弄られ、五分と持たずに絶頂を極めて蕩けた顔を項垂れさせる姿は、すっかり牝のそれだった。



 絶頂直後の、甘く湿った喘ぎ声が止まったタイミングで、ヘレナは言う。

「これから貴方は、昼も夜もなく玩具にされるの。随分と反抗的になったみたいだから、お仕置きよ。絶望なさい」
「……ぜつ、ぼう?」

 ぴくりと、カオルが反応した。
 左手を握りしめ、指輪の感触を確かめるようにしてから、彼女は顔をあげる。ヴェールのようになった前髪の隙間から、青い目が覗く。

「ヘレナ、様は……。知っていますか? 好きな人に抱いていただくと、暖かくなれるんです」
「……うるさいわね」
「私は、もう十分に、愛して、いただきました。貴方と、違って」

 ヘレナの左手を見て、カオルは汗に濡れた頬をかすかに歪める。初めて見る表情だ。
 挑発的な顔で、カオルは喘ぎ喘ぎ、告げた。

「ヘレナ様は、あの悦びを、ご存じないのですね。……可哀想に」
「黙りなさい」

 こんなに冷えた声が出せるのかと、自分でも驚いた。
 その声音のまま、ヘレナは言う。

「ウィタ。カオルを地下牢に。玩具として使い潰しなさい。空き時間はずっと機械責め」
「承知しました」

 引きずられて応接室から消えていったカオルは、最後までヘレナを睨んでいた。
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