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アリアの弟子、ヘルディの同僚

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 師匠であるアリア=サレストが張った結界は、半透明の緑色で、どちらからも見ることができ、また声も通る。
 内から外に出ることも可能で、ただ外から内へは、エルフでないと通過できない。
 そんな結界の内側で、ミクファ=スカーレットは拳を握り締め、前に立つ女を睨んだ。

「本当に、師匠は無事なんでしょうね」
「ええ、命は保証するわ。命は」

 ナスチャ=レインロードと名乗った女は、含みのある言い方をしてくすくすと笑う。
 ミクファから見ても美しい女だ。腰まである栗色の髪は日光に艶めき、メリハリのある体は歩くだけで威勢の注目を集めるだろう。
 ただ、顔には常にこちらを見下す表情が張り付いており、それがミクファは気に入らない。

「三流魔術師風情が、師匠に触れるなんておこがましい」
「その三流に捕まってちゃ、器が知れるってものじゃないかしら?」
「文句があるなら入ってきなよ。できるものなら」

 ミクファが言うと、ナスチャは顔をしかめて、軽く咳ばらいをした。

「じゃあ、話し合いってやつを始めましょうか」

 双方の陣営の代表として。
 捕虜の引き渡しと、領地の綱引き。
 ミクファとナスチャの、結界を挟んでの交渉が始まる。

    ◇

 結界の中に投げ入れられた書類に目を通し、ミクファはそれを地面に叩きつけた。

「師匠は魔封石を嵌めた形で返却。その対価として肥沃な土地の2/3の割譲を求める。……なんて呑めないに決まってるでしょ!」
「そうかしら? これでも譲歩したつもりよ」

 なんて言うが、こんな一方的な要求はない。これでは交渉ではなく脅迫だ。
 ぐしゃぐしゃと足で書類を踏むミクファに、ナスチャはため息をついて言う。

「あら、いいのかしら。そうやってあなた方が駄々をこねるたびに、英雄様は汚れていくわよ?」
「……このっ」
「いま彼女は、それは大変な調教を受けていてねぇ」

 粘つく笑みでナスチャが言う。

「調教師はヘルディ=ベルガウルって言うんだけど、まあその道のプロってやつでね。あなた方のお師匠様も、あんあん喘いで可愛かったわあ」
「………………」
「ご所望なら、英雄様の愛液でも瓶詰で送ってあげましょうか?」
「…………こいつっ!」

 ぶちり、と頭の奥の方で音が聞こえた気さえした。
 右手を開く。その中で空気が爆ぜて、赤く瞬く。
 相手が人間側の魔術トップだろうが知ったこっちゃない。

 ―――骨まで燃やしてやる。

『冷静に』
 しかし、膨張した火球を放つ前に、ミクファの脳裏に涼やかな声が蘇った。
 穏やかで、寡黙で、でもミクファが話しかけると、いつだって柔らかな笑みを返してくれた大事な師匠。
『怒りは威圧になる反面、視野を狭めます。怒りのままに手を出してはいけません』
 すう、と大きく息を吸う。
 火を消して、ミクファはナスチャを鼻で笑った。

「師匠を捕まえてもなお、こんな交渉に頼らざるを得ないなんて、あんたらよっぽど馬鹿なんだな。同情するよ」

 ひくり、と頬を引きつらせるナスチャに少しだけ留飲を下げながら、ミクファは空を見上げた。
 ―――絶対、助けますからね。……師匠。

    ◇

「う……っ、ぅう」

 日の届かない地下深く、石牢の中に、アリアの声が今日も木霊する。
 度重なる絶頂で感度は高止まりし、触手に包まれた胸と、からからと回る股間の車軸に声が漏れる。

「ううっ、……あ、イくぅ……っ」

 ぎしっ、と体を縮こまらせて静かに果てたところで、今日も淫魔がやってきた。

「やあやあ、グッドタイミングだね。気持ち良かったかい?」
「……気持ち、良かったですよ。何か、文句でも」
「それは良かった」

 ヘルディによるここ数日の色責めは、一貫していてかつ執拗だった。
 ときには吊られ、ときにはベッドに拘束され、数えきれないほどの辱めと絶頂を塗り重ねられる。
 果てるときはイくと言うよう強制され、気持ち良いかと聞かれたら認めなければならない。そうでないと、アリアの痴態が同胞に晒される。

 ―――それ自体は、もう覚悟したのですが……。

 自らの調教録が晒されるだけなら、もういい。
 でもたぶん、それをやられたらミクファの抑えが効かなくなる。
 これ以上被害者を増やすまいと、灼けつくような恥ずかしさに耐えるアリアに、ヘルディはひらひらと手を振った。

「ずっとワンパターンな責めで飽きたでしょ? 頃合いだから、アリアには別の楽しみ方をしてもらうよ」

    ◇

 両手はベッドに拘束されて、足もM字に開かされた上で枷を嵌められる。
 膝には鎖が巻いて、側面の壁から引っ張られる。
 ぱっくりと秘部を割り開かされて、アリアはヘルディを睨み上げた。

「……結局、同じですか。この屑」
「焦らない焦らない。今日はこれを使うよ」

 そう言って、ヘルディが取り出したのは。

「……筆?」
「ただの筆じゃないよ。軸に振動片がついた特別製」
「くだらない」

 つんと乳首も陰核も尖らせながら、それでもアリアは冷たい顔で吐き捨てる。

「そんなもので、どうにかなると思っているんですか」

 ヘルディはそれには答えなかった。
 馴らすようにアリアの膝に筆を当て、すー、と内腿まで撫であげる。垂れている愛液を筆に含ませて、くるくると臍のまわりに擦り付ける。

「………、………」

 さらに責めの先を上にして、乳房の縁を撫でてやると、薄くアリアの唇が開いた。

「……ぅ」
「気持ち良い?」
「……………っ、気持ち、良いです、がっ。こんなことを、続けても……あ、ん……っ」

 途中でいきなり乳首をさわさわと撫でられ、強制的に言葉を切られる。
 満足げに笑って、ヘルディは筆を一気に陰毛まで下ろした。
 愛液を含んで重たい色になった下生えを弄んで、アリアに言う。

「いまからここも触ってあげるね。嬉しい?」
「さい、てい……ですよ」

 身構えるアリアだったが、意味はなかった。
 陰核の根元を、ちょん、と筆でくすぐられ、すぐさま淫らな声が出る。

「ふぁ……あ、ぁ……」
「溢れてきたね」
「黙って、くださ……っ!? ひゃ、ああああっ!」

 また、言葉を切らされた。
 探るように根元を撫でていた筆がいきなり陰核に強く押し付けられる。
 肉芽を愛液でコーティングするように、まんべんなく繊毛を這わされて、アリアは閉じられない股を上下に揺すった。

「あっ、あっ、あああっ……」
「はっは、卑猥な踊りが上手になったね」
「黙れ、だまっ……んうう、うううっ」
「イクときはどうするんだっけね」

 そう言って、陰核を筆に埋められたまま、かちりと小さな音がした。
 途端に激しく繊毛が震え、陰核全体にぶるぶると振動が伝播する。
 何本もの細かい筆に責め立てられているような感覚に、たちまちアリアは狂乱した。

「ひゃあああっ、んううううっ、ああんっ!」
「ほら、果てて」
「んぐっ、ううう……っ、イっく、イ……っ、うぁ……ぁ、あぁ?」

 しかし、アリアのこわばりが限界に達し、体を跳ね上げる寸前。
 ヘルディはすっ、と筆を体から離した。
 発散させられなかった快楽がうちに溜まり、ふるふると腰を揺するアリアに、くつくつと喉の奥からの笑い声が落ちてくる。

「可愛い動きだね」

 言われながら、感度が上がりきった肉芽を再び虐められる。すでに果てる寸前だった熱が再び戻ってくる。

「はあっ、あああ……っ! あっ、……ぁう……っ」

 しかし、また果てる寸前で責めが止む。

「理解できたかな?」

 熱く昂った体から汗と湿った吐息を漏らすアリアを見下ろして、ヘルディは粘つくような口調で言った。

「絶対に果てさせないよ、アリア」

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