【完結】王太子と宰相の一人息子は、とある令嬢に恋をする

冬馬亮

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バザー会場にて その3

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「お待たせしました。こちらから順に、カモミール、ジャスミン、レモングラスです」
「ありがとう。あれ、これは?」
「わたくしが頼んだラベンダーですわ」

もごもごしているエレアーナたち2人に、温い視線を遠くから送っていたレオンハルトとライナスバージだったが、テーブルの上に並べられたハーブティーを見ると、珍しそうに覗き込んだ。

「参考意見を聞けると助かる」
「「参考意見?」」

ケインバッハの言葉に、2人が仲良く聞き返してきたので、エレアーナはもう一度、孤児院でのハーブ栽培とハーブティーの販売計画について説明することにした。

「なるほどね」
「面白いことを考えましたね。うまくいけば孤児院の定期収入につながるかもしれないし、子どもたちも土いじりとかハーブの育て方とか色々覚えられますし」
「物品の支給や援助は、確かに助かるものだし即効性があるけれど、長期的に考えると効果は弱いものね。やはり生活の手立てを得られるような助けでないと意味がない。そのためにも知識や技術を身に着けることは大事だよね。いい考えだと思うよ」
「ありがとうございます。うまくいくようであれば、北区の孤児院でも試してみようと思ってますの。みなさま、よろしければ、飲んだ感想などもお聞かせくださいね」

誰がどのお茶を飲むかを決めた後、レオンハルトたち3人は、興味深そうにそれぞれ初めてのハーブティーを口にした。

「思ってたよりも、ずっと飲みやすいですね」
「本当だ。僕のも美味しいよ。リンゴみたいないい香りがする。なんだろ、ホッとする味?」
「レオンハルトさまが飲んでらっしゃるのは、カモミールですね。気分を落ち着かせたり、胃腸の調子を整えたりする作用があるんです」
「そんな効果があるの? へぇ、覚えておこう」
「夜、眠れないときに飲んでもいいんですよ。不眠にも効きますので」
「カモミール、凄すぎ……」
「エレアーナ嬢、オレのは? 何に効くんですか?」
「そちらはジャスミンティーですね。そちらもリラックス効果があります。後は、気分を明るくするとか元気になる、とも聞きましたが」
「ライナスはもう十分明るいけどね。もっと元気になっちゃうのかな。あ、でも、これもすごくいい香りがする」

レオンハルトたちにお茶の説明をしていて、ふと視線を感じてエレアーナが顔を上げると、ケインバッハがカップを持ってじっと見ている。

うん、これは自分のお茶が説明される番を待ってたのね。

「えぇと、ケインさまのお茶は、レモングラスですね。これにも胃腸を整える効果があります。それに風邪にも効くんですよ。とてもさわやかな香りですよね」
「そうか、……さっぱりしていて飲みやすいな」

ふふ、頑張って感想を言ってくれたわ。

「……ねぇ、エレアーナ嬢のお茶は? ラベンダーだっけ? すごい鮮やかな紫色で綺麗だね」

レオンハルトさまはハーブティーにとても関心があるようで、私の飲んでいたお茶についても聞いてきた。
左側のケインさまと話していた私は、今度は右側のレオンハルト様の方に顔を向ける。

「はい。ラベンダーティーも気分を落ち着かせる作用があります。血圧にも効くそうですよ」
「ふーん、そうなんだ。ハーブティーにもいろいろあるんだね。飲みやすいし、体にもいいみたいだし、色も綺麗だし、欲しがる人は多いんじゃないかな」
「そうなったら嬉しいですわ。ハーブの種類はたくさんありますから、人気次第ではもっと提供するお茶の種類も増やせますもの」
「そうだね。……ところで、ね、エレアーナ嬢?」
「はい、何でしょうか。レオンハルトさま」
「レオンさま」
「へ?」

うわ、本日3回目。

「ケインさま、なんでしょ? だったら僕も、レオンさま、でしょ? ね?」

そう言いながら首を傾けて、少しだけ上目遣いでエレアーナをじっと見る。
そしてそのまま、とても優雅に、にっこりと。
中世的な美しい顔立ちが投げかける艶のある眼差しに、エレアーナは思いがけず赤面する。

これ、絶対、わざとやってる。

「……ほら、言ってみて? レオンさま」
「……レオンさま」
「はい、よくできました」

レオンが満足げに微笑む。

そうだったわ。
こんな綺麗な顔して、人をからかうのがお好きな方なのだったわ。

少し困惑した様子のケインバッハの隣で、ライナスバージが勢い良く手を上げる。

「はいはいはい! だったらオレも! オレも、ライナスさまで!」
「ラ、ライナスさま……」
「はい! ライナスさまです! 何か御用ですか、エレアーナ嬢?」
「えっ……と。……呼んでみただけです」
「ですよねー!」

……えぇと、なに、どうなってるの?
いや、これ、やっぱり罰ゲームだったのね?
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