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証明するから
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「・・・本気で仰っておられますの?」
射貫くような視線に一瞬、怯む。
「兄に見合い相手として無理やり駆り出された、という理由ならばともかく、これまでそんな素振りを一度も見せたことのない貴方さまが、実はわたくしに好意を寄せてくださっていたと、そう仰るのですか?」
ぐ、と言葉に詰まった。
シュリエラにとって、これまで不必要な接触を避けていたアッテンボローの好意を囁く言葉は、そう簡単に信用できるものではないのだろう。
「お気を使われなくても結構ですわ。アッテンボローさまが、敢えてわたくしと距離を置いていた事は気づいております。自らの意思に反してまで、兄の無茶を聞く必要はございませんのよ」
自業自得だ。
アッテンボローはそう思った。
なんやかんやと理由をつけて自らの恋心を封印して、これまでずっと距離を置いていたのだから。
それに、彼女は気が強い。そして真っ直ぐな気性の持ち主だ。
憐れみや同情で相手として名乗りを上げたと思ったのなら、怒りしか湧いてこないだろう。
己を振りかえり、その不甲斐なさに、ぐっと拳を握りしめる。
だが。
これは最後のチャンスなのだ。
兄君の決めた相手と結婚する、と、彼女がそう言った以上、他の誰かが見合い相手として現れたら、そいつと結婚することになるのだろう。
誰が来ようと。
ならば。
それは俺でもいい筈だ。
俺だけが断られる理由はないだろう?
ここで引き下がったら、俺は本当に只の意気地なしだ。
「・・・確かに、これまでの事を考えたら、俺の告白など疑いたくもなるだろう。ならば行動で証明するのみだ」
「・・・」
「俺の言葉が信じられないとしても、今はそれで構わない。ただ、俺との見合いは続けてもらう」
シュリエラは片方の眉を上げた。
「誰でもいいと兄君に言ったそうじゃないか。ならば俺を断る理由もない筈だ。そうだろう?」
「・・・それはそうですが」
「では、決まりだ。これからよろしく。婚約者候補殿」
「・・・」
挑むような目つきで、シュリエラはアッテンボローを見上げる。
まるで真意を探るように。
「貴方にそこまでして兄の意向を聞く理由もないと思いますが」
「兄君の意向を聞いてここにいる訳じゃない。さっきも言っただろう? 俺は好きな女性を守る権利が欲しいんだ」
「・・・では、そういう事にしておきましょう。お話は、これで終わりでしょうか? でしたら、もう部屋に戻ってもよろしいかしら」
こちらの言葉をまるで信用していないかのように直ぐに部屋に戻ろうとしたシュリエラ嬢の手を、勢いでばっと掴む。
「まだ何か?」
「これから長い付き合いになるんだ。少しくらいお喋りに付き合ってくれてもいいんじゃないか?」
あくまでも真っ直ぐに俺の眼を見据えるその意志の強そうな瞳を、俺もじっと見つめ返す。
「・・・分かりましたわ。それではここでお茶でも楽しみます?」
「お茶でも、散歩でも、何なら刺繍だって構わないぞ。貴女と一緒にいられるのなら」
ようやく一歩踏み出せたんだ。
勢い込んで答えると、シュリエラ嬢の眼がまん丸になって、それからぷっと吹き出した。
「刺繍、ですか。アッテンボローさまは刺繍がご趣味なのですか?」
「あ」
馬鹿なことを言ったと慌てたが、意外にシュリエラ嬢は面白がってくれて、目の前でけらけらと笑っている。
男の前でこんな風に声を上げて笑うとは、意外と子供っぽい。
外見からはうかがえない一面をまた一つ知れたようで、妙に嬉しくなってつい笑んでしまう。
その笑みに気づいたのか、急に取り繕ったように澄まし顔になった。
「・・・はしたないところをお見せしまして、失礼しました」
「いや、そんな君もまた新鮮で面白い」
急に表情を引き締めても、こちらの気の緩みは、そう簡単に締まらない。
俺の口元には、まだ笑みが浮かんでいた。
彼女はそんな俺をぎろりと睨む。
「面白いとは、令嬢に対する誉め言葉ではありませんわよ?」
ああ、駄目だ。
そんな顔をしても可愛らしいだけだぞ。
「それは失礼。君ならば喜んでくれるかと思ったんだがね」
「女性に対する扱いがなってませんのね。そんな言葉で喜ぶと思ってらっしゃるなんて」
「そうだな。こんなポンコツの俺では、君に見捨てられたらもう救いはないだろうな」
「は?」
「君は美しいだけじゃなく、優しく、情に厚く、懐も深い女性だから、まさかこんな哀れな男をあっさり見捨てたりはしないよな?」
「・・・アッテンボローさま?」
「何かな? 俺の愛しい婚約者殿」
「~~~!」
・・・まずい。
これまで彼女に手を出すのを我慢してきたせいで、タガが一気に外れたらしい。
全力で彼女を構いたくて、揶揄いたくて、困らせたくて仕方ない。
だって、そんな可愛い顔を見せられたら、止められる訳がないだろう?
射貫くような視線に一瞬、怯む。
「兄に見合い相手として無理やり駆り出された、という理由ならばともかく、これまでそんな素振りを一度も見せたことのない貴方さまが、実はわたくしに好意を寄せてくださっていたと、そう仰るのですか?」
ぐ、と言葉に詰まった。
シュリエラにとって、これまで不必要な接触を避けていたアッテンボローの好意を囁く言葉は、そう簡単に信用できるものではないのだろう。
「お気を使われなくても結構ですわ。アッテンボローさまが、敢えてわたくしと距離を置いていた事は気づいております。自らの意思に反してまで、兄の無茶を聞く必要はございませんのよ」
自業自得だ。
アッテンボローはそう思った。
なんやかんやと理由をつけて自らの恋心を封印して、これまでずっと距離を置いていたのだから。
それに、彼女は気が強い。そして真っ直ぐな気性の持ち主だ。
憐れみや同情で相手として名乗りを上げたと思ったのなら、怒りしか湧いてこないだろう。
己を振りかえり、その不甲斐なさに、ぐっと拳を握りしめる。
だが。
これは最後のチャンスなのだ。
兄君の決めた相手と結婚する、と、彼女がそう言った以上、他の誰かが見合い相手として現れたら、そいつと結婚することになるのだろう。
誰が来ようと。
ならば。
それは俺でもいい筈だ。
俺だけが断られる理由はないだろう?
ここで引き下がったら、俺は本当に只の意気地なしだ。
「・・・確かに、これまでの事を考えたら、俺の告白など疑いたくもなるだろう。ならば行動で証明するのみだ」
「・・・」
「俺の言葉が信じられないとしても、今はそれで構わない。ただ、俺との見合いは続けてもらう」
シュリエラは片方の眉を上げた。
「誰でもいいと兄君に言ったそうじゃないか。ならば俺を断る理由もない筈だ。そうだろう?」
「・・・それはそうですが」
「では、決まりだ。これからよろしく。婚約者候補殿」
「・・・」
挑むような目つきで、シュリエラはアッテンボローを見上げる。
まるで真意を探るように。
「貴方にそこまでして兄の意向を聞く理由もないと思いますが」
「兄君の意向を聞いてここにいる訳じゃない。さっきも言っただろう? 俺は好きな女性を守る権利が欲しいんだ」
「・・・では、そういう事にしておきましょう。お話は、これで終わりでしょうか? でしたら、もう部屋に戻ってもよろしいかしら」
こちらの言葉をまるで信用していないかのように直ぐに部屋に戻ろうとしたシュリエラ嬢の手を、勢いでばっと掴む。
「まだ何か?」
「これから長い付き合いになるんだ。少しくらいお喋りに付き合ってくれてもいいんじゃないか?」
あくまでも真っ直ぐに俺の眼を見据えるその意志の強そうな瞳を、俺もじっと見つめ返す。
「・・・分かりましたわ。それではここでお茶でも楽しみます?」
「お茶でも、散歩でも、何なら刺繍だって構わないぞ。貴女と一緒にいられるのなら」
ようやく一歩踏み出せたんだ。
勢い込んで答えると、シュリエラ嬢の眼がまん丸になって、それからぷっと吹き出した。
「刺繍、ですか。アッテンボローさまは刺繍がご趣味なのですか?」
「あ」
馬鹿なことを言ったと慌てたが、意外にシュリエラ嬢は面白がってくれて、目の前でけらけらと笑っている。
男の前でこんな風に声を上げて笑うとは、意外と子供っぽい。
外見からはうかがえない一面をまた一つ知れたようで、妙に嬉しくなってつい笑んでしまう。
その笑みに気づいたのか、急に取り繕ったように澄まし顔になった。
「・・・はしたないところをお見せしまして、失礼しました」
「いや、そんな君もまた新鮮で面白い」
急に表情を引き締めても、こちらの気の緩みは、そう簡単に締まらない。
俺の口元には、まだ笑みが浮かんでいた。
彼女はそんな俺をぎろりと睨む。
「面白いとは、令嬢に対する誉め言葉ではありませんわよ?」
ああ、駄目だ。
そんな顔をしても可愛らしいだけだぞ。
「それは失礼。君ならば喜んでくれるかと思ったんだがね」
「女性に対する扱いがなってませんのね。そんな言葉で喜ぶと思ってらっしゃるなんて」
「そうだな。こんなポンコツの俺では、君に見捨てられたらもう救いはないだろうな」
「は?」
「君は美しいだけじゃなく、優しく、情に厚く、懐も深い女性だから、まさかこんな哀れな男をあっさり見捨てたりはしないよな?」
「・・・アッテンボローさま?」
「何かな? 俺の愛しい婚約者殿」
「~~~!」
・・・まずい。
これまで彼女に手を出すのを我慢してきたせいで、タガが一気に外れたらしい。
全力で彼女を構いたくて、揶揄いたくて、困らせたくて仕方ない。
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