4 / 5
第4話 レベル99と帰還の夢
しおりを挟む
配信を続け、ついにレベル99。
【最大レベル到達:地球帰還スキル発動】
影山の視界が歪み、気づけば地球の部屋にいた。引きこもり部屋、散らかったPCのケーブル、マウス、コンビニの袋。
「あれ?夢……だった? 異世界、全部夢だったのか? あー、そりゃそうかぁ」
コンビニに行ってみる。夜更かしした後の眩しい陽の光。通りを走る車のエンジン音。よく知っている、ありふれた日常。
異世界に召喚されて、追放されて、配信して……。そんな夢を見ていたなぁ、そういえば、学校も暫くサボっちゃった気がする。そろそろ、行かなくちゃなぁ。なんて思っていた。
でも、ふと、端末にメッセージが来ていたことに気がついた。差出人は、吉田良夫。
あれ。異世界の夢の中では、ちょっとだけ喋ったけど、クラスで喋ったことあったっけ? ……まあ、吉田君は良い人そうだからなぁ。不登校っぽかったから、連絡くれたのかな?
そんなことを考えながら、メッセージを開いてみた。
『いなくなったらしいって聞いたけど、もしかして、地球に帰れたの? 俺も帰りたい! あ、でも、そうじゃなくてどこかで困ってる? 大丈夫? ――吉田良夫』
影山はハッとした。吉田はまだ異世界にいる。あの日々は夢じゃなかった?
親切にしてくれた吉田を、忘れちゃいけない。
「そうだ、吉田君……」
スキルが再発動。レベルアップで得たのはコラボ配信モードだ。
影山のチャンネルに吉田の視点が追加。吉田専用のサブチャンネルが作成できた。
これは、もしかして?
配信を開始、視聴者と吉田に呼びかける。
「みんな、吉田くんのチャンネル登録して! 増えたら吉田くんも帰れるんだ!……多分……?」
『多分?って何だよ! 配信したら俺も帰れるのか? 何を配信するんだ?』
吉田はよくわからず、日中は配信しっぱなしにしていた。
吉田の配信には冒険の裏側、勇者たちの日常、癒しのエピソード綴られていく。「本日の勇者メシ」のコーナーも人気になった。
コラボで、影山が解説をすると、さらに吉田の良い人さが際立っていった。
じわじわ。着実に、吉田のチャンネルへの登録者が増えていく
『吉田さんいい人すぎ』
『登録した! 帰ってきて!』
登録者が順調に増え、吉田の異世界スキルがレベルアップしていった。レベルが90になった頃、勇者達は遂に魔王を倒した。しかし、魔王を倒しても、財宝と名声は得たが地球に帰る手段は得られなかった。
吉田は、希望を捨てず、配信を続けた。
「勇者祝賀会」「凱旋パレード」「祝賀会後の勇者メシ」。実況をしていく。
『凱旋後、初の勇者メシは澤村君リクエストのポテトフライ付きだよ! こっちでは植物油が手に入りにくいから、揚げ物は特別メニューなんだ。澤村君は、ポテチをリクエストしたらしいんだけどね。上手く伝わらなかったか、芋を薄く切れなかったか、どっちだろ』
『ポテトフライだって、美味いぞ!』
ポテトフライを指先で摘んで、澤村が横からピョコっと顔を出す。
『澤村君、かっこいい』
『ポテトフライ美味しそう!』
吉田視点の配信も人気が出た。
そしてレベル99に達成し、吉田はついに地球への帰還を果たした。
「吉田くん! おかえり!」
地球で再会した二人。影山の部屋で。もちろん、再会の様子も配信している。感動の再会の場面では投げ銭が殺到した。
「影山くん、ありがとう……でも、俺も配信者かよ」
こうして、影山は配信仲間を増やした。
吉田が、配信者になってスキルアップしたことで地球に帰還したということを知った澤村、三村、剛田は、自分からコラボ配信したいと影山に申し出てきた。
次々コラボ。影山の配信開始当初からの、ファンは、みんな澤村達の行く末を気にしていた。当然、チャンネル登録をしていく。視聴者がどんどん増えていって帰還の連鎖だ。
ハズレ勇者は、引きこもり配信者として、異世界と地球をつなぐ伝説となった。
「次は誰を呼ぼうかな」
影山は画面に向かって微笑んだ。引きこもり生活は、永遠に続いていた。
【最大レベル到達:地球帰還スキル発動】
影山の視界が歪み、気づけば地球の部屋にいた。引きこもり部屋、散らかったPCのケーブル、マウス、コンビニの袋。
「あれ?夢……だった? 異世界、全部夢だったのか? あー、そりゃそうかぁ」
コンビニに行ってみる。夜更かしした後の眩しい陽の光。通りを走る車のエンジン音。よく知っている、ありふれた日常。
異世界に召喚されて、追放されて、配信して……。そんな夢を見ていたなぁ、そういえば、学校も暫くサボっちゃった気がする。そろそろ、行かなくちゃなぁ。なんて思っていた。
でも、ふと、端末にメッセージが来ていたことに気がついた。差出人は、吉田良夫。
あれ。異世界の夢の中では、ちょっとだけ喋ったけど、クラスで喋ったことあったっけ? ……まあ、吉田君は良い人そうだからなぁ。不登校っぽかったから、連絡くれたのかな?
そんなことを考えながら、メッセージを開いてみた。
『いなくなったらしいって聞いたけど、もしかして、地球に帰れたの? 俺も帰りたい! あ、でも、そうじゃなくてどこかで困ってる? 大丈夫? ――吉田良夫』
影山はハッとした。吉田はまだ異世界にいる。あの日々は夢じゃなかった?
親切にしてくれた吉田を、忘れちゃいけない。
「そうだ、吉田君……」
スキルが再発動。レベルアップで得たのはコラボ配信モードだ。
影山のチャンネルに吉田の視点が追加。吉田専用のサブチャンネルが作成できた。
これは、もしかして?
配信を開始、視聴者と吉田に呼びかける。
「みんな、吉田くんのチャンネル登録して! 増えたら吉田くんも帰れるんだ!……多分……?」
『多分?って何だよ! 配信したら俺も帰れるのか? 何を配信するんだ?』
吉田はよくわからず、日中は配信しっぱなしにしていた。
吉田の配信には冒険の裏側、勇者たちの日常、癒しのエピソード綴られていく。「本日の勇者メシ」のコーナーも人気になった。
コラボで、影山が解説をすると、さらに吉田の良い人さが際立っていった。
じわじわ。着実に、吉田のチャンネルへの登録者が増えていく
『吉田さんいい人すぎ』
『登録した! 帰ってきて!』
登録者が順調に増え、吉田の異世界スキルがレベルアップしていった。レベルが90になった頃、勇者達は遂に魔王を倒した。しかし、魔王を倒しても、財宝と名声は得たが地球に帰る手段は得られなかった。
吉田は、希望を捨てず、配信を続けた。
「勇者祝賀会」「凱旋パレード」「祝賀会後の勇者メシ」。実況をしていく。
『凱旋後、初の勇者メシは澤村君リクエストのポテトフライ付きだよ! こっちでは植物油が手に入りにくいから、揚げ物は特別メニューなんだ。澤村君は、ポテチをリクエストしたらしいんだけどね。上手く伝わらなかったか、芋を薄く切れなかったか、どっちだろ』
『ポテトフライだって、美味いぞ!』
ポテトフライを指先で摘んで、澤村が横からピョコっと顔を出す。
『澤村君、かっこいい』
『ポテトフライ美味しそう!』
吉田視点の配信も人気が出た。
そしてレベル99に達成し、吉田はついに地球への帰還を果たした。
「吉田くん! おかえり!」
地球で再会した二人。影山の部屋で。もちろん、再会の様子も配信している。感動の再会の場面では投げ銭が殺到した。
「影山くん、ありがとう……でも、俺も配信者かよ」
こうして、影山は配信仲間を増やした。
吉田が、配信者になってスキルアップしたことで地球に帰還したということを知った澤村、三村、剛田は、自分からコラボ配信したいと影山に申し出てきた。
次々コラボ。影山の配信開始当初からの、ファンは、みんな澤村達の行く末を気にしていた。当然、チャンネル登録をしていく。視聴者がどんどん増えていって帰還の連鎖だ。
ハズレ勇者は、引きこもり配信者として、異世界と地球をつなぐ伝説となった。
「次は誰を呼ぼうかな」
影山は画面に向かって微笑んだ。引きこもり生活は、永遠に続いていた。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
足手まといだと言われて冒険者パーティから追放されたのに、なぜか元メンバーが追いかけてきました
ちくわ食べます
ファンタジー
「ユウト。正直にいうけど、最近のあなたは足手まといになっている。もう、ここらへんが限界だと思う」
優秀なアタッカー、メイジ、タンクの3人に囲まれていたヒーラーのユウトは、実力不足を理由に冒険者パーティを追放されてしまう。
――僕には才能がなかった。
打ちひしがれ、故郷の実家へと帰省を決意したユウトを待ち受けていたのは、彼の知らない真実だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる