転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第2章

第291話 目的の考察

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長い文だったから何枚もの魔法紙になっているようなのだけど、既に同じ内容を魔法紙で写しているようで、父上と母様は魔法紙の束を手にしていてて難しい顔をしていた。

兄上は魔法紙から顔を上げた。

「……前に、冒険者ギルドにパープルヴァレートレントの木の実が持ち込まれたって話があったけど関連していそうだよね」
「同じ人物が持ち込んだのだとしたら、意図がはっきりしないわね。
わざわざギルドに毒の木の実を持ち込めば警戒されるでしょう」

母様が魔法紙の束をローテーブルの上に置いて、首を傾げた。

「使い方が確定していないのではないか? 我が国でも知られていなかった毒の実だ。
 何も加工しなければ微毒程度なのだろう。色々試していたんじゃないか?」
「ギルドに持ち込んだのは情報収集の為、とかですかね」

父上の言葉を聞いて兄上は少し身を乗り出した。父上が頷く。

「ギルドで買い取れば、品の確認をする。良く知られている品であれば、反応によって情報が得られる。
未知の品だとしたら、使わせてみれば被害が確認できると思ったのかもしれないな」
「怖!」

僕は板に小さい図を書きながらメモをしている。ちょっとビクゥってなって線が乱れちゃった。
尖った山が見える川、冒険者ギルド、それから泉の向こう側。「呪いの毒」が関連していそうな場所を小さく描いて、情報をメモ書きする。
あ、ゴーシュさんの目がチカチカ事件もあった。
お酒の瓶を小さく描く。

「他の場所では川に木の実の毒が流されたのに、ゲンティアナではゴーシュさんが飲まされて、目がチカチカになったけど、川には別の毒が流されたんだよね」
「アンソラや辺境伯領に毒を撒いた時期は不明だが、
 毒の影響が出るのに時間がかかると思ったんじゃないか?」

ゲンティアナに来る前にアンソラ男爵領や辺境伯領で川に毒を流して様子を伺っていたのかもしれないと言うことだ。
アンソラや辺境伯領で毒の影響が出るのが想定より遅くて
灰色キノコの毒を使おうとしたのではという考えだ。

「……でも、そもそも何の為?」
「単純に考えれば、侵略目的じゃないか」
「ええ!?」

サラリと父上が怖いことを言う。

地形図の辺境伯領のある辺りを指差す。

「敵国が攻め入ってくるとしたら、辺境伯領の国境線から攻めてくるだろう。
その時、辺境伯領とアンソラ男爵領の民が疫病で疲弊していたら攻めやすくなる」
「怖!」
「ゲンティアナは、森に阻まれているから直接は狙われにくい。
狙うほどの旨みがある地だとは思われていないかもな」
「ゲンティアナは安全ってこと?」
「そうとは限らない。現に川に毒を流されそうになっていただろう」
「そうだね……」

アンソラ男爵領とナスタチウム辺境伯領で発生している流行病が、毒によるものだった場合、国境に面した地を攻める目的ではないかと言うことだ。
毒で弱らせてから攻めるなんて怖い。
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