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第2章
第290話 他の毒
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黒ローブは、ゲンティアナの川の上流以外に、アンソラ男爵領、辺境伯領の川の上流に行って毒を流したのだろうか。でも、ここからは結構距離がある。一人であちこちの領地の川に毒を流して回るなんてあり得るのだろうか。
兄上も疑問に思ったのか、地形図を眺めながら首を捻った。
「あの黒ローブは他の土地も全部やったのかな?」
「……あの男が所持していたのは、ハイイロローダケの毒だったよな。感染症の原因になるかは疑問だ」
父上が、腕組みして眉間に皺を寄せなながら言う。
「……他の毒を使ったのかも……?」
兄上が首を傾げた。
兄上は魔法紙に写し出された幾つかの川を順にトン、トン、トンと指差した。
「……他にも川がある。色々な毒を流して効果がなかった毒もあったのかもしれない。
ゲンティアナには灰色キノコの毒を流して、他は……例えば『呪いの毒』とか……」
「呪いの毒!」
「呪いの毒」と言う言葉が出たので思わず声を大きくしてしまった。
父上が一瞬チラリと僕に鋭い目を向けた。
そして視線を地形図に戻して言う。
「『呪いの毒』に侵された者は身体が黒く爛れるんじゃなかったか」
「『微毒』、とか……」
兄上は難しそうな顔をした後、僕の方を向いた。
「……クリス、黒ローブの絵、持ってる?山のやつ」
「あ、うん……」
兄上に言われて、「収納」から黒ローブが川に毒を流している絵を取り出した。背景に尖った山があるやつだ。
僕から絵を受け取ると、兄上はその絵をシャル叔父さんに見せた。
「この場所ってどこだかわかりますか?」
シャル叔父さんは、少し身を乗り出してじっと絵を見つめた。パチパチぱちと瞬きをする。
「針葉樹と尖った山……、ここかな。こっちも図では似てるけど」
シャル叔父さんが巻物の地図を透明カーテンに押し付けながら、場所を指し示してくれる。
手書きの地図は、山とかの特徴が大雑把に描かれていて、尖った山の絵も何箇所かに描かれていた。
「ジランの町には行ったことがあるんだけど、ちょうどこんな山があったような気がするよ。
この絵はどうしたの?」
「……この絵の黒ローブの男らしき人物をゲンティアナの川の上流で捕まえたんだ」
「えええ!?」
シャル叔父さんが驚いた様子で、身をのけぞらせて透明カーテンから離れた。
「そいつがジランやノドナスでも毒を撒いたってこと?」
「その疑いはあるが、一人ではなく仲間がいるのかもしれない。所持していた毒で感染症のような症状が出るかは不明だ」
「でも、怪しいんでしょ?国に報告はしたの?」
「ゲンティアナの件については報告済みだ。……毒の可能性については薬師に確認してみるか……」
毒で感染症のような症状が出るのか、薬師のおばあちゃんに確認してみることになったようだ。
シャル叔父さんや商隊の人達の隔離期間が明けた頃、薬師のおばあちゃんから見解をまとめた文書が「手紙」の魔道具で送られてきた。
「……『通常の毒は他人に感染はしないが、呪いの毒については、呪いのように他者に伝わると言われている為、感染症のように伝搬する可能性は否定できない。
ジランやノドナスの感染患者には呪いの毒特有の症状である皮膚が黒く爛れるという症状の報告は現時点では伝わってきていない。
しかし、呪いの毒と関連が深い、パープルヴァレートレントの木の実の毒には視力低下や頭痛などの症状が出る場合があり、ジランやノドナスの感染患者の症状と近いようにも思える。。
この木の実の毒を摂取した魚を食した場合、ジランやノドナスで発生している症状が出る可能性は否定できない』って書いてある」
薬師のおばあちゃんから届いた「手紙」を魔法紙に写したものを、兄上が読み上げてくれた。
兄上も疑問に思ったのか、地形図を眺めながら首を捻った。
「あの黒ローブは他の土地も全部やったのかな?」
「……あの男が所持していたのは、ハイイロローダケの毒だったよな。感染症の原因になるかは疑問だ」
父上が、腕組みして眉間に皺を寄せなながら言う。
「……他の毒を使ったのかも……?」
兄上が首を傾げた。
兄上は魔法紙に写し出された幾つかの川を順にトン、トン、トンと指差した。
「……他にも川がある。色々な毒を流して効果がなかった毒もあったのかもしれない。
ゲンティアナには灰色キノコの毒を流して、他は……例えば『呪いの毒』とか……」
「呪いの毒!」
「呪いの毒」と言う言葉が出たので思わず声を大きくしてしまった。
父上が一瞬チラリと僕に鋭い目を向けた。
そして視線を地形図に戻して言う。
「『呪いの毒』に侵された者は身体が黒く爛れるんじゃなかったか」
「『微毒』、とか……」
兄上は難しそうな顔をした後、僕の方を向いた。
「……クリス、黒ローブの絵、持ってる?山のやつ」
「あ、うん……」
兄上に言われて、「収納」から黒ローブが川に毒を流している絵を取り出した。背景に尖った山があるやつだ。
僕から絵を受け取ると、兄上はその絵をシャル叔父さんに見せた。
「この場所ってどこだかわかりますか?」
シャル叔父さんは、少し身を乗り出してじっと絵を見つめた。パチパチぱちと瞬きをする。
「針葉樹と尖った山……、ここかな。こっちも図では似てるけど」
シャル叔父さんが巻物の地図を透明カーテンに押し付けながら、場所を指し示してくれる。
手書きの地図は、山とかの特徴が大雑把に描かれていて、尖った山の絵も何箇所かに描かれていた。
「ジランの町には行ったことがあるんだけど、ちょうどこんな山があったような気がするよ。
この絵はどうしたの?」
「……この絵の黒ローブの男らしき人物をゲンティアナの川の上流で捕まえたんだ」
「えええ!?」
シャル叔父さんが驚いた様子で、身をのけぞらせて透明カーテンから離れた。
「そいつがジランやノドナスでも毒を撒いたってこと?」
「その疑いはあるが、一人ではなく仲間がいるのかもしれない。所持していた毒で感染症のような症状が出るかは不明だ」
「でも、怪しいんでしょ?国に報告はしたの?」
「ゲンティアナの件については報告済みだ。……毒の可能性については薬師に確認してみるか……」
毒で感染症のような症状が出るのか、薬師のおばあちゃんに確認してみることになったようだ。
シャル叔父さんや商隊の人達の隔離期間が明けた頃、薬師のおばあちゃんから見解をまとめた文書が「手紙」の魔道具で送られてきた。
「……『通常の毒は他人に感染はしないが、呪いの毒については、呪いのように他者に伝わると言われている為、感染症のように伝搬する可能性は否定できない。
ジランやノドナスの感染患者には呪いの毒特有の症状である皮膚が黒く爛れるという症状の報告は現時点では伝わってきていない。
しかし、呪いの毒と関連が深い、パープルヴァレートレントの木の実の毒には視力低下や頭痛などの症状が出る場合があり、ジランやノドナスの感染患者の症状と近いようにも思える。。
この木の実の毒を摂取した魚を食した場合、ジランやノドナスで発生している症状が出る可能性は否定できない』って書いてある」
薬師のおばあちゃんから届いた「手紙」を魔法紙に写したものを、兄上が読み上げてくれた。
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