転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

文字の大きさ
302 / 334
第2章

第302話 「動く写し絵」の改良点

しおりを挟む
「動く写し絵」で音も集めてくるのはそんなに難しくない。
「お話」の魔道具で音を集めているから、同じようにするだけ。気をつけるのは「絵」と並行して「音」を記録するようにしないと音がずれちゃってところだ。

最初は二つの魔法陣を同時に起動するようにすれば良いかなと思ったけど、
少しずつ記録するタイミングがずれてきちゃうみたいだった。
「絵」と「音」がずれないように魔法陣を連動させたりというところがややこしかった。

「もっと長い時間起動してみて、『絵』と『音』にズレが出ないかを確認しないとダメかなと思うんだけど……。こんな感じでどうかな?」
「どうかなって……。音、入れたのかよ……」

翌朝に
出来上がった「音入り動く写し絵」魔道具を兄上に見せたら、大きく溜息をつかれた。

「母上やメイリに見せようとしないから、どうしたんだと思ってたら……」
「音のところは作っちゃってからと思って」

魔道具が完成してから見せたいなとは思うけど、使いやすさみたいなところは
実際使ってみてもらわないとわからないから、結局、作った魔道具を見せてから
意見を貰って修正をしたりもするんだけど「動く写し絵」に「音」も入った状態にするところは、ちゃんと作ってから見せたかったんだよね。

「はぁぁ……。わからなくもないけど……」
兄上は
サイコロがコロコロと音を立てて転がったり、棒をコンコンと叩いている様子の写し絵を何度か繰り返し見ていた。

「……開発スパンが早すぎるんだよなぁ」
「どういうこと?」
「写し絵が動くようになったと思ったら、もう音が入っているからビックリしただけだよ。
 ……これは、すぐ知らせた方が良いな」

兄上が「お話」の魔道具を起動し始めた。



朝食の前の時間に離れの食堂に、急遽父上や母上、メイリも集合した。

「まあ!ついに出来たのね……」

「音入り動く写し絵」の魔道具を起動して、写した絵を見せてみたら、
驚かれたけど、いつか作るって予想されていたのかもしれない。
どんな魔道具かすぐに理解してくれて、「どのくらいの時間記録できるのか」とか「複数の写し絵を記録できるのか」とか、具体的なことを色々聞かれた。

記録する魔石は入れ替えられるようにしてあったんだけど、
記録できる時間とかは魔石の大きさや質に寄っちゃうんだよね。
でも、十秒以上とか五分以上とか目安がはっきりしていると使いやすいみたいだ。

記録用の魔法陣魔石を分類して用意しておこうかな。

それと、皆で表示ボードに顔を寄せているのを見ると、もっと表示ボードが大きい方が良いかもと思い始めた。
壁を表示ボード代わりにしたりすれば、大きく映せるかな。
改良点が沢山ありそう。でも、色々できることが増えるのってワクワクするね。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。 辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...