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第1章
第50話 地方発送
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昼まではのんびりできそうだとホッとしていると食堂から出る時にハロルド君が小声で兄上に話しかけた。
「水の魔石水をテッセン伯爵領の自宅に送りたいんだ。なるべく早く。手配してもらえないだろうか。」
「お土産で持ち帰るのではなく、すぐ送られたいのですか?」
「ああ、30本ほどあると助かる。
用意できそうか?」
「念の為薬師に確認しますが、大丈夫だと思います。」
兄上はテキパキと板にメモをすると、それをマーサに手渡した。マーサは板を受け取ると、どこかに向かって行った。
ボブに買い出しを頼みに行ったのだろう。
僕が即席で作った魔石水は、効果はまあまあだけど。あまり長い間保存出来ない。
コップに注いだものは一日も経てば、魔力がかなり抜けてきてしまう。
魔石を漬けたままの状態だとそれなりに長持ちする。
薬師のおばあちゃんのところで売られている魔石水もビンの中に魔石を入れてある。瓶から直接に飲んだ時にうっかり魔石を飲み込まないように試行錯誤しているらしい。
魔石を漬け込んで、魔力が抜けにくくなるハーブを足している。
保存できると言っても、あまりにも長期は難しいだろうから、ハロルド君が30本と言ったのは妥当かもしれない。
ハロルド君は後でテッセン伯爵家の使用人に代金を持たせると約束をした。場合によって薬師のところに同行して、直接お金を払うのでも良いし、
テッセンっ伯爵領へ運ぶ馬車をテッセン伯爵家で手配しようかと言っていた。すごいなぁ、お買い物をし慣れている感じ!
昼までは案内をしないことになったので手が空いている間に、狩りをしてくることになった。
角兎フィーバーがあるから、角兎の狩場は避けて森の中に向かう。
前日のことがあるから、今日はボブが同行してくれる。ボブは膝を痛めているので、馬に乗っていく。
「え、平原の角兎は岩場のと違って、こっちに向かってくるの?」
「ええ。岩場のように身を隠すところがあまりないからですかねぇ。」
「向かってくるなら、追いかけなくて良いから狩りは楽だね。」
「飛びかかられたタイミングですぐ攻撃できる手段が必要でさぁ。詠唱なんてやっているとこっちがやられちまいまさぁ。だから、剣なんかが得意なやつが有利なんでさぁね。」
森に向かうまでの間、町にやってきた騎士達が岩場でうまく狩りができていなかったことの疑問をボブにぶつけたら答えてくれた。
角兎は基本的には臆病で、窮地に陥ると襲いかかってくるのだそうだ。岩場は身を隠す場所が多いから、あちらから襲いかかってくることはないけれど
平原だと切羽詰まって向かってくるらしい。
向かってくる角兎を狩るつもりが、ぴょこぴょこ岩場から顔を出すだけになっていたら、困惑するだろうなと納得した。
「あ、詠唱って一般的なの?」
「そうでさぁね。多い順に詠唱魔法、魔法陣魔法、無詠唱のでさぁよ。
無詠唱はあまり見ないんでさぁよ。」
「そうなんだ……。」
「無詠唱かと思ったら、魔法陣魔法を使っていたりする場合が多いですなぁ。」
詠唱しないゲンティアナ家は特殊らしい。
兄上だって普段、攻撃魔法は使わないけど。火を起こす時は無詠唱でやっていた。
僕のざっくり分析が合っているとしたら、詠唱でやっている部分の魔力制御も自前でやっているのだと思う。
リネリア嬢が詠唱なしの時の魔法が、ただ手から水が落ちていくだけだったことから考えると、水を的に向けて飛ばすなど、魔法を実現する形いを指示する部分が詠唱に含まれているんじゃないかな。
「詠唱しないと変に見られる?」
「詠唱は狩りには向きやせんぜ。唱えている間に逃げちやいやさぁ。」
ボブはそう話しながら、帽子の位置を直すくらいの手軽さでヒュンとナイフを投げた。
木の上から鳥が落ちてくる。
「水の魔石水をテッセン伯爵領の自宅に送りたいんだ。なるべく早く。手配してもらえないだろうか。」
「お土産で持ち帰るのではなく、すぐ送られたいのですか?」
「ああ、30本ほどあると助かる。
用意できそうか?」
「念の為薬師に確認しますが、大丈夫だと思います。」
兄上はテキパキと板にメモをすると、それをマーサに手渡した。マーサは板を受け取ると、どこかに向かって行った。
ボブに買い出しを頼みに行ったのだろう。
僕が即席で作った魔石水は、効果はまあまあだけど。あまり長い間保存出来ない。
コップに注いだものは一日も経てば、魔力がかなり抜けてきてしまう。
魔石を漬けたままの状態だとそれなりに長持ちする。
薬師のおばあちゃんのところで売られている魔石水もビンの中に魔石を入れてある。瓶から直接に飲んだ時にうっかり魔石を飲み込まないように試行錯誤しているらしい。
魔石を漬け込んで、魔力が抜けにくくなるハーブを足している。
保存できると言っても、あまりにも長期は難しいだろうから、ハロルド君が30本と言ったのは妥当かもしれない。
ハロルド君は後でテッセン伯爵家の使用人に代金を持たせると約束をした。場合によって薬師のところに同行して、直接お金を払うのでも良いし、
テッセンっ伯爵領へ運ぶ馬車をテッセン伯爵家で手配しようかと言っていた。すごいなぁ、お買い物をし慣れている感じ!
昼までは案内をしないことになったので手が空いている間に、狩りをしてくることになった。
角兎フィーバーがあるから、角兎の狩場は避けて森の中に向かう。
前日のことがあるから、今日はボブが同行してくれる。ボブは膝を痛めているので、馬に乗っていく。
「え、平原の角兎は岩場のと違って、こっちに向かってくるの?」
「ええ。岩場のように身を隠すところがあまりないからですかねぇ。」
「向かってくるなら、追いかけなくて良いから狩りは楽だね。」
「飛びかかられたタイミングですぐ攻撃できる手段が必要でさぁ。詠唱なんてやっているとこっちがやられちまいまさぁ。だから、剣なんかが得意なやつが有利なんでさぁね。」
森に向かうまでの間、町にやってきた騎士達が岩場でうまく狩りができていなかったことの疑問をボブにぶつけたら答えてくれた。
角兎は基本的には臆病で、窮地に陥ると襲いかかってくるのだそうだ。岩場は身を隠す場所が多いから、あちらから襲いかかってくることはないけれど
平原だと切羽詰まって向かってくるらしい。
向かってくる角兎を狩るつもりが、ぴょこぴょこ岩場から顔を出すだけになっていたら、困惑するだろうなと納得した。
「あ、詠唱って一般的なの?」
「そうでさぁね。多い順に詠唱魔法、魔法陣魔法、無詠唱のでさぁよ。
無詠唱はあまり見ないんでさぁよ。」
「そうなんだ……。」
「無詠唱かと思ったら、魔法陣魔法を使っていたりする場合が多いですなぁ。」
詠唱しないゲンティアナ家は特殊らしい。
兄上だって普段、攻撃魔法は使わないけど。火を起こす時は無詠唱でやっていた。
僕のざっくり分析が合っているとしたら、詠唱でやっている部分の魔力制御も自前でやっているのだと思う。
リネリア嬢が詠唱なしの時の魔法が、ただ手から水が落ちていくだけだったことから考えると、水を的に向けて飛ばすなど、魔法を実現する形いを指示する部分が詠唱に含まれているんじゃないかな。
「詠唱しないと変に見られる?」
「詠唱は狩りには向きやせんぜ。唱えている間に逃げちやいやさぁ。」
ボブはそう話しながら、帽子の位置を直すくらいの手軽さでヒュンとナイフを投げた。
木の上から鳥が落ちてくる。
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