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第1章
第131話 ダンジョンとの違い
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どの部位をどういう風に切って使うかはジャックに任せようってことで、とりあえず皮を剥いで内臓を取り除くところまでをやっておく。
「……殿下達の訓練はいきなり角兔狩りに進んじゃったね。明日はどうするんだろう」
「どうだろうな。角兎の状態を見た感じじゃ、単独で狩れるようになったって感じじゃないから、もっと慣れるまで角兎で訓練を続けるんじゃないか。
それか、色々な魔獣狩りを体験したいってことなら他の魔獣狩りにするんだろう」
兄上は流れ作業のようにナイフで角兎の角を切り落としていった。切り落とした角は兄上の「収納」の中に収められていく。
「角兎に進んじゃったら、角兎より小さくて弱そうな魔獣は狩りたくないってことになりそうじゃない?」
「まあ、そこは訓練を進めている人達が考えるだろう」
作業をしながら淡々と兄上は言っているけど、「程よい強さの魔獣の狩場を教えろ」とか注文が来そうで僕はちょっと心配だ。
角兎で訓練を続けた場合は、毎日泥々の角兎が持ち替えられるんだろうか。いや、上手に狩れるようになったら泥々じゃなくなるのかな。
「肉が美味しい魔獣の狩場」とか希望されたらどうしよう。オオトカゲの肉は美味しいけど、沼地が荒らされたから狩りができるような状態じゃないんだよね。
沼地が普通の状態でも、オオトカゲ狩りは難しそうか。土に埋めるのも沼地じゃうまくいかなさそうだし。
どの角兎にも魔石が残ったままになっていた。角兎の魔石を回収しながら、背びれイタチの狩りの時のことを思い出していた。
「……王宮騎士の人って、狩りの後始末とか大雑把なのかな。背びれイタチはそこらに放ってたし、角兔は血抜きもしてなかったし……」
「王都のあたりだったら、ダンジョンでの魔獣討伐に慣れすぎているのかもしれないでさぁ」
ボソリと言ったらボブに聞こえていたらしい。
「ダンジョン?ダンジョンだと狩りの仕方が何か違うの?」
王都近くにダンジョンがあると言うのは聞いたことがあった。ダンジョンは洞窟みたいになっていてその中に魔獣がうじゃうじゃいるというイメージしかなかった。
「ダンジョンでは、倒した魔獣を放置しているとダンジョンに吸収されていくんだそうでさぁ。倒すと魔石だけになるとか、肉や素材に変わるって話も聞いたことがあるんで、ダンジョンによっても違うのかもしれないですがね」
「魔石だけになるの?ちょっと面白そうだね!」
ただの魔獣が多い洞窟ってわけじゃない不思議空間みたいで気になる。
魔石や肉だけとかになるなら、解体をしなくても良いし不要な部位の後始末をする必要もないのか。
騎士達が倒した背びれイタチを放り投げていたのも、ダンジョンに居る時みたいな感覚だったのかな。
ダンジョンの時みたいに吸収されるとは考えてなかったかもしれないけど、習慣的にやってたのかもね。
「ボブはダンジョンに行ったことあるの?」
「ありやせん。この国にはダンジョンは王都近くとあと北の方に一箇所位しかないんでさぁ。隣の国には沢山あるらしいんですがねぇ。
まあ、この辺はダンジョンに行かなくても魔獣が出るんで、特に行く必要はなかったんでさぁ」
「隣って、ディステル王国のこと?森の先だね」
「だいぶ遠いですがね」
ゲンティアナ男爵領はペオニア王国の端っこにあって、広大な森を隔てた向こう側はディステル王国という国があるそうだ。
強い魔獣が多い森に隔てられているからゲンティアナ男爵領では隣国との交流はないみたいだ。隣の国から来たって人に会ったことないし。
何年か前にディステル王国との戦争があったって聞くし、国同士はあまり仲良くないのかな。
いつかダンジョンに行ってみたいけど、森を超えてディステル王国に行くよりも、王都近くのダンジョンに行く方が手軽なのかもしれない。
三人で話しながら解体をしていると結構作業が早い。
日が暮れないうちに解体を終えることができた。
「……殿下達の訓練はいきなり角兔狩りに進んじゃったね。明日はどうするんだろう」
「どうだろうな。角兎の状態を見た感じじゃ、単独で狩れるようになったって感じじゃないから、もっと慣れるまで角兎で訓練を続けるんじゃないか。
それか、色々な魔獣狩りを体験したいってことなら他の魔獣狩りにするんだろう」
兄上は流れ作業のようにナイフで角兎の角を切り落としていった。切り落とした角は兄上の「収納」の中に収められていく。
「角兎に進んじゃったら、角兎より小さくて弱そうな魔獣は狩りたくないってことになりそうじゃない?」
「まあ、そこは訓練を進めている人達が考えるだろう」
作業をしながら淡々と兄上は言っているけど、「程よい強さの魔獣の狩場を教えろ」とか注文が来そうで僕はちょっと心配だ。
角兎で訓練を続けた場合は、毎日泥々の角兎が持ち替えられるんだろうか。いや、上手に狩れるようになったら泥々じゃなくなるのかな。
「肉が美味しい魔獣の狩場」とか希望されたらどうしよう。オオトカゲの肉は美味しいけど、沼地が荒らされたから狩りができるような状態じゃないんだよね。
沼地が普通の状態でも、オオトカゲ狩りは難しそうか。土に埋めるのも沼地じゃうまくいかなさそうだし。
どの角兎にも魔石が残ったままになっていた。角兎の魔石を回収しながら、背びれイタチの狩りの時のことを思い出していた。
「……王宮騎士の人って、狩りの後始末とか大雑把なのかな。背びれイタチはそこらに放ってたし、角兔は血抜きもしてなかったし……」
「王都のあたりだったら、ダンジョンでの魔獣討伐に慣れすぎているのかもしれないでさぁ」
ボソリと言ったらボブに聞こえていたらしい。
「ダンジョン?ダンジョンだと狩りの仕方が何か違うの?」
王都近くにダンジョンがあると言うのは聞いたことがあった。ダンジョンは洞窟みたいになっていてその中に魔獣がうじゃうじゃいるというイメージしかなかった。
「ダンジョンでは、倒した魔獣を放置しているとダンジョンに吸収されていくんだそうでさぁ。倒すと魔石だけになるとか、肉や素材に変わるって話も聞いたことがあるんで、ダンジョンによっても違うのかもしれないですがね」
「魔石だけになるの?ちょっと面白そうだね!」
ただの魔獣が多い洞窟ってわけじゃない不思議空間みたいで気になる。
魔石や肉だけとかになるなら、解体をしなくても良いし不要な部位の後始末をする必要もないのか。
騎士達が倒した背びれイタチを放り投げていたのも、ダンジョンに居る時みたいな感覚だったのかな。
ダンジョンの時みたいに吸収されるとは考えてなかったかもしれないけど、習慣的にやってたのかもね。
「ボブはダンジョンに行ったことあるの?」
「ありやせん。この国にはダンジョンは王都近くとあと北の方に一箇所位しかないんでさぁ。隣の国には沢山あるらしいんですがねぇ。
まあ、この辺はダンジョンに行かなくても魔獣が出るんで、特に行く必要はなかったんでさぁ」
「隣って、ディステル王国のこと?森の先だね」
「だいぶ遠いですがね」
ゲンティアナ男爵領はペオニア王国の端っこにあって、広大な森を隔てた向こう側はディステル王国という国があるそうだ。
強い魔獣が多い森に隔てられているからゲンティアナ男爵領では隣国との交流はないみたいだ。隣の国から来たって人に会ったことないし。
何年か前にディステル王国との戦争があったって聞くし、国同士はあまり仲良くないのかな。
いつかダンジョンに行ってみたいけど、森を超えてディステル王国に行くよりも、王都近くのダンジョンに行く方が手軽なのかもしれない。
三人で話しながら解体をしていると結構作業が早い。
日が暮れないうちに解体を終えることができた。
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