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第1章
第205話 狼系魔獣
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少しして馬が駆ける足音が聞こえてきた。
道の先に、騎士らしき人達がこちらに向かって馬を走らせているのが見えた。
先頭に見えるのは見知った人物だ。
レオノールさんとゴーシュさんだ。他にも騎士四人が急いでいる様子でやってきた。
レオノールさんとゴーシュさんは到着するとすぐに僕と兄上に頭を下げて謝ってくれた。
「迷惑をかけるばかりでなく、ゲンティアナの領地を危険に晒してしまった。誠に申し訳ない」
「……これ、誰かが企んだことですよね。ちゃんと調査してください!」
「わかった……。まずはここの状況を確認するよ」
ゴーシュさんはそういうと、見張りの騎士さん達から話を聞いた後、
檻の鍵を調べ始めた。
空の檻と、魔獣が入っている檻に魔法を撃つ検証を始めた。
暫くして、ガヤガヤとちょっと騒がしい話し声と共に荷馬車が近づいてきた。
荷馬車の御者は冒険者っぽい格好だけど、騎士服の人もいる。
その後ろにも荷馬車が続いている。
「第一小隊グレンです。捕獲した魔獣を運んで参りました!」
「……ご苦労。檻を荷台から降ろせ」
ゴーシュさんが指示を出すと、ゴーシュさんと一緒にやってきた騎士さん達が荷馬車の近くに寄った。
荷馬車の檻が降ろされると騎士さん達が取り囲んだ。
「……狼?」
荷馬車の方に寄って行った騎士さんの一人が呟いた。
「ウゥゥゥゥ……」
小さく唸り声が聞こえてきた。狼系の魔獣はこの辺にはいなかったと思う。
気になったので檻の中が見える位置まで移動してみた。距離があるからはっきりとは見えないけど深紫色の毛並みをした小型の魔獣がチラリと見えた。
「……ダークファングコヨーテ?」
家にある魔獣資料で見たことがある。
東の方にある山の中に生息する魔獣って言われているやつだ。ここからは結構離れた場所だけど、わざわざ山まで行ったんだろうか。狼系の魔獣はこの辺にはいないけど、結構凶暴だから油断するなって言われたことがあったな。泉の向こう側の魔獣ほどじゃないかもしれないけど、危険度は高いんじゃないかな。
僕が呟いた直後、兄上が荷馬車の方に駆け寄って行った。
「何でこの辺にいない魔獣まで捕まえてきているんですか!」
「何?どうした?」
「男爵家の子だろう?」
兄上が怒鳴ると周囲の騎士さん達がざわついた。ザッザッと大股でゴーシュさんが近づいていく。
僕もゴーシュさんの後ろから駆け寄った。僕が軽く走るよりゴーシュさんの大股歩きの方が速いみたいだ。
「何をやっている?」
「男爵子息が……」
檻を囲んで人が集まってきている。視界の端に後続の荷馬車が見えた。御者をやっているのは騎士見習いのキャスパーさんだ。前の荷馬車の近くに人が集まっているからか、少し後ろで馬車を止めて、チラチラと様子を伺っていた。
「兄上!」
騎士さん達の隙間を抜けて兄上に近寄った。兄上の目の前の檻の中には、黒っぽい大きい牙をした深紫色の魔獣が興奮した状態で唸り声を上げていた。
「狼系の魔獣はこの辺には出没しません。足が速く凶暴な魔獣をわざわざ遠くまで捕まえにいくなんてゲンティアナの領民を危険に晒す行為です!」
兄上の言葉を腕組みして聞いていたゴーシュさんは頷いた後に、騎士の一人に話しかけた。
道の先に、騎士らしき人達がこちらに向かって馬を走らせているのが見えた。
先頭に見えるのは見知った人物だ。
レオノールさんとゴーシュさんだ。他にも騎士四人が急いでいる様子でやってきた。
レオノールさんとゴーシュさんは到着するとすぐに僕と兄上に頭を下げて謝ってくれた。
「迷惑をかけるばかりでなく、ゲンティアナの領地を危険に晒してしまった。誠に申し訳ない」
「……これ、誰かが企んだことですよね。ちゃんと調査してください!」
「わかった……。まずはここの状況を確認するよ」
ゴーシュさんはそういうと、見張りの騎士さん達から話を聞いた後、
檻の鍵を調べ始めた。
空の檻と、魔獣が入っている檻に魔法を撃つ検証を始めた。
暫くして、ガヤガヤとちょっと騒がしい話し声と共に荷馬車が近づいてきた。
荷馬車の御者は冒険者っぽい格好だけど、騎士服の人もいる。
その後ろにも荷馬車が続いている。
「第一小隊グレンです。捕獲した魔獣を運んで参りました!」
「……ご苦労。檻を荷台から降ろせ」
ゴーシュさんが指示を出すと、ゴーシュさんと一緒にやってきた騎士さん達が荷馬車の近くに寄った。
荷馬車の檻が降ろされると騎士さん達が取り囲んだ。
「……狼?」
荷馬車の方に寄って行った騎士さんの一人が呟いた。
「ウゥゥゥゥ……」
小さく唸り声が聞こえてきた。狼系の魔獣はこの辺にはいなかったと思う。
気になったので檻の中が見える位置まで移動してみた。距離があるからはっきりとは見えないけど深紫色の毛並みをした小型の魔獣がチラリと見えた。
「……ダークファングコヨーテ?」
家にある魔獣資料で見たことがある。
東の方にある山の中に生息する魔獣って言われているやつだ。ここからは結構離れた場所だけど、わざわざ山まで行ったんだろうか。狼系の魔獣はこの辺にはいないけど、結構凶暴だから油断するなって言われたことがあったな。泉の向こう側の魔獣ほどじゃないかもしれないけど、危険度は高いんじゃないかな。
僕が呟いた直後、兄上が荷馬車の方に駆け寄って行った。
「何でこの辺にいない魔獣まで捕まえてきているんですか!」
「何?どうした?」
「男爵家の子だろう?」
兄上が怒鳴ると周囲の騎士さん達がざわついた。ザッザッと大股でゴーシュさんが近づいていく。
僕もゴーシュさんの後ろから駆け寄った。僕が軽く走るよりゴーシュさんの大股歩きの方が速いみたいだ。
「何をやっている?」
「男爵子息が……」
檻を囲んで人が集まってきている。視界の端に後続の荷馬車が見えた。御者をやっているのは騎士見習いのキャスパーさんだ。前の荷馬車の近くに人が集まっているからか、少し後ろで馬車を止めて、チラチラと様子を伺っていた。
「兄上!」
騎士さん達の隙間を抜けて兄上に近寄った。兄上の目の前の檻の中には、黒っぽい大きい牙をした深紫色の魔獣が興奮した状態で唸り声を上げていた。
「狼系の魔獣はこの辺には出没しません。足が速く凶暴な魔獣をわざわざ遠くまで捕まえにいくなんてゲンティアナの領民を危険に晒す行為です!」
兄上の言葉を腕組みして聞いていたゴーシュさんは頷いた後に、騎士の一人に話しかけた。
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