転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

文字の大きさ
210 / 334
第1章

第210話 お茶の提案

しおりを挟む
「そうだ。戻ったら殿下達をお茶にでも誘おうか」
「え?急に?」

ダークファングコヨーテの事を考えていたら、兄上から急にお茶会を提案された。
驚いて兄上の方を見ると兄上は、前を向いて馬を進めながら少し難しそうな顔をした。

「あんな事件があったんだ。父上がもう出てけって言うかもしれない。
 そうなったら明日の朝イチで出発とかもあり得るだろう?挨拶する間もないかもしれないからな」
「父上は『出てけ』って言えちゃうの?」

王族と高位貴族には文句言えないのかと思っていた。
兄上は騎士さん達へは文句言ってたけどね……。

「流石に、敷地内に魔獣をばら撒くところだったからな。言えるんじゃないかな。
文句言えなかったとしても、敷地内に篭っていても狙われるんだったら
安全とは言えないから移動した方が良いとか進言はするんじゃないかと思う」

兄上が父上に報告した時、父上はかなり怒っていたように見えたそうだ。

兄上は「ふぅ」と深く息を吐いた。

「まあ、どっちみちもう外での訓練は出来てないし、近日中には帰るって話だっただろう?出発ってなったら慌ただしくなるだろうからね」
「……僕、お茶会のお作法とか良くわからないよ?」

段々になったところにお菓子が飾られていて、ドレスを着た令嬢が
扇子を口元に当てて、「オーホッホッホ」とか言うんじゃないか?
前にメイリに「令嬢のお茶会」をテーマにした絵をリクエストされたけど、その時の絵みたいな感じじゃないかと思う。

「イベント的なやつじゃないよ。単に紅茶とか飲んでちょっと話をするだけ。
……ジャックにお菓子を用意してもらってさ」
「ジャックのお菓子!良いね!……でも、もう夕食の仕度中じゃない?」
「ジャックに確認しよう。まあ、お菓子メインじゃないし。
殿下達もお誘いしてみないとわからないんだけどね」

もう空が赤く染まって来ている。これからお誘いしてお茶をするとしても夕食後かな。
ちょっと時間があるから何か作ろうかな……。

さっきちょっと思いついたものがあるんだよね。
あの蛇魔獣が放っていた風魔法。螺旋を描くみたいに風を吹き出してた。
風刃みたいに鋭く切り裂くような威力があるものじゃなくて、
強い風を吹き付けて吹き飛ばすって感じだった。
殿下のちょっとした護身用にどうかなって思ったんだ。

風刃だと、相手を切り裂いちゃうから取り扱いを間違うと、関係ない人を怪我させて
しまうかもしれない。風で吹き飛ばすだけだったら、そこまで殺傷能力が高くない。
例えば檻に向かって魔法を撃ちつけている時に、急に檻の鍵が開いて
ダークファングコヨーテが襲いかかって来たとしたら
護衛が間に合わないかもしれないタイミングだけ、風を起こすとかどうだろう。
あの螺旋の風魔法、名前あるのかな。「螺旋の風」で良いかな。

「……クリス?何か考えてる?」

兄上が僕の顔を覗き込むようにして声をかけてきた。

「うん。『螺旋の風』はどうかなって思って」
「は?」

急に魔法名を言っても通じるわけはなかったので、殿下の護身用の魔法陣魔石を作ろうかと思っていると言う話をした。
兄上はちょっと眉を顰めた。

「……クリスが作ったって言うなよ?あと、やりすぎるなよ?
 出来上がったらまず俺と母上に見せるんだぞ」
「ええ……、わかったよぉ」

もう王都に帰っちゃうなら、何か贈り物をと思ったのにダメ出しをされてしまった。
手軽で、誰が作ったか分からないけど、どこにでもありそう。でも便利、って感じの
ものが良いんじゃないかと思っているんだけどなぁ。
ハロルド君やシェリル嬢、リネリア嬢にも作る予定だ。
お揃いのアクセサリーみたいなのどうかな。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...