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第1章
第237話 集まってきたけど
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「もう一回チャレンジしてみたいけど……。魔石に魔力は残っているかしら……」
「あと一回撃てないことはないと思いますけど、威力は弱くなっちゃうかもしれません」
シェリル嬢はブローチの向きを上下させたりしながら惜しそうにしていた。四種の魔石は大体二回くらい魔法を発動できるような魔法陣を刻んでいる。
でも、きっちり計算しているわけじゃないし、魔石の魔力残量によっても結果は違うと思う。
「そう。うーん……。まずは、他の魔法も試してみるわ。火魔法は、的を狙って良いのよね?」
「はい。的までは届かないと思いますけど、的を狙っていただければ良いです!」
シェリル嬢は一度チラリと、辺境伯様の方に目を向けてから、ブローチに目を落として回転させ、赤の魔石を選んでいた。
ふと思ったけど、みんなブローチを手に持っているんだよね。胸につけた状態だと扱いにくかったかな。
使う時にビヨンって伸びるような素材の紐とかつけておいた方が良かったかな。それかペンダントの方が扱いやすかったかも。
まあ、もう差し上げちゃったから、しょうがないかなぁ。今度からビヨーンって伸びるやつにしよう。
「行くわよ!」
シェリル嬢の気合いの入った声と同時に、ブローチからボッっと火の玉が飛び出た。
勢いよく的に向かって飛び、的との中間地点くらいで失速して落ちていった。
フッ
あ!また「フッ」って聞こえたよ!魔道具の魔法が変って思っているのかな。
それか、鼻の調子が悪いのか。
もしかして「フッ」って息を吐いたら前髪が揺れるかチャレンジしているのかな。
ちらっと振り返って周囲を見回したけど下唇を突き出している人はいないから、前髪揺れるチャレンジをしているわけじゃなさそうだ。
前髪揺れるチャレンジやってたら、絶対下唇が出るよね?
「わぁ!側で見てた時より、真っ直ぐ綺麗に飛ぶのがわかったわ!結構勢いがあるのにどうして途中で失速しちゃうのかしら」
「そういう魔法だからだと思います」
標的の距離を魔法陣に設定しているからだ。的まで届かせるように魔法陣を描くことも可能だけど、消費魔力が大きくなるのと魔獣とかが襲ってきた時に威嚇の目的で発動することを想定しているからね。
フッ
あれ?今、「フッ」が聞こえたよ?このタイミング?
ザッ
もう一度、周囲を見回したら、
辺境伯様がシェリル嬢の方に向かって歩き出したのが見えた。後ろに二人騎士を従えて、ズンズンとシェリル嬢に近づいていく。
辺境伯様の後ろを歩いている騎士の一人は、ちょっと足を引きずっている。痛めているのかな。
「シェリル、終わったかね?」
「お父様……」
シェリル嬢は辺境伯様の方を振り返り、不機嫌そうに目を細めた。
射場まで来ると、辺境伯様は足を止めて、少しだけ頭を動かしてジロリと僕の方を見た。
「ご苦労であった」
「あ、はい……」
ジロッてこちらに目を向けるだけで、圧を感じる。魔力付きの圧だ。
魔獣が圧を向けてくる時って、魔力付きの時と、魔力付きじゃない時があるんだけど、魔力付きの時って、相手を威嚇しているみたいな時だ。辺境伯様も僕を威嚇しているんだろうか。
考えていたらふわっと僕の後ろから良い匂いがした。誰だか分かっている。母様だ。
「クリス、お疲れ様」
母様が僕の両肩に手を置いて、耳元で囁くように言った。
「母様……」
治癒魔石の件はどうなったの?って聞こうかと思ったけど、ネイサン殿下、ハロルド君、護衛騎士も集まってきた。
なんだか仰々しい?いや、元々仰々しい雰囲気だったけど、何か始まるのかなって感じだ。
「あと一回撃てないことはないと思いますけど、威力は弱くなっちゃうかもしれません」
シェリル嬢はブローチの向きを上下させたりしながら惜しそうにしていた。四種の魔石は大体二回くらい魔法を発動できるような魔法陣を刻んでいる。
でも、きっちり計算しているわけじゃないし、魔石の魔力残量によっても結果は違うと思う。
「そう。うーん……。まずは、他の魔法も試してみるわ。火魔法は、的を狙って良いのよね?」
「はい。的までは届かないと思いますけど、的を狙っていただければ良いです!」
シェリル嬢は一度チラリと、辺境伯様の方に目を向けてから、ブローチに目を落として回転させ、赤の魔石を選んでいた。
ふと思ったけど、みんなブローチを手に持っているんだよね。胸につけた状態だと扱いにくかったかな。
使う時にビヨンって伸びるような素材の紐とかつけておいた方が良かったかな。それかペンダントの方が扱いやすかったかも。
まあ、もう差し上げちゃったから、しょうがないかなぁ。今度からビヨーンって伸びるやつにしよう。
「行くわよ!」
シェリル嬢の気合いの入った声と同時に、ブローチからボッっと火の玉が飛び出た。
勢いよく的に向かって飛び、的との中間地点くらいで失速して落ちていった。
フッ
あ!また「フッ」って聞こえたよ!魔道具の魔法が変って思っているのかな。
それか、鼻の調子が悪いのか。
もしかして「フッ」って息を吐いたら前髪が揺れるかチャレンジしているのかな。
ちらっと振り返って周囲を見回したけど下唇を突き出している人はいないから、前髪揺れるチャレンジをしているわけじゃなさそうだ。
前髪揺れるチャレンジやってたら、絶対下唇が出るよね?
「わぁ!側で見てた時より、真っ直ぐ綺麗に飛ぶのがわかったわ!結構勢いがあるのにどうして途中で失速しちゃうのかしら」
「そういう魔法だからだと思います」
標的の距離を魔法陣に設定しているからだ。的まで届かせるように魔法陣を描くことも可能だけど、消費魔力が大きくなるのと魔獣とかが襲ってきた時に威嚇の目的で発動することを想定しているからね。
フッ
あれ?今、「フッ」が聞こえたよ?このタイミング?
ザッ
もう一度、周囲を見回したら、
辺境伯様がシェリル嬢の方に向かって歩き出したのが見えた。後ろに二人騎士を従えて、ズンズンとシェリル嬢に近づいていく。
辺境伯様の後ろを歩いている騎士の一人は、ちょっと足を引きずっている。痛めているのかな。
「シェリル、終わったかね?」
「お父様……」
シェリル嬢は辺境伯様の方を振り返り、不機嫌そうに目を細めた。
射場まで来ると、辺境伯様は足を止めて、少しだけ頭を動かしてジロリと僕の方を見た。
「ご苦労であった」
「あ、はい……」
ジロッてこちらに目を向けるだけで、圧を感じる。魔力付きの圧だ。
魔獣が圧を向けてくる時って、魔力付きの時と、魔力付きじゃない時があるんだけど、魔力付きの時って、相手を威嚇しているみたいな時だ。辺境伯様も僕を威嚇しているんだろうか。
考えていたらふわっと僕の後ろから良い匂いがした。誰だか分かっている。母様だ。
「クリス、お疲れ様」
母様が僕の両肩に手を置いて、耳元で囁くように言った。
「母様……」
治癒魔石の件はどうなったの?って聞こうかと思ったけど、ネイサン殿下、ハロルド君、護衛騎士も集まってきた。
なんだか仰々しい?いや、元々仰々しい雰囲気だったけど、何か始まるのかなって感じだ。
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