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第2章
第248話 「手紙」の魔道具
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他にも作ってみたい魔道具があるので、その実験をする。
商業ギルドを通すと離れていても早く連絡が取れると聞いた。
イメージしたのは手紙の魔道具みたいなやつだ。実物の手紙を早く送るとなると、かなり難しそうだ。
商業ギルドではそういった技術があるのかもしれないけど、僕には無理そう。
今、できそうかなって思うことは、実物の手紙じゃなくて文字だけ送るってことだ。
これは「お話」の魔道具で使っている魔法陣を応用すればいけるんじゃ無いかと思う。
「音」を運んでいるところを「文字」を運ぶ。正確には文字を運びやすい形の情報にして、受け取った側で復元するんだ。
文字を表示するのって結構難しい。
決まった文字を表示するように準備して光らせるのはできなくは無いけど、決まった文字だと手紙にならない。
いや、決まった文字を組み合わせることができれば良いのかな?文字を並べるように制御すれば良いのかもしれない。
あれこれ試しているうちに出来上がったものは、結構大きめの魔道具になってしまった。
小さい魔石を均等に切って、一つの魔石で一文字を表示するようにしている。表示の仕方は火魔法で熱を発しないで火の光だけを文字の形に光らせるようにするものだ。
その魔石をぎっちりと枠の中に並べたんだ。文字を送る方は文字を刻んだ魔石を並べておいてその文字のところに魔力を通して行って最後に「送る」と書いた魔石のところに魔力を通す。
連続した文字をまとめて送ることができるようにしたんだ。送り先を選ぶ仕組みは「お話」の魔道具の作りと中身は似ているんだけど数字を書いた魔石を選ぶようにした。これだったら、送り先が増えても大丈夫。
この魔道具を作っていて、火の魔石の発する魔法の中で熱をマイナスに設定して光だけを発する魔法陣を作ることができた。
これは熱くならないランプとして使えそうだ。熱くならないなら火事の心配なく使えそうで便利だ。
魔道具作りに夢中になっていて、夕食の時間に遅れてしまった。時間になっても食堂に行かなかったので兄上が「お話」の魔道具で呼びかけてくれた。昼食の時はなんとか間に合ったんだけどね。
「兄様、またお部屋にこもって……、え?それって……?」
火の魔石の熱くない灯りを灯した状態で、手に抱えて食堂に持って行ったら、何か言いかけていたメイリがびっくりした声を揚げた。
「光の魔石?」
「ううん?火の魔石の熱くないバージョン」
「どういう事?」
「火魔法で、普通より熱い火を出すって魔法があるんだよ。だから逆に熱くない火にする魔法陣を描いてみたんだ。
燃え移らないように魔石が光るだけにしてあるんだよ。便利そうじゃない?」
「火魔石でしょう?直にテーブルに置いて大丈夫?……」
光っている火の魔石の一つをテーブルに置こうとしたら、メイリがギョッとしたので、お皿の上に置くことにした。
蝋燭の灯りと合わさって、食堂が明るくなった。
「本当だ。熱くない」
兄上が灯りの火魔石に指先を近づけて、ちょんと触れて言った。
「これ、灯りの魔道具にできそうだな」
「でしょ」
便利さがわかってもらえて嬉しい!
母様にも見せたかったけど、食堂に姿がなかった。
「母様は?」
「少し遅れるって。……書類とか書くのに忙しいらしい」
お客様が帰ったのにまだ忙しいのかなと思っていたのが顔に出ていたのか兄上が追加で説明をしてくれた。
お客様の滞在中の経費だとか色々書く必要があるらしい。
「父上が戻ったらすぐに署名をもらって、商業ギルドに持って行けるようにしておくんだってさ」
「商業ギルド!」
商業ギルドと聞いて、僕は先ほど作った「手紙」の魔道具を「収納」から取り出した。
商業ギルドを通すと離れていても早く連絡が取れると聞いた。
イメージしたのは手紙の魔道具みたいなやつだ。実物の手紙を早く送るとなると、かなり難しそうだ。
商業ギルドではそういった技術があるのかもしれないけど、僕には無理そう。
今、できそうかなって思うことは、実物の手紙じゃなくて文字だけ送るってことだ。
これは「お話」の魔道具で使っている魔法陣を応用すればいけるんじゃ無いかと思う。
「音」を運んでいるところを「文字」を運ぶ。正確には文字を運びやすい形の情報にして、受け取った側で復元するんだ。
文字を表示するのって結構難しい。
決まった文字を表示するように準備して光らせるのはできなくは無いけど、決まった文字だと手紙にならない。
いや、決まった文字を組み合わせることができれば良いのかな?文字を並べるように制御すれば良いのかもしれない。
あれこれ試しているうちに出来上がったものは、結構大きめの魔道具になってしまった。
小さい魔石を均等に切って、一つの魔石で一文字を表示するようにしている。表示の仕方は火魔法で熱を発しないで火の光だけを文字の形に光らせるようにするものだ。
その魔石をぎっちりと枠の中に並べたんだ。文字を送る方は文字を刻んだ魔石を並べておいてその文字のところに魔力を通して行って最後に「送る」と書いた魔石のところに魔力を通す。
連続した文字をまとめて送ることができるようにしたんだ。送り先を選ぶ仕組みは「お話」の魔道具の作りと中身は似ているんだけど数字を書いた魔石を選ぶようにした。これだったら、送り先が増えても大丈夫。
この魔道具を作っていて、火の魔石の発する魔法の中で熱をマイナスに設定して光だけを発する魔法陣を作ることができた。
これは熱くならないランプとして使えそうだ。熱くならないなら火事の心配なく使えそうで便利だ。
魔道具作りに夢中になっていて、夕食の時間に遅れてしまった。時間になっても食堂に行かなかったので兄上が「お話」の魔道具で呼びかけてくれた。昼食の時はなんとか間に合ったんだけどね。
「兄様、またお部屋にこもって……、え?それって……?」
火の魔石の熱くない灯りを灯した状態で、手に抱えて食堂に持って行ったら、何か言いかけていたメイリがびっくりした声を揚げた。
「光の魔石?」
「ううん?火の魔石の熱くないバージョン」
「どういう事?」
「火魔法で、普通より熱い火を出すって魔法があるんだよ。だから逆に熱くない火にする魔法陣を描いてみたんだ。
燃え移らないように魔石が光るだけにしてあるんだよ。便利そうじゃない?」
「火魔石でしょう?直にテーブルに置いて大丈夫?……」
光っている火の魔石の一つをテーブルに置こうとしたら、メイリがギョッとしたので、お皿の上に置くことにした。
蝋燭の灯りと合わさって、食堂が明るくなった。
「本当だ。熱くない」
兄上が灯りの火魔石に指先を近づけて、ちょんと触れて言った。
「これ、灯りの魔道具にできそうだな」
「でしょ」
便利さがわかってもらえて嬉しい!
母様にも見せたかったけど、食堂に姿がなかった。
「母様は?」
「少し遅れるって。……書類とか書くのに忙しいらしい」
お客様が帰ったのにまだ忙しいのかなと思っていたのが顔に出ていたのか兄上が追加で説明をしてくれた。
お客様の滞在中の経費だとか色々書く必要があるらしい。
「父上が戻ったらすぐに署名をもらって、商業ギルドに持って行けるようにしておくんだってさ」
「商業ギルド!」
商業ギルドと聞いて、僕は先ほど作った「手紙」の魔道具を「収納」から取り出した。
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