転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第2章

第247話 現在地は秘密

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「えー?解体、出来るようにならないとダメ?」

メイリがコテン、と首を傾げた。仕草が可愛い!
兄上が渋い顔をして頷いた。

「スキル取得までは行かなくても良いと思うけど、最低限、解体の仕方がわかるくらいまでは出来ておいたほうが良いよ。ここは、都会じゃないんだから。魔獣がウヨウヨいるんだよ」

兄上の言葉にメイリはまだ納得が行っていなかったのか、母様の顔を伺うように見つめた。

母様がニコリと微笑んだ。

「そうね。一通り最低限のことはできた方が良いわ」
「でも、『お客様達』は解体まではやらなかったのでしょう?王都の学園の入学試験だって狩りの経験は訊かれるって言うけれど」
「入学試験ではね。入学後は分からないわよ」

「そうなの!?」

メイリがビックリした様子で目を見開いた。

「王都の学園って、女子生徒に解体をさせるの?女子生徒じゃなくても、貴族の子息子女でしょう?本当に?」

母様は落ち着いた様子でグラスを傾けた。

「魔獣狩りの授業もあると聞くし、必ず解体をするとは言えないけど、無いとも言えないわね。魔獣狩りの経験の為に、わざわざ王族や高位貴族がここまで来たのよ。学園でも魔獣狩りを重要視していると思うわ。いざとなった時に、魔道具の魔石が魔力切れだったりしたら困るでしょう?」
「そうだけど……」

メイリは口を尖らせて不満気にボソボソと呟いた。

メイリは解体は嫌そうだな。つい代わりにやってあげたくなっちゃうけど、学園に入学した時に困るんだったら代わりにやったらまずいよね。
とりあえず小さい魔獣とかを、解体しない状態で持って帰ってあげようかな。

メイリに持ち帰る魔獣の候補として背びれイタチとか二角モグラとかを考えていたら、ブブブと兄上の腕輪が振動した。

「もしもし!父上!お疲れ様です!」

兄上がバッと立ち上がって、背筋を伸ばして「お話」の魔道具に話しかけ、壁に向かってペコっとと頭を下げた。

「はい……はい!わかりました!お気をつけて!」
会話を終えた兄上は、ささっと「収納」から出した板にメモを書いた。

「父上は今どこだった?」
「殿下達に同行している間は、居場所は機密だから、今は魔道具が繋がったって確認だけ。繋がらなくなった場所と直前の場所を後で父上に聞けば良いだろ?」
「そっかぁ」

殿下は命を狙われたりしているから、居場所を知っていたりするのは良くないってことのようだ。
僕としては魔道具がどのくらい離れた距離で使えるかの確認ができれば良いんだ。
今の所、少なくとも町からかなり離れた位置でも会話ができるってことがわかって嬉しい。

朝食後、鍛錬をしたり魔道具の研究をしたりして屋敷で過ごした。
父上と魔道具の繋がりの実験中だったから、結果が気になるし父上と連絡をとっている兄上が屋敷から離れると距離が分かりにくくなってしまうからだ。

短剣につけていた魔石の魔法陣の書き換えを行う。「魔石取り」の魔法陣を刻んでいたけど「皮剥ぎ」と「部位切り出し」の魔法陣も刻んで一度に解体が出来るようにするんだ。
ただ、これだけだとお魚系魔獣の解体はまだできそうも無いから、後で魔魚を沢山釣ってきたいんだよね。
短剣につけていた魔石は結構大きかったから、複数の魔法陣を余裕で刻むことができた。
後で狩りに行った時に試すのが楽しみだ。
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