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第2章
第255話 紹介し忘れていた魔道具
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両掌の上に「メッセージ」の魔道具を乗せて、じーっと見つめたまま動かないメイリに説明をする。
「メイリ、右上の魔石に魔力を通してみて」
「え?……わあっ!」
「メッセージ」の魔道具に魔石に魔力を通して見たらしい。メイリがパッと目を輝かせた。
「ふふ。『メイリ可愛い』『メイリ大好き』って書いてある!うふふ」
「メッセージ」の魔道具に表示された文字を読んで、ちょっと照れたように笑うメイリ。可愛いなぁ!僕も笑顔になっちゃう。
「まあ……。私のにもメッセージをくれたのね。ありがとう」
母様も早速「メッセージ」の魔道具に魔力を通したらしく、ニコリと微笑んでくれた。
でも、すぐに真剣な顔になる。
「クリス……、一晩でこれを作ったの?」
「うん。メイリが持ち運びやすい方が良いって言ってたから」
「確かに、これの方が持ち運びやすいわね……。……どうしようかしら……」
母様は、少し小声でブツブツ言った後で、顔を上げて、じっと僕を見つめた。
「これも他の人に見られたらダメよ!何度も言っているけれど」
「うん!わかってるよ!……あ!」
「え?」
作った魔道具は必ず母様と兄上に見せているよなぁと思って頷いていたけど完成品を見せるのを忘れていた魔道具があったのを思い出した。
「手紙」の魔道具とか「灯り」の魔道具とか色々作ってたから、出し損なってた。
「もう一個見せるものがあったんだった」
「「「え!?」」」
母様と兄上とメイリが同時に驚いたような声を上げた。そんな驚かすようなものじゃないんだよな。なんだか申し訳ない気分。
「……大したやつじゃないよ。『解体』の魔道具もちょっと統合してみたんだ。見せておくね!」
「収納」から「解体」の短剣を取り出してテーブルの上に置いた。
母様達の視線が短剣に集まる。一瞬緊迫したような気配が漂ったけど、フゥッと空気が緩んだ。
「まだ、お魚の解体は出来ないんだけど、角兎だったらザクっと刺したら部位切り出しまで出来るよ」
「……前に言っていた物ね。解体が一度にできるなら、凄く便利そうね」
「うん!」
「事前に内容を聞いていたから、そんなに驚いてはいないけれど……、これはこれで凄いものよ……」
母様は短剣の柄についている魔石の辺りをじっと見つめてから顔を上げた。
「……これも他の人には見せないで欲しいけれど……、もしも、緊急の時は、自分達の命を優先しなさい」
「緊急の時?」
「危険な状況で、その短剣を使った方が早く魔獣を倒せそうな時とかね」
「……危険な魔獣が居るところには行かないようにしているよ?」
「弱く見える魔獣だって、魔獣なのよ。大群で来る時だってあるかもしれないわ」
「怖!」
大群で押し寄せる背びれイタチをちょっと想像してしまった。確かに大群はヤバそうだなぁ。
「魔石取り」の解体スキルは、胸の魔石に近い部分を刺すと発動する。胸を刺しているからほぼ致命傷なんだろうけど、刺した時点ではまだ動けるような魔獣でも、魔石を取ったら生きていけない。普通の短剣を使うようりも早く倒せることがあるっていうことだ。
でも大群は流石に無理かなぁ。
兄上はいつの間にか朝食を食べ終えて、ジャックのところにお肉のストックを確認に行って戻ってきたようだ。素早い。
「角兎肉はまだ大量にあるってさ」
「それなら唐揚げは大丈夫そうだね!」
唐揚げ用の肉のストックがあるなら、魔魚釣りでも、泉のところの魔獣狩りでも大丈夫そうだ。
唐揚げ、楽しみだなぁ。
「メイリ、右上の魔石に魔力を通してみて」
「え?……わあっ!」
「メッセージ」の魔道具に魔石に魔力を通して見たらしい。メイリがパッと目を輝かせた。
「ふふ。『メイリ可愛い』『メイリ大好き』って書いてある!うふふ」
「メッセージ」の魔道具に表示された文字を読んで、ちょっと照れたように笑うメイリ。可愛いなぁ!僕も笑顔になっちゃう。
「まあ……。私のにもメッセージをくれたのね。ありがとう」
母様も早速「メッセージ」の魔道具に魔力を通したらしく、ニコリと微笑んでくれた。
でも、すぐに真剣な顔になる。
「クリス……、一晩でこれを作ったの?」
「うん。メイリが持ち運びやすい方が良いって言ってたから」
「確かに、これの方が持ち運びやすいわね……。……どうしようかしら……」
母様は、少し小声でブツブツ言った後で、顔を上げて、じっと僕を見つめた。
「これも他の人に見られたらダメよ!何度も言っているけれど」
「うん!わかってるよ!……あ!」
「え?」
作った魔道具は必ず母様と兄上に見せているよなぁと思って頷いていたけど完成品を見せるのを忘れていた魔道具があったのを思い出した。
「手紙」の魔道具とか「灯り」の魔道具とか色々作ってたから、出し損なってた。
「もう一個見せるものがあったんだった」
「「「え!?」」」
母様と兄上とメイリが同時に驚いたような声を上げた。そんな驚かすようなものじゃないんだよな。なんだか申し訳ない気分。
「……大したやつじゃないよ。『解体』の魔道具もちょっと統合してみたんだ。見せておくね!」
「収納」から「解体」の短剣を取り出してテーブルの上に置いた。
母様達の視線が短剣に集まる。一瞬緊迫したような気配が漂ったけど、フゥッと空気が緩んだ。
「まだ、お魚の解体は出来ないんだけど、角兎だったらザクっと刺したら部位切り出しまで出来るよ」
「……前に言っていた物ね。解体が一度にできるなら、凄く便利そうね」
「うん!」
「事前に内容を聞いていたから、そんなに驚いてはいないけれど……、これはこれで凄いものよ……」
母様は短剣の柄についている魔石の辺りをじっと見つめてから顔を上げた。
「……これも他の人には見せないで欲しいけれど……、もしも、緊急の時は、自分達の命を優先しなさい」
「緊急の時?」
「危険な状況で、その短剣を使った方が早く魔獣を倒せそうな時とかね」
「……危険な魔獣が居るところには行かないようにしているよ?」
「弱く見える魔獣だって、魔獣なのよ。大群で来る時だってあるかもしれないわ」
「怖!」
大群で押し寄せる背びれイタチをちょっと想像してしまった。確かに大群はヤバそうだなぁ。
「魔石取り」の解体スキルは、胸の魔石に近い部分を刺すと発動する。胸を刺しているからほぼ致命傷なんだろうけど、刺した時点ではまだ動けるような魔獣でも、魔石を取ったら生きていけない。普通の短剣を使うようりも早く倒せることがあるっていうことだ。
でも大群は流石に無理かなぁ。
兄上はいつの間にか朝食を食べ終えて、ジャックのところにお肉のストックを確認に行って戻ってきたようだ。素早い。
「角兎肉はまだ大量にあるってさ」
「それなら唐揚げは大丈夫そうだね!」
唐揚げ用の肉のストックがあるなら、魔魚釣りでも、泉のところの魔獣狩りでも大丈夫そうだ。
唐揚げ、楽しみだなぁ。
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