転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第2章

第260話 帰宅

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屋敷についたら、既に話が通っていたのか門の所に騎士が数人待機していて黒ローブの身柄を引き取ってくれた。
母様も出迎えに出てきてくれた。

「お帰りなさい。ローレン、クリス。怪我はない?」
「母様、ただいま!」
「ただいま戻りました。皆、無事です」
「そう。良かったわ」

母様が僕と兄上を順番にハグした。少し甘い香りがした。

「まさか本当に毒を川に流す現場に出くわすとは思わなかったよ」

離れの食堂で氷入りの果実炭酸光水を飲みながら兄上が話す。毒に近づいたから念の為に、シャワーを浴びて着替えて果実炭酸光水を飲んでいるんだ。

「びっくりだったね。あの魔獣は従魔だったのかな」
「そうかもなこの辺にいる魔獣じゃないし」
「どうやって連れてきたんだろう。大きいから目立つよね」
「北部経由で木々に紛れて来たのか……。まあ、鳥系魔獣は空を飛べるからな」

「魔鷹」と思っていたけど、魔石は黒いし闇属性の結構上位の個体だったみたいだ。
狼系魔獣も闇属性魔石を持っていたんだよね。
前に檻の鍵問題の時に連れてこられていたダークファングコヨーテも闇魔法系の狼魔獣だったけどダークファングコヨーテより一回り以上大きそうだ。
町に連れて歩いていたら目立つだろうな。

「もしかして……、影に入って来たとか!」

闇属性なら影の中に入ったりとか出来たりするんじゃないだろうか。使っているところ、見たかった!
そう考えたんだけど、兄上はちょっと渋い顔をした。

「流石にそれはないんじゃないか。普通に逃げようとしてたし。もしそんなことが出来てしまうとしたらヤバいだろう。『収納』より難易度が高そうだし。
そんなのがゲンティアナを狙ってたとしたら……」
「確かに、川を渡って逃げようとしてたから違うのかな」

従魔らしき魔獣が二体とも闇属性だったから、黒ローブも闇属性が得意な可能性はあるけど、結局、魔獣も黒ローブも魔法を使わなかったからわからないんだよね。
魔獣に至っては、もう闇魔石になっちゃったから確認のしようがないし。

「はあ……。一応、あの黒ローブが変な魔法を使う可能性もあるって伝えとくよ」

兄上は腕輪に手を触れた。

ボソボソと話している。相手は母様かな?母様の時は壁にお辞儀しないのか……。

「母様が取り調べをしているの?」
「いや、執務室にいるみたいだった。報告書とかを書いているんじゃないかな」

屋敷に帰って来た時に出迎えてくれた母様は、黒ローブの件について僕達からの報告を聞いた後、騎士達が黒ローブを連行して行った方向に向かって行ったんだ。
だから、尋問とかしているのかと思っちゃった。
鳥系魔獣と狼系魔獣を使って攻撃しようとして来たって言ったら、怒っているみたいだったからね。

パタパタと急足の足音が聞こえてきた。

「兄様達!何かあったんですの?」

メイリが食堂に駆け込んできた。
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