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第2章
第273話 跳ねたりクルクル回るやつ
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魔石が手に入ったので早速、続きを作ろうかと思ったけど、兄上に見せていなかった魔道具があったのを思い出した。
「あ、もう一個作った魔道具があったんだけど……」
「え?」
もう一つ作った魔道具のことを言いかけたら、兄上がギョッとした顔をした。
「あ、これは役に立つものとかじゃなくて、ちょっとした遊びみたいなやつだよ」
凄い魔道具を想像されたらちょっと気まずい。
「……いや、とにかく見せてみろ。……ここで、発動できるやつだよな?」
「うん。危険はないよ。じゃあ、行くよ!」
僕は立ち上がって、「分身」魔道具試作版を起動した。
ふわっと風が僕の周りに起きて、風が僕の全身を一瞬包むように吹く。
そして、掌くらいの大きさの僕を形取った白っぽい人形みたいなのがピョンと飛び出した。
跳ねながら壁に向かっていって、数回壁に激突してから消えた。
「……これは……?」
分身が跳ねながら壁に激突していくのを無言で見ていた兄上が、分身が消えてから口を開いた。
「白い蛇魔獣の魔法を真似てみたんだよ。でも、動きもそのまんまだから、何かの役に立つような魔道具じゃないでしょ」
「……そうだな……。凄い技術みたいだけど……」
「そうなんだよね。蛇魔獣の魔法、何気に凄いよね。その魔法をちょっと作り替えたのが『位置表示』と 『状態表示』の機能なんだよ」
「……ちょっと作り替えて、こんなになるか?」
「なるよ。だって、実際出来たし」
「そうだけど……」
「それでね。これをちょっと応用して……」
「は?まだあるのか?」
僕が、次の機能を見せようとしたら兄上の声がちょっと高くなった。
「ちょっとしたやつだし。今日作ったものはこれで最後だよ」
もう「分身」魔道具試作版で小さい分身体は見せちゃったから、珍しいようなものは何もない。使い方をちょっと変えただけだ。
僕は「位置表示」魔道具にメッセージを送った。内容は「こんにちは」とか簡単なものだ。
メッセージを受け取った「位置表示」魔道具が、あらかじめ登録しておいた僕の姿のイメージを空中に表示した。
そしてクルクルと回って数秒表示したら消える。特に秒数とか指定していなくても勝手に消えるんだ。
「ほら。誰がメッセージを送ったか分かりやすいでしょ」
「ほら、じゃないんだよ……」
兄上が頭を抱えた。
「これって、ホログラ……、はぁ~……」
ブツブツ言ってから、顔を上げて目を細めてジト目で僕を睨んだ。
「やりすぎなんだよ、もう……」
「ダメだった?」
「ダメっていうか……。ダメじゃないけど……。『手紙』の魔道具を穏便に広めるにはどうしたら良いかって
考えようとしているような時に、次から次へと……」
「でも、緊急な時に連絡する魔道具は必要だよね?」
「緊急……」
兄上の顔が急に真剣な顔になった。
「……クリスは、この先、緊急な連絡が必要な状況になるって考えている、のか?」
「だって、必要でしょ?黒ローブがいたりして」
「……ああ……」
大きく息を吐いてから兄上がポンと僕の頭に手を乗せた。
「……何か『危機』に備えないといけない状況が来るのかもな……」
「備えておけば安心、だよね?」
「ああ、……でも、クルクル回るやつは目立ちすぎるだけだから、不要だと思う」
「ダメかぁ……」
分身体がクルクル回るやつは目立ちすぎるって言われてしまった。まあ、確かに誰から連絡が来たか分かりやすくする為だけのものだからね。
相手の様子が動いて表示とか出来たらまた違うかな。まあ、今は、緊急連絡用の魔道具を本型にしたりとか使いやすさの工夫の検討の方を優先しようかな。
「あ、もう一個作った魔道具があったんだけど……」
「え?」
もう一つ作った魔道具のことを言いかけたら、兄上がギョッとした顔をした。
「あ、これは役に立つものとかじゃなくて、ちょっとした遊びみたいなやつだよ」
凄い魔道具を想像されたらちょっと気まずい。
「……いや、とにかく見せてみろ。……ここで、発動できるやつだよな?」
「うん。危険はないよ。じゃあ、行くよ!」
僕は立ち上がって、「分身」魔道具試作版を起動した。
ふわっと風が僕の周りに起きて、風が僕の全身を一瞬包むように吹く。
そして、掌くらいの大きさの僕を形取った白っぽい人形みたいなのがピョンと飛び出した。
跳ねながら壁に向かっていって、数回壁に激突してから消えた。
「……これは……?」
分身が跳ねながら壁に激突していくのを無言で見ていた兄上が、分身が消えてから口を開いた。
「白い蛇魔獣の魔法を真似てみたんだよ。でも、動きもそのまんまだから、何かの役に立つような魔道具じゃないでしょ」
「……そうだな……。凄い技術みたいだけど……」
「そうなんだよね。蛇魔獣の魔法、何気に凄いよね。その魔法をちょっと作り替えたのが『位置表示』と 『状態表示』の機能なんだよ」
「……ちょっと作り替えて、こんなになるか?」
「なるよ。だって、実際出来たし」
「そうだけど……」
「それでね。これをちょっと応用して……」
「は?まだあるのか?」
僕が、次の機能を見せようとしたら兄上の声がちょっと高くなった。
「ちょっとしたやつだし。今日作ったものはこれで最後だよ」
もう「分身」魔道具試作版で小さい分身体は見せちゃったから、珍しいようなものは何もない。使い方をちょっと変えただけだ。
僕は「位置表示」魔道具にメッセージを送った。内容は「こんにちは」とか簡単なものだ。
メッセージを受け取った「位置表示」魔道具が、あらかじめ登録しておいた僕の姿のイメージを空中に表示した。
そしてクルクルと回って数秒表示したら消える。特に秒数とか指定していなくても勝手に消えるんだ。
「ほら。誰がメッセージを送ったか分かりやすいでしょ」
「ほら、じゃないんだよ……」
兄上が頭を抱えた。
「これって、ホログラ……、はぁ~……」
ブツブツ言ってから、顔を上げて目を細めてジト目で僕を睨んだ。
「やりすぎなんだよ、もう……」
「ダメだった?」
「ダメっていうか……。ダメじゃないけど……。『手紙』の魔道具を穏便に広めるにはどうしたら良いかって
考えようとしているような時に、次から次へと……」
「でも、緊急な時に連絡する魔道具は必要だよね?」
「緊急……」
兄上の顔が急に真剣な顔になった。
「……クリスは、この先、緊急な連絡が必要な状況になるって考えている、のか?」
「だって、必要でしょ?黒ローブがいたりして」
「……ああ……」
大きく息を吐いてから兄上がポンと僕の頭に手を乗せた。
「……何か『危機』に備えないといけない状況が来るのかもな……」
「備えておけば安心、だよね?」
「ああ、……でも、クルクル回るやつは目立ちすぎるだけだから、不要だと思う」
「ダメかぁ……」
分身体がクルクル回るやつは目立ちすぎるって言われてしまった。まあ、確かに誰から連絡が来たか分かりやすくする為だけのものだからね。
相手の様子が動いて表示とか出来たらまた違うかな。まあ、今は、緊急連絡用の魔道具を本型にしたりとか使いやすさの工夫の検討の方を優先しようかな。
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