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第2章
第274話 魔法紙を使いたくて
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翌日から、泉に毒耐性の魔石のある魔獣を狩りに行く以外に、白い蛇魔獣を探すのが森での日課に加わった。
「緊急連絡」と「位置表示」の魔道具を父上と母様とメイリに見せたら、最初、何だかちょっと呆れたみたいな反応だったからちょっと不安になっちゃった。でも、すぐに褒めてくれたし喜んでくれたので良かった!
僕が一度に色々作ったからビックリしたらしい。
クルクル回るやつを見せたら、やっぱり目立つから、実際に使うのは難しいんじゃないかって言われた。
メイリは「可愛い」って言ってくれたけどね。メイリの方が可愛いよ!
ヒラヒラしたドレスを着たメイリがクルクル回る魔道具とかちょっと作りたいなぁ……。やっぱり可愛いよなぁ……。
毒耐性魔石と乳白色の魔石を集めて、薬師のおばあちゃんに光水を量産してもらったり、ルドおじさんに毒耐性水の水瓶を作ってもらったりした。
ルドおじさんには魔力に反応する紙もお願いしたんだけど、「改良版」ってやつを沢山分けて貰えた。料金は水瓶の依頼料と込み込みだって。
「改良版」の紙は魔力に反応した跡が長い時間消えないんだそうだ。
まだ売れそうな用途が決まっていなくて、販売はしていないけど「魔力紙」って商品名が付いていた。
「魔力紙」は改良前に比べて、手触りもスベスベしていて魔力の跡もくっきりと浮かび上がるみたいだ。早速試してみたくて、ちょっとした魔道具を作ってみた。
基本の魔法陣は「分身」の魔法とそんなに変わらないけど、分身に動きを指定したりとかはしない。魔法紙にイメージを写し取る目的だから、イメージを取得して魔法で表示するところを使う。
乳白色の魔石は追加で結構沢山手に入ったので、魔道具の実験に使える分は確保できたんだ。
「兄上、メイリは自分の部屋?」
「うん?そうだと思うけど……。……それは何だ?」
「ちょっとした魔道具だよ」
「……また何か作ったのか?」
メイリの可愛い顔を魔法紙に写しとってみたいと思って、作ったばかりの魔道具を手にしながら階下に行ったら兄上が来たので声をかけた。
僕が手にしていた「写し絵」の魔道具を見て、兄上が訝しげな顔をする。
板と板の間に魔法紙を挟んであって、板に魔法陣魔石を埋め込んだけの単純な魔道具だ。
大きさも、掌を目一杯広げた程度で片手で楽々持ち運びしやすくしてある。
「作ったって言うほどじゃないよ。ルドおじさんが『改良版』の魔法紙を作ってくれたから、『位置情報』の魔道具で使ってた機能の一部を使ってみただけなんだ。魔法紙を試したくてちょっと作ってみただけなんだ」
「『位置情報』の魔道具っていうだけで不安なんだが……」
「危険なものじゃないよ。もちろん攻撃魔法とか使ってないし。試してみようか?」
「……ああ……」
兄上が頷いたので、僕は階段の手すりの飾り部分に「写し絵」の魔道具を向けた。
魔石に魔力を通して、魔法が発動したのを確認してから、板を開いて魔法紙を取り出した。
魔法紙に階段の手摺りの飾りが線画のように写し取られている。
「どう?こんな感じ」
兄上に魔法紙を差し出すと、兄上は手摺の飾りが写し出された魔法紙をじっと見つめてボソリと呟いた。
「カメ……」
「え?」
「いや……。やっぱりこれ、『ちょっとした魔道具』ってもんじゃないだろ!」
「え?ルドおじさんの魔法紙を使っているから出来ているだけで、魔法陣自体は複雑じゃないし、作りも単純だよ?」
「……単純かどうか、魔法陣のことはよく分からないけど、便利そうだから作ったんだろ」
「メイリを写してみたかったんだよ。あ、兄上も写したいな。写して良い?」
「……良いけどさ……」
僕が「写し絵」の魔道具を兄上に向けると、兄上は二本指を立てたポーズを取った。
その後、「魔道具を貸してみろ」と言われて、僕にも「写し絵」の魔道具を向けられた。
「緊急連絡」と「位置表示」の魔道具を父上と母様とメイリに見せたら、最初、何だかちょっと呆れたみたいな反応だったからちょっと不安になっちゃった。でも、すぐに褒めてくれたし喜んでくれたので良かった!
僕が一度に色々作ったからビックリしたらしい。
クルクル回るやつを見せたら、やっぱり目立つから、実際に使うのは難しいんじゃないかって言われた。
メイリは「可愛い」って言ってくれたけどね。メイリの方が可愛いよ!
ヒラヒラしたドレスを着たメイリがクルクル回る魔道具とかちょっと作りたいなぁ……。やっぱり可愛いよなぁ……。
毒耐性魔石と乳白色の魔石を集めて、薬師のおばあちゃんに光水を量産してもらったり、ルドおじさんに毒耐性水の水瓶を作ってもらったりした。
ルドおじさんには魔力に反応する紙もお願いしたんだけど、「改良版」ってやつを沢山分けて貰えた。料金は水瓶の依頼料と込み込みだって。
「改良版」の紙は魔力に反応した跡が長い時間消えないんだそうだ。
まだ売れそうな用途が決まっていなくて、販売はしていないけど「魔力紙」って商品名が付いていた。
「魔力紙」は改良前に比べて、手触りもスベスベしていて魔力の跡もくっきりと浮かび上がるみたいだ。早速試してみたくて、ちょっとした魔道具を作ってみた。
基本の魔法陣は「分身」の魔法とそんなに変わらないけど、分身に動きを指定したりとかはしない。魔法紙にイメージを写し取る目的だから、イメージを取得して魔法で表示するところを使う。
乳白色の魔石は追加で結構沢山手に入ったので、魔道具の実験に使える分は確保できたんだ。
「兄上、メイリは自分の部屋?」
「うん?そうだと思うけど……。……それは何だ?」
「ちょっとした魔道具だよ」
「……また何か作ったのか?」
メイリの可愛い顔を魔法紙に写しとってみたいと思って、作ったばかりの魔道具を手にしながら階下に行ったら兄上が来たので声をかけた。
僕が手にしていた「写し絵」の魔道具を見て、兄上が訝しげな顔をする。
板と板の間に魔法紙を挟んであって、板に魔法陣魔石を埋め込んだけの単純な魔道具だ。
大きさも、掌を目一杯広げた程度で片手で楽々持ち運びしやすくしてある。
「作ったって言うほどじゃないよ。ルドおじさんが『改良版』の魔法紙を作ってくれたから、『位置情報』の魔道具で使ってた機能の一部を使ってみただけなんだ。魔法紙を試したくてちょっと作ってみただけなんだ」
「『位置情報』の魔道具っていうだけで不安なんだが……」
「危険なものじゃないよ。もちろん攻撃魔法とか使ってないし。試してみようか?」
「……ああ……」
兄上が頷いたので、僕は階段の手すりの飾り部分に「写し絵」の魔道具を向けた。
魔石に魔力を通して、魔法が発動したのを確認してから、板を開いて魔法紙を取り出した。
魔法紙に階段の手摺りの飾りが線画のように写し取られている。
「どう?こんな感じ」
兄上に魔法紙を差し出すと、兄上は手摺の飾りが写し出された魔法紙をじっと見つめてボソリと呟いた。
「カメ……」
「え?」
「いや……。やっぱりこれ、『ちょっとした魔道具』ってもんじゃないだろ!」
「え?ルドおじさんの魔法紙を使っているから出来ているだけで、魔法陣自体は複雑じゃないし、作りも単純だよ?」
「……単純かどうか、魔法陣のことはよく分からないけど、便利そうだから作ったんだろ」
「メイリを写してみたかったんだよ。あ、兄上も写したいな。写して良い?」
「……良いけどさ……」
僕が「写し絵」の魔道具を兄上に向けると、兄上は二本指を立てたポーズを取った。
その後、「魔道具を貸してみろ」と言われて、僕にも「写し絵」の魔道具を向けられた。
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