異世界に召喚されたオレだが、可哀そうだからゴブリンを殺せない

たけるん

文字の大きさ
3 / 90

新たな出会い

しおりを挟む
眠りから覚めた時、ナオキは自分の部屋のベッドの中では無かった。

 目を開けると、いつもの見慣れた天井と違った。ナオキの家の白い壁紙とは違い、天井にあるはずのライトも無い。代わりにとても高くて広くて少し汚れたグレーな天井がそこには有る。

 背中が冷たい。とても硬いモノの上で寝ている。床で寝ているのか?



――ここは――



 状況がわからずにいた。まだ夢の中だろうか。



「目が覚めたかい?」



 突然、横から男の声がしたのでそちらに目を向けた。



誰?



 知らない青年だった。

 好青年――そんな印象だ。年は多分上だろう、身長はナオキより高そうだ。細身で髪は黒髪セミロング。はっきりした優しい目をしている。服装は黒い無地のシャツに下はベージュのパンツ。ブラウンの革靴を履いている。随分シンプルな服装だ。

 笑みを浮かべている青年からは敵意は感じず、不思議と怖くは無い。

 青年は片膝をついた。

 

「初めまして。僕の名前は赤城八京。君に危害を与えるつもりはないからどうか落ち着いて話を聞いてほしい。大丈夫かな?」



 八京と名乗る青年はこちらを刺激しないようにゆっくり、はっきり、穏やかな口調で話しかけた。



「……はあ……」

 

 状況が理解できないせいで何とも間抜けな返事をしてしまった。



「身体、起こせるかい?」



 八京は右手を差し出してきた。その手をナオキは握った。八京は手に力を込め腕を引いて上半身を起こしてくれた。背中も支えてくれている。



「気分はどう? どこか痛いところはない?」



紳士だ



 言われてナオキは自分の身体を確認する。



「はい。大丈夫です。何ともありません」



 おそらく年上だからだろう。咄嗟に敬語になってしまう。



 気分は悪くないしどこも痛くはない。だが頭の中は今の状況を理解しようと目まぐるしく動いている。いつの間にか眠気も吹っ飛んでいる。



「なら良かった。まずは君の名前を教えてくれるかな?」



 相手の名前を聞いておいて、こっちは言っていないことに気付き慌ててしまう。



「な、ナオキ。叢雲ナオキです」

「ナオキ君か、よろしく。今こんな状況でいろいろと混乱してると思うから、僕から説明させてもらうよ。でもその前に場所を変えようか。ここは暗いし寒いから」

「はあ……」



 思考がついていかない。まだ夢の中にいるのか? 気持ちを落ち着かせようと一度深呼吸をする。

 ナオキは改めて周りを見渡した。

 かなり広い……学校の体育館ほどはありそうだ。壁はレンガに見える。壁のところどころにロウソクを乗せた皿があり、小さな炎が揺らめいて薄暗く明かりの役目を果たしていた。

 改めて気付いたが、紺色のマントのようなものを纏った四人の男たちがナオキと八京を囲んでいる。マントの男たちは一言もしゃべらないし動こうともしない。ただナオキの様子を伺っている。

 ナオキのいる床には大きな丸や三角や四角。見たこともない記号がいろいろ描かれていた。



これは……アニメやゲームなんかで見た魔法陣みたいだな……



 八京は立ち上がり、左の扉へと歩き出した。



「こっちだよ、ついてきて」



 ナオキも立ち上がり、八京に言われるままに後を歩き出した。





 八京が先に進むのを付いて行きながら周りを見回した。



なんか中世ヨーロッパの城の中にいるみたいだ見たいだな……



「中世ヨーロッパの城の中見たいでしょ?」

「――ッ!? ――」

 

 ナオキの心を見透かしたように八京は言った。



「僕もそう感じたからね。君が不安でいっぱいなのも良くわかるよ」

「僕も?」



この人も同じ体験をしてここにいるってことか?



「うん、でも細かい説明は部屋に行ってからにしよう。いろいろ聞きたいこともあるだろうしね」

「そ、そうですね……もう何が何だかわからないし聞きたいことだらけですよ」

「やっぱりそうだよね。でも君は割と落ち着いてるほうだよ」

「え?」



その言い方……オレとこの人以外にも何人か同じ体験をしてるのか?



 そんなことを考えながら歩いていると、ある扉の前で八京が止った。



「この部屋だよ。さあ入って」



 八京は扉を開けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

処理中です...