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森での遭遇者
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――基地から森へ入ってすぐをナオキ達は歩いていた。結局二人には半ば強引にナオキの言うことを聞いてもらい、兵士にバレないように隠れながら基地を出ることに成功した。
「ねぇ、ホントにスグそこなんでしょうね? こんなことバレたら私まで八京さんに怒られちゃうんだからね!」
渋々来ることを了承した明日香は相変わらず文句を言っている。
「もうすぐだよ。ホントに」
もうすぐ……そう、もうすぐだ……
「ほら、そこの茂みを先に進んだら見えてくるから」
ナオキが目の前の茂みを指差した。その時――
ガサガサ……
その茂みの先から何かが動き、草木が擦れる音がした。
来た!
「な、何!? まさか魔物!?」
驚き、反射的に背中の槍を手に取り身構えた明日香が言った。
そう。いくら近場だからと言って魔物に遭遇しないとも限らないからと、明日香の提案で各々武器を携帯していたのだった。
「ど、どどどど、動物ですかね……」
動揺したルカも明日香同様小刀を構えた。その手は小刻みに震えている。
「まっさかぁ、オレが通った時には何もいなかったぜ。風だろう」
二人ともゴメン……
心の中で謝罪しながらも何も知らない素振りでナオキも続いた。
ガサガサ……
更に草木が音を立て、茂みが分けられ、黒い人影が現れた。
「きゃっ!」
ルカが短い悲鳴を上げ、明日香は低く構えている。
ナオキはこの人影を知っている。だが、何も知らない素振りを続けた。
「な、なんだぁ。町の人ですか? 驚かさないでくださいよ」
芝居がかっているが、出来るだけ陽気に。明日香たちが逃げないよう注意をしながらナオキは言った。
「お前……俺が町人に見えるか?」
人影は低い声で喋った。ナオキと違い、この男は胴に入っている。そう、レイだ。レイはナオキと初めて会ったように装っている。
「え? 違うんですか? じゃあ旅人とか……」
「残念だがそれも違う。おいお前ら、金目のモン全部出しな!」
ナオキと会った時とは違い、凄みを出している。こういったことに慣れているのかと疑いたくなるほどに。
「ちょっとナオキ、物取りじゃない! どうするのよ!?」
「セ、セセセセンパイ。わ、私、こ、怖い……」
二人の顔が引きつっている。無理もない。動物やゴブリンならいざ知らず。こんな状況予想もしていなかっただろう。
「ど、どうするって……こ、こっちは3人、あっちは一人だしやるしかないだろ!」
「ほう? 少しは槍が扱えそうな嬢ちゃんとビビって震えている嬢ちゃんに何とも頭の悪そうな坊主の3人でこの俺に勝てるとでも? 俺も随分と舐められたもんだ」
レイは腰の剣を抜き凄んだ。ナオキの事をさり気なくけなしていなければ、その堂々とした振舞いに感心しただろう。
「セ、センパイは頭が悪そうじゃありません!」
珍しくルカが反論した。
「そうよ! 本当に頭が悪いんだから。コイツは!」
明日香……それはフォローじゃないぞ……
心の中でナオキは涙を流した。
「はっ! そいつは悪かった」
いや、レイお前もソコ乗るなよ!
「だがな、そんなことはどうだっていい。痛い目見ないうちにさっさと金目のモン出しな!」
「そんな……オレたちは金目のモノなんて持ってないぞ! そっちこそ、痛い目見る前に逃げたほうが身のためだ」
ナオキも剣を構えて言った。ここはあえて強気でいく。作戦通りだ。
「良く言った坊主。そこまで言ったんだ。覚悟はできてるんだな」
レイはゆっくりナオキの方へ近づいて行った。
「ナオキ、アンタどうしちゃったの!? 大丈夫なの!?」
明日香が心配をしている。今までのナオキでは想像もつかない行動に戸惑っているのだろう。
「今までいろんなことを経験してきたんだ。たかが物取りくらい訳ないさ」
「セ、センパイ……」
二人がオレを見てる……このシチュエーション。たまらない
八百長とはいえ、初めての状況にいつまでも浸っていたい。ナオキはそう感じた。だがそれは叶わないことはわかっていた。
「カッコいいぜ、坊主。まぁ俺に勝てたらだけどな――」
言い終わらないうちにレイがナオキに切りかかってきた。ナオキはレイの剣を受け流し、レイに切りかかった。
「はぁ!」
ナオキの一撃を躱し、レイはナオキの顔目掛けて突きを繰り出す。ナオキは顔を反らし、突きを避け、再び反撃をした。
「す、凄い……いつものナオキじゃないみたい……」
ナオキとレイのやり取りを見ていた明日香が呟いた。
「センパイ……」
よし、ここまでは計画通り……あとは……
「うぉぉぉぉー」
ナオキが上段に構え、レイに切りかかった。
ドフッ!
僅かなスキをついて、レイの剣の柄がナオキのミゾオチを強打した。
「うぅ……」
マ、マジで苦しい……
痛みと苦しみからナオキは前のめりで膝から崩れて倒れた。
「ナオキ!」
「センパイ!」
明日香とルカがほぼ同時にナオキに声をかけるがナオキは動くことが出来なかった。
レイのヤツ、もう少し手加減してもいいだろ……
冗談では無くナオキは身体を動かすことも声を出すこともできなかった。
「ウソ……ナオキ……弱っ……」
「セ、センパイ……」
明日香とルカは茫然とナオキを眺めた。
「心配するな。死んじゃいねぇ。だがこの坊主はもう役にはたたないだろうな」
レイはナオキの腹をけり、仰向けにし、胸の辺りに足を乗せた。
「次は嬢ちゃんたちだ。安心しろ、命まで取ろうって訳じゃねぇ」
「まったく。カッコよかったのは初めだけじゃない。ホントナオキが関わるとロクなことが無いわ……」
明日香……相変わらずキツイな……あとレイ、その足はいらないだろ……
意識が飛びそうになるのを必死に耐えながらナオキは心の中で呟いた。演技とはいえ、流石に申し訳ない気持ちになる。
「ねぇ、ホントにスグそこなんでしょうね? こんなことバレたら私まで八京さんに怒られちゃうんだからね!」
渋々来ることを了承した明日香は相変わらず文句を言っている。
「もうすぐだよ。ホントに」
もうすぐ……そう、もうすぐだ……
「ほら、そこの茂みを先に進んだら見えてくるから」
ナオキが目の前の茂みを指差した。その時――
ガサガサ……
その茂みの先から何かが動き、草木が擦れる音がした。
来た!
「な、何!? まさか魔物!?」
驚き、反射的に背中の槍を手に取り身構えた明日香が言った。
そう。いくら近場だからと言って魔物に遭遇しないとも限らないからと、明日香の提案で各々武器を携帯していたのだった。
「ど、どどどど、動物ですかね……」
動揺したルカも明日香同様小刀を構えた。その手は小刻みに震えている。
「まっさかぁ、オレが通った時には何もいなかったぜ。風だろう」
二人ともゴメン……
心の中で謝罪しながらも何も知らない素振りでナオキも続いた。
ガサガサ……
更に草木が音を立て、茂みが分けられ、黒い人影が現れた。
「きゃっ!」
ルカが短い悲鳴を上げ、明日香は低く構えている。
ナオキはこの人影を知っている。だが、何も知らない素振りを続けた。
「な、なんだぁ。町の人ですか? 驚かさないでくださいよ」
芝居がかっているが、出来るだけ陽気に。明日香たちが逃げないよう注意をしながらナオキは言った。
「お前……俺が町人に見えるか?」
人影は低い声で喋った。ナオキと違い、この男は胴に入っている。そう、レイだ。レイはナオキと初めて会ったように装っている。
「え? 違うんですか? じゃあ旅人とか……」
「残念だがそれも違う。おいお前ら、金目のモン全部出しな!」
ナオキと会った時とは違い、凄みを出している。こういったことに慣れているのかと疑いたくなるほどに。
「ちょっとナオキ、物取りじゃない! どうするのよ!?」
「セ、セセセセンパイ。わ、私、こ、怖い……」
二人の顔が引きつっている。無理もない。動物やゴブリンならいざ知らず。こんな状況予想もしていなかっただろう。
「ど、どうするって……こ、こっちは3人、あっちは一人だしやるしかないだろ!」
「ほう? 少しは槍が扱えそうな嬢ちゃんとビビって震えている嬢ちゃんに何とも頭の悪そうな坊主の3人でこの俺に勝てるとでも? 俺も随分と舐められたもんだ」
レイは腰の剣を抜き凄んだ。ナオキの事をさり気なくけなしていなければ、その堂々とした振舞いに感心しただろう。
「セ、センパイは頭が悪そうじゃありません!」
珍しくルカが反論した。
「そうよ! 本当に頭が悪いんだから。コイツは!」
明日香……それはフォローじゃないぞ……
心の中でナオキは涙を流した。
「はっ! そいつは悪かった」
いや、レイお前もソコ乗るなよ!
「だがな、そんなことはどうだっていい。痛い目見ないうちにさっさと金目のモン出しな!」
「そんな……オレたちは金目のモノなんて持ってないぞ! そっちこそ、痛い目見る前に逃げたほうが身のためだ」
ナオキも剣を構えて言った。ここはあえて強気でいく。作戦通りだ。
「良く言った坊主。そこまで言ったんだ。覚悟はできてるんだな」
レイはゆっくりナオキの方へ近づいて行った。
「ナオキ、アンタどうしちゃったの!? 大丈夫なの!?」
明日香が心配をしている。今までのナオキでは想像もつかない行動に戸惑っているのだろう。
「今までいろんなことを経験してきたんだ。たかが物取りくらい訳ないさ」
「セ、センパイ……」
二人がオレを見てる……このシチュエーション。たまらない
八百長とはいえ、初めての状況にいつまでも浸っていたい。ナオキはそう感じた。だがそれは叶わないことはわかっていた。
「カッコいいぜ、坊主。まぁ俺に勝てたらだけどな――」
言い終わらないうちにレイがナオキに切りかかってきた。ナオキはレイの剣を受け流し、レイに切りかかった。
「はぁ!」
ナオキの一撃を躱し、レイはナオキの顔目掛けて突きを繰り出す。ナオキは顔を反らし、突きを避け、再び反撃をした。
「す、凄い……いつものナオキじゃないみたい……」
ナオキとレイのやり取りを見ていた明日香が呟いた。
「センパイ……」
よし、ここまでは計画通り……あとは……
「うぉぉぉぉー」
ナオキが上段に構え、レイに切りかかった。
ドフッ!
僅かなスキをついて、レイの剣の柄がナオキのミゾオチを強打した。
「うぅ……」
マ、マジで苦しい……
痛みと苦しみからナオキは前のめりで膝から崩れて倒れた。
「ナオキ!」
「センパイ!」
明日香とルカがほぼ同時にナオキに声をかけるがナオキは動くことが出来なかった。
レイのヤツ、もう少し手加減してもいいだろ……
冗談では無くナオキは身体を動かすことも声を出すこともできなかった。
「ウソ……ナオキ……弱っ……」
「セ、センパイ……」
明日香とルカは茫然とナオキを眺めた。
「心配するな。死んじゃいねぇ。だがこの坊主はもう役にはたたないだろうな」
レイはナオキの腹をけり、仰向けにし、胸の辺りに足を乗せた。
「次は嬢ちゃんたちだ。安心しろ、命まで取ろうって訳じゃねぇ」
「まったく。カッコよかったのは初めだけじゃない。ホントナオキが関わるとロクなことが無いわ……」
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