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ドラゴン
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ナオキの目の前に先ほどまでいなかった存在がソコにはいた。
いるべきでない存在。恐怖と強さの象徴のその姿。見たことは無くても誰もが知っているその生物。この地上で最強と言われるべき神秘的な種族。
――ドラゴン――
20メートル以上あるだろうその身体は、蜥蜴をとにかく巨大にしたようだ。身体は全身燃えるように赤く、前足の肩辺りには蝙蝠のような巨大な翼がある。後頭部には大きな角が二本と小さな角が数本生えている。
これが……ドラゴン……
まさか秘龍石から本物のドラゴンが出るとは想像もしていなかった。
そしてナオキ自身は酷く疲弊し、体の中の力が抜き取られ、精神的なストレスすらも感じていた。
これが魔力を使う感覚……
そんなナオキを他所に、ここにいる全員がその存在感に圧倒されていた。だがただ一人イヤ、一匹だけは驚愕も恐怖も表さなかった。
クーだ。
クーはドラゴンの姿を見ると、とても嬉しそうに「トモダチ! トモダチ!」と連呼している。
トモダチ? このドラゴンが? 一体ゴブリンの子供とこのバカでかいドラゴンにどんな共通点があるんだ……とにかく、この現れたドラゴンをどうすればいいんだろう……
ナオキが試しに声を掛けようとしたその時――
「オイ、人間。貴様がワイに魔力を提供する者か?」
ドラゴンが喋った。
ドラゴンが人間の言葉を喋ってる。もしかしてこの世界ではそれが普通なのか? ここでの普通が分からない。
その声は低く大きく、耳に響くというより地鳴りに近い感じだった。
「オイ! 貴様がワイに魔力を提供する者か聞いているんだ! 何か言わんか!!」
返答をしないナオキに苛立つドラゴンが更に大きな声で言った。
「ひゃ、ひゃい」
突然のことに思わず上ずった声を挙げてしまった。
「そ……そうです」
何故か背筋をピンと伸ばしナオキは返事をした。ナオキはどうなってしまうのか不安しか無かった。
「ウム……」
ドラゴンは考え込み、ナオキを凝視した。その後、周りに目を向けた。今の状況を把握しようとしていた。
「人間答えろ。貴様は何故ワイを呼び出した」
ドラゴンは落ち着き、ナオキの真意を確かめた。
「えっと……オレたち見ての通り、人間たちに囲まれててどうしようもなくって、一か八かで秘龍石に魔力を込めたんだ」
「……ワイに手を貸せと?」
「で、出来ればそうしてほしい……です」
「……では質問を変える。貴様にとってそこのゴブリンはなんだ?」
「えっ?」
ここにきてその質問は何だ?
「さっさと答えろ! 喰うぞ!」
威喝した声に再びピンと背筋を伸ばしたナオキだった。
「はい! クーは……その……仲間です!」
「仲間ぁ? 奴隷や弄ぶタメのモノではないのか?」
ナオキの返答にドラゴンは目を見開いた。
「はい。仲間です」
ナオキは同じ言葉を繰り返した。
「貴様、本気で言っているのか?」
尚も疑いの眼差しで、ナオキへ脅すように低く、苛立ちを込めながらドラゴンは聞いた。
「あ、当たり前だ、人間もゴブリンもエルフだってお互いが信じて心が通じ合えば絆が出来る。な、仲間ってそんなもんじゃないのか? ソコに種族の違いなんて大した問題じゃないはずだ!」
「ナオキ、よく言った。その通りだ。俺たちは仲間だ!」
「オニイチャン、ナカマ」
レイとクーはナオキに賛同し各々の言葉を発した。
「………………」
ドラゴンは沈黙し、考え込んでいる。
ヤバい……何かマズかったか? でも嘘をつくことは出来ない。
「では最後の質問だ。そのゴブリンの腕を落としたのはソコの人間たちか?」
ドラゴンの眼光がジュダ達へ向けられた。
ジュダ達はたじろぎ、後ずさった。
「それは……」
それ以上の言葉をナオキは言わず沈黙を保った。
「どうした? 早く答えんか」
「………………」
「その沈黙は肯定ととって良いのだな?」
ナオキに圧をプレッシャーをかけるようにドラゴンは凄んだ。今にもナオキに襲い掛かりそうだ。
どうする……正直に言っていいのか? でも言ったらどうなるんだ……
ナオキの沈黙を破るように一人の男が口を開いた。
「あ、あぁそうだよ! 俺がソコのチビを斬ったんだ! 悪いかよ!!」
ゾーラだった。回復して戻ってきたのだろう。だが斬られた手は無い。
「貴様が……なぜだ?」
「なぜだぁ? ゴブリンだぜ? んな害虫みたいな生き物生きてる価値もねぇ。俺たち人間様がどう扱おうと勝っ――」
――ビュッ――
ゾーラは突然言葉を発するのをやめた。正確には喋ることが出来なくなった。
あまりに突然のことで誰も動けずにいた。
勢いよく啖呵を切っていたゾーラが刹那に下半身だけになったのだ。次の瞬間、残った体から血液が溢れ出し、ゾーラだったソレは後ろへ倒れた。
「ひ……ひいいいいぃぃぃぃー」
兵士の一人が何とも情けない悲鳴を上げ、腰を抜かした。それを皮切りに兵士たちは奇声を上げ我先に逃げ出した。
ドラゴンはその体に似合わない速度で兵士たちを追いその爪で、その牙で、その尻尾で襲い始めた。
「貴様たち人間はいつも同じことを言う。人間風情が思い上がるのも大概にしておくんだな」
ドラゴンは怒りをむき出しにし、逃げ惑う兵士たちを殺した。さながらそこは地獄だ。
唯一ジュダだけは剣を構えていたが、恐怖で立ちすくんでいた。
これをオレが起こしたのか……
ナオキはただ茫然と眺めているだけだった。
いるべきでない存在。恐怖と強さの象徴のその姿。見たことは無くても誰もが知っているその生物。この地上で最強と言われるべき神秘的な種族。
――ドラゴン――
20メートル以上あるだろうその身体は、蜥蜴をとにかく巨大にしたようだ。身体は全身燃えるように赤く、前足の肩辺りには蝙蝠のような巨大な翼がある。後頭部には大きな角が二本と小さな角が数本生えている。
これが……ドラゴン……
まさか秘龍石から本物のドラゴンが出るとは想像もしていなかった。
そしてナオキ自身は酷く疲弊し、体の中の力が抜き取られ、精神的なストレスすらも感じていた。
これが魔力を使う感覚……
そんなナオキを他所に、ここにいる全員がその存在感に圧倒されていた。だがただ一人イヤ、一匹だけは驚愕も恐怖も表さなかった。
クーだ。
クーはドラゴンの姿を見ると、とても嬉しそうに「トモダチ! トモダチ!」と連呼している。
トモダチ? このドラゴンが? 一体ゴブリンの子供とこのバカでかいドラゴンにどんな共通点があるんだ……とにかく、この現れたドラゴンをどうすればいいんだろう……
ナオキが試しに声を掛けようとしたその時――
「オイ、人間。貴様がワイに魔力を提供する者か?」
ドラゴンが喋った。
ドラゴンが人間の言葉を喋ってる。もしかしてこの世界ではそれが普通なのか? ここでの普通が分からない。
その声は低く大きく、耳に響くというより地鳴りに近い感じだった。
「オイ! 貴様がワイに魔力を提供する者か聞いているんだ! 何か言わんか!!」
返答をしないナオキに苛立つドラゴンが更に大きな声で言った。
「ひゃ、ひゃい」
突然のことに思わず上ずった声を挙げてしまった。
「そ……そうです」
何故か背筋をピンと伸ばしナオキは返事をした。ナオキはどうなってしまうのか不安しか無かった。
「ウム……」
ドラゴンは考え込み、ナオキを凝視した。その後、周りに目を向けた。今の状況を把握しようとしていた。
「人間答えろ。貴様は何故ワイを呼び出した」
ドラゴンは落ち着き、ナオキの真意を確かめた。
「えっと……オレたち見ての通り、人間たちに囲まれててどうしようもなくって、一か八かで秘龍石に魔力を込めたんだ」
「……ワイに手を貸せと?」
「で、出来ればそうしてほしい……です」
「……では質問を変える。貴様にとってそこのゴブリンはなんだ?」
「えっ?」
ここにきてその質問は何だ?
「さっさと答えろ! 喰うぞ!」
威喝した声に再びピンと背筋を伸ばしたナオキだった。
「はい! クーは……その……仲間です!」
「仲間ぁ? 奴隷や弄ぶタメのモノではないのか?」
ナオキの返答にドラゴンは目を見開いた。
「はい。仲間です」
ナオキは同じ言葉を繰り返した。
「貴様、本気で言っているのか?」
尚も疑いの眼差しで、ナオキへ脅すように低く、苛立ちを込めながらドラゴンは聞いた。
「あ、当たり前だ、人間もゴブリンもエルフだってお互いが信じて心が通じ合えば絆が出来る。な、仲間ってそんなもんじゃないのか? ソコに種族の違いなんて大した問題じゃないはずだ!」
「ナオキ、よく言った。その通りだ。俺たちは仲間だ!」
「オニイチャン、ナカマ」
レイとクーはナオキに賛同し各々の言葉を発した。
「………………」
ドラゴンは沈黙し、考え込んでいる。
ヤバい……何かマズかったか? でも嘘をつくことは出来ない。
「では最後の質問だ。そのゴブリンの腕を落としたのはソコの人間たちか?」
ドラゴンの眼光がジュダ達へ向けられた。
ジュダ達はたじろぎ、後ずさった。
「それは……」
それ以上の言葉をナオキは言わず沈黙を保った。
「どうした? 早く答えんか」
「………………」
「その沈黙は肯定ととって良いのだな?」
ナオキに圧をプレッシャーをかけるようにドラゴンは凄んだ。今にもナオキに襲い掛かりそうだ。
どうする……正直に言っていいのか? でも言ったらどうなるんだ……
ナオキの沈黙を破るように一人の男が口を開いた。
「あ、あぁそうだよ! 俺がソコのチビを斬ったんだ! 悪いかよ!!」
ゾーラだった。回復して戻ってきたのだろう。だが斬られた手は無い。
「貴様が……なぜだ?」
「なぜだぁ? ゴブリンだぜ? んな害虫みたいな生き物生きてる価値もねぇ。俺たち人間様がどう扱おうと勝っ――」
――ビュッ――
ゾーラは突然言葉を発するのをやめた。正確には喋ることが出来なくなった。
あまりに突然のことで誰も動けずにいた。
勢いよく啖呵を切っていたゾーラが刹那に下半身だけになったのだ。次の瞬間、残った体から血液が溢れ出し、ゾーラだったソレは後ろへ倒れた。
「ひ……ひいいいいぃぃぃぃー」
兵士の一人が何とも情けない悲鳴を上げ、腰を抜かした。それを皮切りに兵士たちは奇声を上げ我先に逃げ出した。
ドラゴンはその体に似合わない速度で兵士たちを追いその爪で、その牙で、その尻尾で襲い始めた。
「貴様たち人間はいつも同じことを言う。人間風情が思い上がるのも大概にしておくんだな」
ドラゴンは怒りをむき出しにし、逃げ惑う兵士たちを殺した。さながらそこは地獄だ。
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