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魔王城

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     ――エドガーの転移魔法で連れられナオキ達は魔王城へ来ていた。

 先ほどまでいたさわやかで心地の良かったエルフの村とはうってかわって魔王城はどす黒い何かを醸し出し、不快な何かが肌に纏わりつく。城内の薄暗い通路をエドガーが先導して歩く。その後ろをナオキ、レイ、ベル、アイリが歩いている。勿論、ナオキの肩にはカーマインが乗っていた。クーとガーも来たがっていたが全力でナオキが止めた。



いきなり魔王と会うなんて展開がヤバすぎるだろ……



 勿論、ナオキも行きたくはなかった。だがエドガーに力技でこられたら村人が何十人殺されるか分かったもんではない。そんなことにはさせたくなかった。

 そんな中、レイたちが付いてきてくれたのは心強いができれば来てほしくなかった。いや、連れて来るべきでは無かったと感じている。一つ間違えれば全員殺されるかもしれないのだ。



「……なぁ。みんな、本当に来てよかったのか? 今からでも遅くないんだぞ?」



もし死ぬならオレ一人で十分だろ。



「しつこいぞナオキ。これは俺たち自身が決めたことだ。それに、8人いる魔王のうちの一人だ。会いたいって言ったってそうそうお目にかかれるもんじゃねぇ」



 レイは強がっているが内心穏やかではないだろう。少しでもナオキ達をそして自分の気を紛らわしているようだ。

 そしてどうやらこの世界に魔王は8人いるらしい。ナオキのイメージする魔王とは魔物のトップに君臨する絶対的で支配的な存在だ。だがこの世界では魔王とは魔物の国を治める大統領か皇帝のような存在らしい。その治め方もさまざまだというから本当に人間の国のようだ。 



「そうですよ。あそこの魔人が来た時、私は私の役割を全うするために一線を引きましたが、今回は違います。村の人たちはいません。兄さま同様、私は私の意志でここにいるのです」

「わ、私もです。私が役立たずなのはわかってますけど……それでもナオキさんの傍にいさせてください」



 ベルもアイリも自ら望んでここにいる。勿論、ナオキもレイも、当然クルーガー達が二人を全力で止めた。ここに来る必要がない。だが二人は譲らなかった。それだけ二人の意志は固かった。



何かあってもせめてこの二人だけは……



 死刑台に上がる気分のナオキでもそれだけは絶対に譲れなかった。文字通り死ぬ気で守ろうと決めていた。



「さぁ着きましたよ。この扉の向こうで魔王様がお待ちです」



 どこか楽し気なエドガーがナオキ達を扉へ誘う。

 そんなエドガーにイラつきながらもナオキは固唾を飲んだ。



この先に魔王が……一体何が目的だ……



 重量がある扉がゆっくりと開かれる。この先に待ち受ける魔王の狙いが何なのか分からず只々不安がナオキにのしかかっていた。
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