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第6話 酒場にて③ ルーク視点
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何故、彼女がここにいるのだろう?
純粋に疑問に思った僕は彼女の隣の席に腰掛けて、彼女の方に顔を向ける。
「初めまして。ここ、隣、座っていいかな?」
「どうぞ~」
彼女の許可が下りたので、彼女の隣の席のスツールに腰掛ける。
セバスチャンは僕の案内が終わった後は、カウンター席の目の前のキッチンに立って僕の注文を待っている。
「まず一杯目は何にしますか?」
「う~ん……そうだなあ、ジントニックで」
「畏まりました。おつまみはどれになさいますか?」
「サラミをお願い」
出来上がったジントニックを受け取り、ゆっくりと味わう。
セバスチャンの作ったジントニックは本当に美味しく、このお店に来ると必ず飲みたくなるカクテルの一つだ。
ロンググラスに入っている炭酸入りの透明なカクテルで、カットされたライムが一欠片入っている。
ライムの爽やかな香りとすっきりとした飲み口が特徴だ。
サラミを摘まみながら、ジントニックをじっくりと楽しむ。
せっかくだからシルヴィア嬢とお話してみようと思い、彼女に話しかける。
「君はどうしてここにいるの?」
「わたくしねぇ~、こう見えても実は~それなりの身分でぇ~。今夜の~ちょうどぉ~今の時間帯は~とあるパーティーに参加してるはずだったのぉ~。でもねぇ~、パーティーの開催の挨拶の前にぃ~婚約者が浮気相手を連れてぇ~、みんなの前で婚約破棄を言い渡されちゃったぁ~」
彼女は酔っているのか語尾が伸び気味でゆっくりと語る。
「婚約破棄!?」
僕は予想もつかない言葉が出て来て愕然とする。
王族が人前で婚約破棄なんて。
あの馬鹿王太子の甥のことだから、大勢の前で言ってしまえばこっちのものだと思っていそうだが、その後のことや婚約破棄がもたらす影響なんて全く考えていないに違いない。
王太子の誕生パーティーには、国内の有力貴族だけではなく、外国からの賓客も招待している。
外国の賓客もいる中で婚約破棄なんてしたら、その場に居合わせた賓客が自国に帰った時に自国でその話を伝えないとは考えにくく、そうなると外国にまで我が国の恥を晒すことになる。
それに仮に外国からの賓客がいなくても、婚約は家同士の契約だ。
フィリップがシルヴィア嬢に一方的に婚約破棄を突き付けることで、王家はローランズ公爵家との関係を軽んじていると参加していた自国の有力貴族の目には映っただろう。
そのあたりのことがちゃんと頭にあれば絶対にそんな考えには至らない。
考えもしていないから実行したのだろう。
また、婚約破棄はするとしても関係者だけを集めてごく内輪で話し合いをし、穏便に婚約解消とするのが一般的だ。
間違っても公の場でやることではない。
フィリップは自分の事ばかりで、公の場で婚約破棄されたシルヴィア嬢のことも全く考えていない。
シルヴィア嬢は何も悪いことはしていないのに”あの王太子殿下に婚約破棄された……”と後ろ指を指され、瑕疵があるように見えてしまう。
「婚約者の浮気相手は~男爵令嬢でぇ~なんと婚約者の両親も~既に彼が私と婚約破棄してぇ~新たにぃ~その令嬢とぉ~婚約することを~認めているんだってぇ~」
彼女は飲みかけのショートグラスに入ったピンク色の甘ったるそうなカクテルをグイっと煽るように飲んで続きを話す。
「婚約者の両親がぁ~了承していることなら~と婚約破棄を了承したんだけどぉ~、今まで婚約者に関して理不尽な思いにず~っと耐えてたのにぃ~それに対する仕打ちがコレ!?と。内心すごく頭にきちゃったぁ~。婚約者の両親がぁ~家格も低ければマナーもなっていない頭の弱そうな話し方のぉ~男爵令嬢を~新たな婚約者として認めるならぁ~わたくしが今まで頑張ったのは~一体何だったのぉ~?」
純粋に疑問に思った僕は彼女の隣の席に腰掛けて、彼女の方に顔を向ける。
「初めまして。ここ、隣、座っていいかな?」
「どうぞ~」
彼女の許可が下りたので、彼女の隣の席のスツールに腰掛ける。
セバスチャンは僕の案内が終わった後は、カウンター席の目の前のキッチンに立って僕の注文を待っている。
「まず一杯目は何にしますか?」
「う~ん……そうだなあ、ジントニックで」
「畏まりました。おつまみはどれになさいますか?」
「サラミをお願い」
出来上がったジントニックを受け取り、ゆっくりと味わう。
セバスチャンの作ったジントニックは本当に美味しく、このお店に来ると必ず飲みたくなるカクテルの一つだ。
ロンググラスに入っている炭酸入りの透明なカクテルで、カットされたライムが一欠片入っている。
ライムの爽やかな香りとすっきりとした飲み口が特徴だ。
サラミを摘まみながら、ジントニックをじっくりと楽しむ。
せっかくだからシルヴィア嬢とお話してみようと思い、彼女に話しかける。
「君はどうしてここにいるの?」
「わたくしねぇ~、こう見えても実は~それなりの身分でぇ~。今夜の~ちょうどぉ~今の時間帯は~とあるパーティーに参加してるはずだったのぉ~。でもねぇ~、パーティーの開催の挨拶の前にぃ~婚約者が浮気相手を連れてぇ~、みんなの前で婚約破棄を言い渡されちゃったぁ~」
彼女は酔っているのか語尾が伸び気味でゆっくりと語る。
「婚約破棄!?」
僕は予想もつかない言葉が出て来て愕然とする。
王族が人前で婚約破棄なんて。
あの馬鹿王太子の甥のことだから、大勢の前で言ってしまえばこっちのものだと思っていそうだが、その後のことや婚約破棄がもたらす影響なんて全く考えていないに違いない。
王太子の誕生パーティーには、国内の有力貴族だけではなく、外国からの賓客も招待している。
外国の賓客もいる中で婚約破棄なんてしたら、その場に居合わせた賓客が自国に帰った時に自国でその話を伝えないとは考えにくく、そうなると外国にまで我が国の恥を晒すことになる。
それに仮に外国からの賓客がいなくても、婚約は家同士の契約だ。
フィリップがシルヴィア嬢に一方的に婚約破棄を突き付けることで、王家はローランズ公爵家との関係を軽んじていると参加していた自国の有力貴族の目には映っただろう。
そのあたりのことがちゃんと頭にあれば絶対にそんな考えには至らない。
考えもしていないから実行したのだろう。
また、婚約破棄はするとしても関係者だけを集めてごく内輪で話し合いをし、穏便に婚約解消とするのが一般的だ。
間違っても公の場でやることではない。
フィリップは自分の事ばかりで、公の場で婚約破棄されたシルヴィア嬢のことも全く考えていない。
シルヴィア嬢は何も悪いことはしていないのに”あの王太子殿下に婚約破棄された……”と後ろ指を指され、瑕疵があるように見えてしまう。
「婚約者の浮気相手は~男爵令嬢でぇ~なんと婚約者の両親も~既に彼が私と婚約破棄してぇ~新たにぃ~その令嬢とぉ~婚約することを~認めているんだってぇ~」
彼女は飲みかけのショートグラスに入ったピンク色の甘ったるそうなカクテルをグイっと煽るように飲んで続きを話す。
「婚約者の両親がぁ~了承していることなら~と婚約破棄を了承したんだけどぉ~、今まで婚約者に関して理不尽な思いにず~っと耐えてたのにぃ~それに対する仕打ちがコレ!?と。内心すごく頭にきちゃったぁ~。婚約者の両親がぁ~家格も低ければマナーもなっていない頭の弱そうな話し方のぉ~男爵令嬢を~新たな婚約者として認めるならぁ~わたくしが今まで頑張ったのは~一体何だったのぉ~?」
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