2 / 8
第2話
しおりを挟む
婚約破棄という茶番劇の数日後、レジーヌとシャルロットの父であるルーキエ公爵は国王からの呼び出しの手紙を受け取り王宮へと出向いた。
呼び出された用件は、勿論先日のダミアンとレジーヌの婚約破棄の件だ。
婚約破棄について王家とルーキエ公爵家で話し合いが王宮で行われることになった。
王宮に出かけてから数時間後、公爵は疲れ切った顔で屋敷に帰ってきた。
公爵は家族全員をダイニングに呼び出し、ディナーを食べながら話をすることにした。
ルーキエ公爵家は公爵夫妻に長女レジーヌ、二女シャルロットという四人家族だ。
因みにレジーヌは18歳、シャルロットは16歳である。
ダイニングに全員集まり、ディナーが始まる。
「知っていると思うが、今日王宮で婚約破棄についての話し合いが行われた。結論から言うと、ダミアン王太子殿下とレジーヌの婚約は白紙に戻ることになった」
婚約が白紙に戻るということはなかったことになるということと同義だ。
この言葉にレジーヌは泣き崩れた。
「お父様が国王陛下にとりなして頂ければ大丈夫だと思っていたのに……! じゃああの子爵令嬢がダミアン王太子殿下と新たに婚約するの!? あんな教養も何もあったものじゃないあの令嬢が、幼い頃から王太子妃教育を受けていた私に成り代わると言うの!?」
「落ち着け、レジーヌ。婚約破棄は国王陛下夫妻の許可を取ってから宣言したことではなく、ダミアン王太子殿下の独断で行われた。確かにレジーヌがあの子爵令嬢に対してやったこともあまり誉められたものではなかったが、それ以上にダミアン王太子殿下が王家と我が家の間で決められた婚約を国王陛下夫妻の許可もなく勝手に破棄する宣言をしたことを問題視しておられた。しかも内輪で婚約破棄するのではなく、パーティーという公の場で宣言。沢山の人の前で宣言してしまったものだから、なかったことにするには王家にしてみても些か外聞が悪い」
「やはり婚約破棄は国王陛下夫妻の許可を得てから宣言したことではなく、ダミアン王太子殿下の独断だったのですわね。それで、お話の続きは?」
シャルロットは冷静に話の続きを公爵に促す。
「この件はレジーヌという婚約者がいながら恋人を作ったダミアン王太子殿下に責任がある。婚約破棄ではなく、婚約白紙にしたのはレジーヌの受ける傷を少しでも小さくしようとする国王陛下からの温情だ。陛下も王妃もレジーヌのことを未来の王太子妃として認めていた。国王陛下は勝手な行動をした罰としてダミアン王太子殿下を廃嫡し、クレマン第二王子殿下を王太子にする意向を示していた。当然、ダミアン王太子殿下は王家から除籍だ」
「ダミアン王太子殿下は廃嫡され、除籍される予定なのですわね。では、子爵令嬢はどうなるのです?」
取り乱しているレジーヌの代わりにシャルロットが尋ねる。
「子爵令嬢は婚約者がいると知りながらその婚約者からダミアン王太子殿下を奪った謂わば略奪者。今日、令嬢の父であるオランド子爵も来ていたが、自分の指示でやったことではなく、娘が勝手にやったことだと主張していた。それに、娘が王太子殿下の婚約者の公爵令嬢を押しどけて恋人の座に収まるなんて大それたことをしてしまった詫びに子爵位を返上するとも言っていた。国王陛下と私の話し合いで、領地の民の生活への影響を考えて子爵位の返上ではなく、令嬢を勘当すれば不問に付すとしたので、令嬢は勘当。子爵家の籍から除籍され、平民扱いになった」
公爵は赤ワインを一口、口に含み、話を続ける。
「廃嫡・除籍され、平民になったダミアン王太子殿下と平民になった子爵令嬢を結婚させ、何があっても離縁は出来ない。それが国王陛下が二人に課した罰だ。当然、この結婚に関して生活費の援助は一切ない。子爵令嬢は王太子妃の地位・財産目当てならこれ程の罰はないだろう。ダミアン王太子殿下もレジーヌを切り捨ててでも結ばれようとした子爵令嬢が本当に自分を心から愛していたのか、地位・財産目当てだったのかわかるだろう」
呼び出された用件は、勿論先日のダミアンとレジーヌの婚約破棄の件だ。
婚約破棄について王家とルーキエ公爵家で話し合いが王宮で行われることになった。
王宮に出かけてから数時間後、公爵は疲れ切った顔で屋敷に帰ってきた。
公爵は家族全員をダイニングに呼び出し、ディナーを食べながら話をすることにした。
ルーキエ公爵家は公爵夫妻に長女レジーヌ、二女シャルロットという四人家族だ。
因みにレジーヌは18歳、シャルロットは16歳である。
ダイニングに全員集まり、ディナーが始まる。
「知っていると思うが、今日王宮で婚約破棄についての話し合いが行われた。結論から言うと、ダミアン王太子殿下とレジーヌの婚約は白紙に戻ることになった」
婚約が白紙に戻るということはなかったことになるということと同義だ。
この言葉にレジーヌは泣き崩れた。
「お父様が国王陛下にとりなして頂ければ大丈夫だと思っていたのに……! じゃああの子爵令嬢がダミアン王太子殿下と新たに婚約するの!? あんな教養も何もあったものじゃないあの令嬢が、幼い頃から王太子妃教育を受けていた私に成り代わると言うの!?」
「落ち着け、レジーヌ。婚約破棄は国王陛下夫妻の許可を取ってから宣言したことではなく、ダミアン王太子殿下の独断で行われた。確かにレジーヌがあの子爵令嬢に対してやったこともあまり誉められたものではなかったが、それ以上にダミアン王太子殿下が王家と我が家の間で決められた婚約を国王陛下夫妻の許可もなく勝手に破棄する宣言をしたことを問題視しておられた。しかも内輪で婚約破棄するのではなく、パーティーという公の場で宣言。沢山の人の前で宣言してしまったものだから、なかったことにするには王家にしてみても些か外聞が悪い」
「やはり婚約破棄は国王陛下夫妻の許可を得てから宣言したことではなく、ダミアン王太子殿下の独断だったのですわね。それで、お話の続きは?」
シャルロットは冷静に話の続きを公爵に促す。
「この件はレジーヌという婚約者がいながら恋人を作ったダミアン王太子殿下に責任がある。婚約破棄ではなく、婚約白紙にしたのはレジーヌの受ける傷を少しでも小さくしようとする国王陛下からの温情だ。陛下も王妃もレジーヌのことを未来の王太子妃として認めていた。国王陛下は勝手な行動をした罰としてダミアン王太子殿下を廃嫡し、クレマン第二王子殿下を王太子にする意向を示していた。当然、ダミアン王太子殿下は王家から除籍だ」
「ダミアン王太子殿下は廃嫡され、除籍される予定なのですわね。では、子爵令嬢はどうなるのです?」
取り乱しているレジーヌの代わりにシャルロットが尋ねる。
「子爵令嬢は婚約者がいると知りながらその婚約者からダミアン王太子殿下を奪った謂わば略奪者。今日、令嬢の父であるオランド子爵も来ていたが、自分の指示でやったことではなく、娘が勝手にやったことだと主張していた。それに、娘が王太子殿下の婚約者の公爵令嬢を押しどけて恋人の座に収まるなんて大それたことをしてしまった詫びに子爵位を返上するとも言っていた。国王陛下と私の話し合いで、領地の民の生活への影響を考えて子爵位の返上ではなく、令嬢を勘当すれば不問に付すとしたので、令嬢は勘当。子爵家の籍から除籍され、平民扱いになった」
公爵は赤ワインを一口、口に含み、話を続ける。
「廃嫡・除籍され、平民になったダミアン王太子殿下と平民になった子爵令嬢を結婚させ、何があっても離縁は出来ない。それが国王陛下が二人に課した罰だ。当然、この結婚に関して生活費の援助は一切ない。子爵令嬢は王太子妃の地位・財産目当てならこれ程の罰はないだろう。ダミアン王太子殿下もレジーヌを切り捨ててでも結ばれようとした子爵令嬢が本当に自分を心から愛していたのか、地位・財産目当てだったのかわかるだろう」
89
あなたにおすすめの小説
妹に幼馴染の彼をとられて父に家を追放された「この家の真の当主は私です!」
佐藤 美奈
恋愛
母の温もりを失った冬の日、アリシア・フォン・ルクセンブルクは、まだ幼い心に深い悲しみを刻み付けていた。公爵家の嫡女として何不自由なく育ってきた彼女の日常は、母の死を境に音を立てて崩れ始めた。
父は、まるで悲しみを振り払うかのように、すぐに新しい妻を迎え入れた。その女性とその娘ローラが、ルクセンブルク公爵邸に足を踏み入れた日から、アリシアの運命は暗転する。
再婚相手とその娘ローラが公爵邸に住むようになり、父は実の娘であるアリシアに対して冷淡になった。継母とその娘ローラは、アリシアに対して日常的にそっけない態度をとっていた。さらに、ローラの策略によって、アリシアは婚約者である幼馴染のオリバーに婚約破棄されてしまう。
そして最終的に、父からも怒られ家を追い出されてしまうという非常に辛い状況に置かれてしまった。
聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日
佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」
「相手はフローラお姉様ですよね?」
「その通りだ」
「わかりました。今までありがとう」
公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。
アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。
三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。
信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった――
閲覧注意
【完結】真実の愛とやらに目覚めてしまった王太子のその後
綾森れん
恋愛
レオノーラ・ドゥランテ侯爵令嬢は夜会にて婚約者の王太子から、
「真実の愛に目覚めた」
と衝撃の告白をされる。
王太子の愛のお相手は男爵令嬢パミーナ。
婚約は破棄され、レオノーラは王太子の弟である公爵との婚約が決まる。
一方、今まで男爵令嬢としての教育しか受けていなかったパミーナには急遽、王妃教育がほどこされるが全く進まない。
文句ばかり言うわがままなパミーナに、王宮の人々は愛想を尽かす。
そんな中「真実の愛」で結ばれた王太子だけが愛する妃パミーナの面倒を見るが、それは不幸の始まりだった。
周囲の忠告を聞かず「真実の愛」とやらを貫いた王太子の末路とは?
婚約破棄を謝っても、許す気はありません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私カルラは、ザノーク王子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
ザノークの親友ルドノが、成績が上の私を憎み仕組んだようだ。
私が不正をしたという嘘を信じて婚約を破棄した後、ザノークとルドノは私を虐げてくる。
それを耐えながら準備した私の反撃を受けて、ザノークは今までのことを謝ろうとしていた。
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
どうでもいいですけどね
志位斗 茂家波
恋愛
「ミラージュ令嬢!!貴女との婚約を破棄する!!」
‥‥と、かつての婚約者に婚約破棄されてから数年が経ちました。
まぁ、あの方がどうなったのかは別にどうでもいいですけれどね。過去は過去ですから、変えようがないです。
思いついたよくある婚約破棄テンプレ(?)もの。気になる方は是非どうぞ。
悪いのは全て妹なのに、婚約者は私を捨てるようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢シンディの妹デーリカは、様々な人に迷惑をかけていた。
デーリカはシンディが迷惑をかけていると言い出して、婚約者のオリドスはデーリカの発言を信じてしまう。
オリドスはシンディとの婚約を破棄して、デーリカと婚約したいようだ。
婚約破棄を言い渡されたシンディは、家を捨てようとしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる